「オウム真理教;松本智津夫死刑囚ら7人の死刑執行」に想う… 法務省は7月6日に、1995年の地下鉄サリン事件等を起こしたオウム真理教の元代表; 松本智津夫死刑囚(麻原彰晃、63歳)と元幹部ら計7人の刑を執行した。一連のオウム 事件では松本死刑囚のほか、元幹部;12人の死刑が確定しているが執行は初めてだ。 法務省によると、ほかに死刑執行したのはいずれも元幹部の早川紀代秀、中川智正、 井上嘉浩、新実智光、遠藤誠一、土谷正実の各死刑囚。7人同時の死刑執行は異例。 「麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚の刑が執行された…」と聴いて、重苦しさの中にも何か もつれた糸がほぐれていくような感慨を覚えた小生である。 犯罪史上、例を見ない計画的大規模殺人が実行に移された…という衝撃で、日本列島を パニックに陥れた「オウム真理教事件」が、まだつい先日の事のように思い出されるのは、 「忘れようにも忘れられないほど、おどろおどろしい経過がまるで小説の頁をめくるように 展開されて、『信じられない』という思いを次々とかきたてられたから」であろうか。 あれほど多くの人命を死傷させた一連のテロ事件の実行を命じた張本人の死刑が、確定 されながら、「何故いつまでも執行されないのか?」という疑問もわだかまっていただけに、 司法が真正面からこの問題に向き合ったことを、小生は大きく評価したい。 「死刑反対論者から非難が出た」のは予想通りだが、それは国民合意には達していない。 「代償」というよりは「防止」のための死刑であるが、かといって「合法的に人が人を殺める ことが許されるだろうか」という疑問がつきまとう点は間違いあるまい。国際的には死刑が 廃止の方向に広まっている所以ではあるが、「命を奪われた側の無念さ」を思えば、小生 は「死刑の存続を廃止する気にはとてもなれない」のである。 だが、刑を執行する当事者の苦悩も理解するべきではなかろうか。「終身刑」が検討され 始めたのは、死刑の廃止も存続も、みな人間ゆえの葛藤だからなのであろう。 敬虔なクリスチャンでもある上川陽子法相の決断は苦衷に満ちていたはずだが、しかし、 逃げてはならなかったのだ。