こういう仕事(障害年金)をしていると、ときどきうれしい便りがとどきます。

社会保険審査会に再審査請求をしていた案件で、厚生労働省がそもそもの決定を

変更する(請求どおり認めること)、と連絡してきたのです。

メンツにこだわるやり方のようですが、こういう形が一番はやい解決となるのです。

事務所スタッフ一同、喜んだことはいうまでもありません。


近県の60代の男性の成年後見人の方から、いままで何十年と障害年金を受けてきたが

最近の診断書を提出したら(前回と同じ程度のもの)支給が停止されてしまったとのこと。

不服申し立て(審査請求・再審査請求)をしてほしいという依頼でした。

統合失調症となって40年以上の方です。


診断書や生活状況などを聴きとりましたが、この段階ではなにが原因で支給停止となったかは

定かではありません。

ただ、親が残してくれた一軒家にひとり暮らしをしていました。

もちろん、福祉的な援助を総動員して、なんとか暮らせているのが現状なのですが、

このあたりが原因か、などと想像してみます。


審査請求の段階で決定が変更されることは、めったにありません(たまにはありますが・・)。

しかし、審査請求をしてみるとなにが原因で保険者(政府)が、そうしたかがわかります。

案の上、審査請求では、「棄却」でした。


その書類を読んでみると、①医師が投薬等の治療をしていない、診察は診断書を作成するために

されているに過ぎない。②とにもかくにも一軒家に一人暮らしできている。

これらが原因で2級には該当しない、としたことがわかりました。



すぐに再審査請求するのですが、当の主治医が意見書を書いてくれました。

この患者さんの病気の経過と現状など、個別の事情から、現在は経過観察をしているが

それは病気の残遺症状がないこと(障害がないこと)を意味していないことなど力強い意見書でした。


成年後見人の方からは、この方の生活を成り立たせるために、いかに福祉的マンパワーを総動員

しているかを具体的に書いた意見書をいただきました。


それらを添付して、再審査請求をしたところ、まあ、お手上げだったのでしょう。

そもそもの決定(処分)を変更してしまいました。

つまり、障害年金が遡って、ひきつづき支給されることとなったのです。


こういう形、再審査請求したら、そもそもの決定(処分)を変更する、という形も以外に多いです。

いま、再審査請求は、だいたい8か月かかりますが、

この形ですと、3カ月前後で解決となる場合が多いです。


この件は、認められなかったら裁判もしよう、と依頼者とも相談していた案件でした。


すこし仰々しいタイトルですが、土曜日は、社労士会の支部の研修会の講師でした。


午前中は3時間は、労働基準法・安全衛生法の実務について講義形式でした。


午後は、労働問題の事例検討です。


事前に配布した事例4題(1題につき設問は3問)について、少人数でグループ討議をおこない


各グループからその結果を発表してもらいました。


それを受けて、私から判例や資料をしめして解説する、というやり方です。



午前中の講義の最初にお話ししたことですが、国家資格者は、一応、先生と呼ばれます。


つまり、プロなのです。


昨日、社労士として登録しても、今日からは先生、つまりプロなわけです。


労働法に関して言えば、プロの条件とはなんでしょうか。



決まったものはないかもしれませんが、私は、労働法に関しては全体像を把握していること


そして、ある部分に関しては、どこまで掘り下げればよいかを把握していることを挙げました。


全体像を把握するうえでは、午前中の講義では、民法の雇用契約から入りました。


労働基準法は民法の特別法だからです。特別法に規定がない部分は一般法が適用されます。


また、掘り下げることに関しては、法令、つまり法律だけでなく、命令、告示、通達(行政解釈)まで


確認することが大事であることをお話ししました。


それらの適用に関しては、裁判例が重要になることはいうまでもありません。



偉そうにいっていても、私もプロになりきれているわけではありませんが、


そういう自覚だではもっていたいとおもっています。


もう半年ほど書いていませんでしたが、それでも時々、ブログを見たという方から

問い合わせをいただきます。それも、だいたい深刻な案件で。


そう考えると、私のような仕事をしている人間が、社会にそれなりに発信することは

やはり続けるべきではないのか、そう考えるようになりました。


この間も、障害年金だけでも、いろいろありましたが、

今日は、20歳の時点での診断書について書いてみます。


精神障害は、20歳より前に発症し、医師の診断を受けている場合が結構あります。

そもそも、知的障害の場合は、出生日が初診日と扱われます。

そうなると、一般的なケースでは、20歳の時の診断書が必要なりますが、


20歳の時の診断書とは、20歳の前後3カ月の間の診断書なのです。

某年金事務所の窓口さんも、知りませんでした。

一般的には、障害認定日後3カ月以内の診断書(前はダメ)とされていますので

誤解が多いのです。


すこし前に相談に来られた方も、20歳の4カ月前に医師にかかっていましたが

20歳になってからは10カ月空いたため、20歳時点での請求はあきらめていました。


しかし、前後3カ月OKで、それが4カ月弱の場合、この程度では実務では認められます。


仮に30歳になっていても、20歳の時点から認められれば、時効があっても5年分は

障害年金が支給されますし、20歳の時点から国民年金保険料は法定免除となり

納めた保険料は、全額還付されます。

実務的には、将来を考えて、保険料を納めた形にしておくことも可能です。


障害年金は、まだまだ知られていないため、さらに制度も複雑なため

区市役所や年金事務所の窓口さんも、間違えることがあります。


すこし前のことになるのですが、


障害年金の再審査請求の公開審理が同じ日に2件ありました。


私の場合は、ほとんど代理人である私のみが出席するケースが多いです。


指定された時間は、午後3時と午後6時。


1件目が終わると時間があるので、1階のドトールでコーヒーを飲みながら時間をつぶすのですが


それでも時間があるので、やはり控室で出番を待つこととなります。



出入りがありますが、5人ほど待合室にいる方のうち3人は社労士さんみたいです。


最近は、障害年金に関しては、社労士が不服申し立ての代理人となるケースが増えました。



なんとなく話になりましたが、ひとりは京都から、もうひとりは茨城から来た方でした。


う~ん、交通費だけでもたいへんだろうなあー、などと思いながら話していると


どーも、依頼者からはいただけてないケースもあるようでした。


障害年金に取り組んでいると、半分はボランティアの気分がないと取り組めないこともあります。


(昨日も、お金がないとのことで、着手金なしで不服申し立てを引き受けたばかりです)


こんなときは、仲間意識というか、ちょっとした連帯感も生まれます。


なんだか物置みたいな控室ですが、いい空気が流れることもあります。



帰り際に名刺交換をすると、名刺を見て驚き、私の名前を知っているというのです。


こちらのほうが、驚きました。


発達障害の方の障害年金受給をお手伝いしています。


アスペルガーによる障害年金について、請求した結果を待っていたのですが


2級に認定されたと、先ほど連絡をいただきました。


うれしい瞬間です。


当事務所では、アスペルガーによる障害年金受給は、6月に続いて、今年2件めのことでした。



アスペルガーでも、一番わかりにくいタイプで、日常生活の状況も一定程度できる状態だったので


さすがに、心配していたのですが、無事、受給できてほっとしています。


実際、アスペルガーによる障害のために、働くことはできないのですが


それだけで2級と認定されるのは、難しいのが現状です。



発達障害が抱えている困難さを、正確に、ち密に書き上げた診断書と申立書の結果とおもいます。


また、詳しく書いてみたいと思います。