日時:平成30年6月13日(水) 18:00~19:30
アドバイザー:中谷常二先生、岡部幸徳先生
出席:社会人11名、学生3名
課題図書:エーリッヒ・フロム 「自由からの逃走」 東京創元社
    1章、2章、4章

 

 

第1章 Freedom---A Psychological Problem?
○ 現代社会で勉強していれば納得するが、フロムの時代にこの発想ができたのはすごいと思う。
○ 教育が行き届けば変わる部分もあるが、教育では変わらないこともあることをうまく説明してくれた。
 

第2章 The Emergence of the Individual and the Ambiguity of Freedom
○ 自分の体験からも、親や学校からの自由を獲得する頃に孤独や不安定感を感じた。その年代に新興宗教にハマったりする者も多かったように思う。
○ それに対して今の学生は最初から拘束を解かれることなく、ネットやSNSに縛られたままなのではないか?孤独ということに慣れていない感じがする。いわば親の庇護のもと、胎内から出ていない状態。
○ 理系の学生はコミュニケーションを取るのが苦手だと思う。
○ 誰とでも基本的にコミュニケーションできることは自立の要件では。
 ■ コミュニケーションを取らず・取れず、興味のある研究だけを見ているような学生のその先は2パターンある。1つは(孤立から)途中で学校に来れなくなってしまうパターン。もう一つは、好きな研究だけに向き合い続けた結果成功し、収入も得られるようになり、社会的には自立していると認められるようになるパターン。(時間切れで発言できなかったが、後者は「自由から逃走していない」では?)
○ 自分の学生時代は下宿の部屋に電話もなく部屋に帰ると本当に孤独を感じたと思う。しかし孤独になる機会はだんだんと減少してきている。
 ■ 今の世代は孤独に直面する必要がない。
 ■ 自分がSNSに縛られているというのは事実。LINEが来ない環境にいると不安で仕方がない。
 

第4章 The Two Aspects of Freedom for Modern Man
○ 「どんな社会にあっても、その文化全体の精神は、強力な支配階級が教育制度、学校、教会、新聞、劇場を支配する力を持ち、それによって自分の思想を、すべての人間に与える力をもつからである」というのはまさに現代政権にも当てはまる。
○ 言論の自由は獲得したが、独創的な思想を作り出す力は獲得していない。
○ 昔の時代はコミュニティも小さかったがその中に信頼関係に支えられていたが、現代はよくわからない世論などに
○ フロムは歴史を考察して資本主義批判をしているが、解決があるのか?ここまで読んだところでは分からない。
 ■ 資本主義批判というより、何かに頼ろうとする人の傾向に気づきを与えることでそれを越えようということではないか。
○ 「小規模あるいは中程度の実業家は、(中略) かれはただ分配という巨大な機械のなかの一つの歯車にすぎない」「百貨店にとっては、人間としてのかれはなんの重要な意味ももたず、「一人」の買手として意味を持っているだけである」・・・今の中小ガソリンスタンドうあ百貨店の経営者なら怒るかもしれない。
 ■ 巨大な流通の中で人間が個性を持った「ヒト」から「経済的行動をする主体」としてしか認識されなくなってくることについての批判では。
 ■ 現在では人事異動も会社のためだけではなく本人の成長や希望などを考慮して考えている。資本主義の枠内ではあるが人間性を尊重する方向に進化していると思う。
○ 本書の印象はチャップリンのモダンタイムスとかぶる。著者の生きていた単純な資本主義の時代をよく描いている。
○ アメリカ 「ハピネスの見つけ方 100」とう本がある。描かれている楽しみのメニューはリゾートへの旅行など誰もが思い浮かべるようなものが並んでおり、その人なりのユニークな「本当に自分のしたいこと」で幸福になるということとは違う感じがする。
○ 社会が認める価値しか価値と感じられないという我々の心のありようを変えなければいけない、という考えと理解。
 ■ そういうことを是とする人が多いからそうなる面はある。
 ■ 規則に従った方が効率的で、結果時間や価値が増大する面も
 ■ 交通ルールのようにある程度の制約は必ず必要。
○ 〜からの自由、は分かりやすいが、その先は
○ フロム自身の体験と時代背景からアメリカと資本主義に厳しい見方をしている。著者自身自由とは何かを考えあぐねている感じがする。

以上(文責 北村)