2013年1月22日 17:30~19:00
アドバイザー:中谷常二先生
社会人:氏家、小澤、鴨東、小林、佐藤、平田、吉岡、北村(記録)
近畿大学:中野(発表担当)
課題図書:JS.Mill 「自由論」光文社現代新書(斉藤悦則訳)1~3章、
自由論 (光文社古典新訳文庫)/光文社
¥1,100
Amazon.co.jp
▲ はアドバイザーによる解説(アドバイザーの意見ではありません)
▲ミルの基本的考え方(復習)
・他者危害原則 harm to other's principal
1) 成人した大人なら
2) 自分の生命、身体、財産に関して
3) 他人に危害を及ぼさない限り
4) たとえ自分の不利益になることでも
5) 何をしてもよい(愚行権=喫煙、ギャンブル、深酒 etc.,)
「自己責任」と近い意味合い。
○「人間が判断力を備えていることの真価は、間違えたときに改めることができるという一点にある」(p.53)
という記述をみて、他の意見が正しければ改めるということなのかと思って読んでいたが、
読み進むとミル自身は自分の意見は変える気がないように思った。
○ 正しい人間、個人を論じているのではなく、正しい社会のあり方を論じているのではないか。
▲ミルは政治哲学として述べている。
○ 現代の企業は国と同じくらいのパワーを持っている。企業のガバナンスは国のガバナンスと同様大切な問題。
国のレベルで(ミルの指摘のように)多様性が必要なら、企業にも必要だという考え方についてはどう思うか。
・企業活動で最近正当化されている考え方は、発展途上国など整備されていない地域に進出しても、
その途上国のレベルと、先進国並みの基準の差を進出企業が補っていくとして振舞うべきという考え方。
(企業CSR)=(社会の期待)-(その国の能力)という定式。
・それを期待されている面もあるが、そうやってうまく使われてしまっている面もあるのでは。
▲ミルは自由主義、個人主義のベースとなった考え方を提供している。
▲ハリエット・テイラーとの不倫も夫であるジョンが認めているので他者危害原則に反しない。(p.295)
○ 天才として、不自由を感じていたのかもしれない。
○ ベンサムの功利主義は効用の量のみだったが、ミルはこれに質を加えたと言われる。
○ 個人を大切にして、質を大切にするということは多様性につながると思う。
○ ミルは民族性が個性という認識ではないようだが、民族性も個性の大きな要素でなかいか。
○ この文章はイギリス人に対して書いているので、他国、他民族は読者として対象にしていないのでは。
○ 大衆迎合の政治が凡庸なものにならざるを得ない(pp160-162)という記述は現代日本そのもの。
○ 福沢諭吉の言うように、政治のレベルを上げるためには個々人のレベルを上げていかなければならない。
○組織に自由度を作る「戦略的放し飼い」が成果をあげる例はミルの議論に説得力を与える。
・開発秘話などを見ると最初は社内で干されていたなど
・なかなか社内では気づかれないケースもあるのでは
・組織論的には遊び、アイドリングも必要か
・(職務上の発明について、発明者との間で争いとなった)日亜化学日亜のケースでは社内の協力関係が壊れてしまったとも聞く
・戦略的放し飼いは構成員の組織への帰属意識をきっちりしたうえでやらないとうまくいかない。
そうでないならアメリカのように権利やルールを明確にした上での個人主義ということになるのでは。
・一人の経営者が決められる会社であればその経営者の間はうまく行くかもしれない。
・多様性は総論ではみな賛成だが、各論になったときにどこまで認められるかが難しい。
・日本は多様性よりひとつのことを突き詰めて改良を重ねていった歴史があり、
それが今を変えられない成功体験になっているのかもしれない。
・どういう人材を採用するのが多様性にかなうのかを議論するが、
規則と目的を守る部分ははずせなくてその中で多様性を重視するということが難しいと考える。
・会社の事業や業界によって違う部分はあるだろう。
・安全性については各社気を使っていると思うが、安全と効用の関係も事業によって違うだろう
・アメリカのモーターショーでは高排気量のステイタス・カーがカムバックしたが日本ではより安全な車が評価を得ている
▲ 徳倫理と社会政策
倫理学はじまりは個人の徳や善を追求するソクラテスやプラトン。
その後社会政策論が主流となったが、最近はまた徳倫理が見直され始めている。
(参加者読後所感)
・文章は入ってくるが、内容がなかなか頭に入ってこず難しいと感じた。
・境遇が多様ということがよいというのであれば格差社会がよいというように読めて若干違和感があった。
・非常に面白い、また若い人が読むと共感する人が多いのではないかと感じた。
(文責:北村)
次回予定:2月末頃を予定。 課題図書 「自由論」第4章
アドバイザー:中谷常二先生
