『【倫理Q&A】親が変わる 子供も変わる』倫理研究所[編] より
【事例6】子どもが落ち着きを取り戻すには
5歳の息子は、落ち着きがなく、じっとしていられない。
ちょっと目を離すと、必ず何か余計なことをやらかすので、食事ひとつで大騒動。
食器は落とす、調味料で遊ぶ、つまみ食いをする、椅子の上に立つ、食べ物をこぼす等。
静かに食事ができた試しがない。
夫婦共々息子に振り回され、寝静まるとぐったり。
保育園でも静かにできず、一人で飛び回っている状態。
行事の時なども恥ずかしい限り。
最近は、いけないと思いつつも、つい怒鳴ってしまう。
結構、よくありがちな事例だと思います。
倫理的に考えると、これもまた、
「苦難は幸福の門」
「人は鏡、万象は我が師」
「夫婦は一対の反射鏡」
「子は親の心を映し出す名優である」
「己を尊び、人に及ぼす」
といったことから解釈して、対応していくことになります。
以下、回答です。
子供だけを一方的に注意しても改まるものではない。
幼い子どもの問題のほとんどは、親と密接な関係がある。
言い換えれば、この状況は、両親の気持ちと行動次第でいくらでも変えられるということ。
まずは、自分自身を見つめ直す。
相手が思うように行動してくれないとき、どのように対処するか。
すぐにイライラしたり、自分の思い通りにしようとすることが多くないか。
例えば、夫婦の間ではどうか。
もし、そのような状況が度々あると、子供はそれを敏感に察知して、同じように再現して見せるもの。
少しでも心当たりがあれば、今すぐに改めていくこと。
例えば、夫婦の間で意見の相違や思い通りにならないことがあったとしても、
すぐに相手を否定したり、嫌ったりせずに、まずは一度受け止めること。
人の行動の「欠点」ばかりに目を向けて、
相手を変えよう、改めさせようとすればするほど、
人は意地になり、やめようとしなくなるもの。
まずはあなたが相手を変えようとしていた気持ちを改め、
もう少し、おおらかな気持ちで状況を受け止めること。
そうすることで、イライラすることも減り、子育てにも余裕が生まれるはず。
同時に、じっくりとお子さんを観察し、美点を探してみること。
見方を変えれば、大変好奇心の強い、行動的な子供とも言える。
「自分もやってみたい」「お手伝いをしたい」という積極性の表れとも取れる。
エジソンが、「アヒルの卵を自分で孵したい」と鶏小屋にこもって卵を温めた話は有名。
好奇心の芽を摘み取らないように大切に育てたいもの。
そのためには、美点をたくさん発見して褒めてあげる。
褒めるとは認めるということ。
子供は認められると嬉しくなり、その喜びが、
物事に進んで取り組む姿勢や、諦めずに取り組む忍耐力を育む。
子供にとって、家庭以外の場所で長時間過ごすことは、かなりのストレス。
保育園から戻ると、どうしても嬉しさでハイテンションになり、
あれこれいたずらしてしまうのではないか。
このような行動は、
「もっとかまってほしい」
「こっちを見て」
というメッセージとも考えられる。
自分がどれくらい、お子さんの話を聞いてあげられているかを省みる。
子どもの好きなものや、子どもが両親にしてほしいと思っていることは理解しているか。
また、その思いにどれぐらい応えてあげているか。
これまでの対応について、今一度夫婦で思い当たる点をよく話し合い、
うまく対応できていなかったことがあれば、
できることから工夫してやってみる。
昔から
「男性は森を見て木を見ない。女性は気を見て森を見ない」
と言われるように、男性は全体を見通す力に優れている。
女性は目の前の細々としたことによく気がつくもの。
全体を把握する力を持った男性は、
日頃の細かなことは全て奥様に任せ、
奥様の相談に乗ってあげるなどして、
ここぞという時にはしっかりと息子さんに向き合い、しつけをすること。
お父さんとお母さんがそれぞれの特性を生かした役割を担い、
夫婦で協力し合って、子育てに取り組んで初めて、
お子さんにも事の重大さが伝わり、秩序のある家庭教育となる。
あなたの物の見方や行動が変わったとき、
パートナーの見方や行動も変わり、
お子さんの変化した姿を発見されるはず。
もし、こうした相談をされたら、僕も間違いなく、
「勇気づけ」て躾ける、育てることをオススメします。
「5歳児だったら、これくらいできて当たり前」
「周りの子どもと比べて、うちの子はなぜか、これができない」
と、他人との比較、年齢での成長に対する思い込みが親の側にはあって、
それが子どものダメなところに光をあてる結果となってしまいがち。
もちろん、凹みが気になるのは人間の特性なので、
それは受け入れた上で、それでも、「勇気づけ」の関わり、つまり、
「良いところ」に目を向けて、「感謝」を伝える、「良いところ」を伝える、
「失敗」を許容して、「聞き役」に徹して、
「変化・成長」に目を向けていくことが大事だと思うのです。
多くの子育てや教育では、反対の「勇気くじき」の関わりが非常に多いです。
本人の現状を無視した「高過ぎるゴール・目標設定」、
それに基づいた「減点主義」での評価、「ダメ出し」
過去の本人ではなく、「他人との比較」、
「失敗」を批判し、「一方的に決めつける」こと。
こうした関わりがあっては、子どもの心は育ちませんし、
「自分はダメな子なんだ」という子どものセルフイメージの低下、
自己肯定感の低下につながります。
また、子供は「注目」をされたいもの。
「悪いことをやった時にだけ注目を得られる」ということを学んだ子供は、
たとえ怒られることがわかっていたとしても、「注目」されたいがために、
「悪いこと」をあえてやるようになります。
「不適切な行動には注目をしない」ということも非常に大事。
「適切な行動」にだけ注目を与えていくことが、非常に重要です。
この辺りを意識して、子どもの今を大切に、心を育てていきたいですね。
今日も生きてます。
今ある命に感謝して、目の前の家族・子ども・周りの方々とのご縁を大切に、
豊かな時間を、味わって過ごしましょう!
ありがとうございます!
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