社会人:氏家、小澤、鴨東、小林、佐藤、平田、吉岡、北村(記録)
近畿大学:中野(発表担当)
課題図書:JS.Mill 「自由論」光文社現代新書(斉藤悦則訳)1~3章、
自由論 (光文社古典新訳文庫)/光文社
¥1,100
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▲ はアドバイザーによる解説(アドバイザーの意見ではありません)
▲ミルの基本的考え方(復習)
・他者危害原則 harm to other's principal
1) 成人した大人なら
2) 自分の生命、身体、財産に関して
3) 他人に危害を及ぼさない限り
4) たとえ自分の不利益になることでも
5) 何をしてもよい(愚行権=喫煙、ギャンブル、深酒 etc.,)
「自己責任」と近い意味合い。
○「人間が判断力を備えていることの真価は、間違えたときに改めることができるという一点にある」(p.53)
という記述をみて、他の意見が正しければ改めるということなのかと思って読んでいたが、
読み進むとミル自身は自分の意見は変える気がないように思った。
○ 正しい人間、個人を論じているのではなく、正しい社会のあり方を論じているのではないか。
▲ミルは政治哲学として述べている。
○ 現代の企業は国と同じくらいのパワーを持っている。企業のガバナンスは国のガバナンスと同様大切な問題。
国のレベルで(ミルの指摘のように)多様性が必要なら、企業にも必要だという考え方についてはどう思うか。
・企業活動で最近正当化されている考え方は、発展途上国など整備されていない地域に進出しても、
その途上国のレベルと、先進国並みの基準の差を進出企業が補っていくとして振舞うべきという考え方。
(企業CSR)=(社会の期待)-(その国の能力)という定式。
・それを期待されている面もあるが、そうやってうまく使われてしまっている面もあるのでは。
▲ミルは自由主義、個人主義のベースとなった考え方を提供している。
▲ハリエット・テイラーとの不倫も夫であるジョンが認めているので他者危害原則に反しない。(p.295)
○ 天才として、不自由を感じていたのかもしれない。
○ ベンサムの功利主義は効用の量のみだったが、ミルはこれに質を加えたと言われる。
○ 個人を大切にして、質を大切にするということは多様性につながると思う。
○ ミルは民族性が個性という認識ではないようだが、民族性も個性の大きな要素でなかいか。
○ この文章はイギリス人に対して書いているので、他国、他民族は読者として対象にしていないのでは。
○ 大衆迎合の政治が凡庸なものにならざるを得ない(pp160-162)という記述は現代日本そのもの。
○ 福沢諭吉の言うように、政治のレベルを上げるためには個々人のレベルを上げていかなければならない。
○組織に自由度を作る「戦略的放し飼い」が成果をあげる例はミルの議論に説得力を与える。
・開発秘話などを見ると最初は社内で干されていたなど
・なかなか社内では気づかれないケースもあるのでは
・組織論的には遊び、アイドリングも必要か
・(職務上の発明について、発明者との間で争いとなった)日亜化学日亜のケースでは社内の協力関係が壊れてしまったとも聞く
・戦略的放し飼いは構成員の組織への帰属意識をきっちりしたうえでやらないとうまくいかない。
そうでないならアメリカのように権利やルールを明確にした上での個人主義ということになるのでは。
・一人の経営者が決められる会社であればその経営者の間はうまく行くかもしれない。
・多様性は総論ではみな賛成だが、各論になったときにどこまで認められるかが難しい。
・日本は多様性よりひとつのことを突き詰めて改良を重ねていった歴史があり、
それが今を変えられない成功体験になっているのかもしれない。
・どういう人材を採用するのが多様性にかなうのかを議論するが、
規則と目的を守る部分ははずせなくてその中で多様性を重視するということが難しいと考える。
・会社の事業や業界によって違う部分はあるだろう。
・安全性については各社気を使っていると思うが、安全と効用の関係も事業によって違うだろう
・アメリカのモーターショーでは高排気量のステイタス・カーがカムバックしたが日本ではより安全な車が評価を得ている
▲ 徳倫理と社会政策
倫理学はじまりは個人の徳や善を追求するソクラテスやプラトン。
その後社会政策論が主流となったが、最近はまた徳倫理が見直され始めている。
(参加者読後所感)
・文章は入ってくるが、内容がなかなか頭に入ってこず難しいと感じた。
・境遇が多様ということがよいというのであれば格差社会がよいというように読めて若干違和感があった。
・非常に面白い、また若い人が読むと共感する人が多いのではないかと感じた。
(文責:北村)
次回予定:2月末頃を予定。 課題図書 「自由論」第4章