「組織は人を変える。

 

 否応無しに変える。

 

 成長させもすれば、いじけさせたりもする。

 

 人格を形成させもすれば、破壊したりもする。

 

 従って、バカバカしい間違いは避けなければならない。

 

 第一に、不得意なことで何かを行わせてはならない。

 

 第二に、近視眼的に育ててはならない。

 

 身につけさせるべきスキルはある。

 

 だが、人を育てるということはそれ以上のことである。

 

 キャリアと人生に関わることである。

 

 仕事は人生の目標に合わせなければならない。

 

 第三に、エリート扱いをしてはならない」

 

 

 

 

<してはならないこと>

 

1、弱みを用いて仕事をさせること。

 

 

2、仕事の枠に閉じ込めてしまうこと。

 

  人を育てるとは、単に仕事ができるようにすることではなく、

 

  その人が、キャリアを積みなが人間的に成長するようにすること。

 

  人生の目標は人それぞれ。

 

  家族、経済面、趣味やボランティア、地域社会など、様々な側面を内包している。

 

3、人材開発を性急に行うこと。

  成長にショートカットコースはない。

  早く結果を出させようと急かしたところで、どこかに無理がくる。

  また、誰もが同じルートを辿って成長するわけでもない。

  その人なりの限界に、その人のペースで挑戦することが大切。

 

 

 

 

 

『禅問答入門』角川選書

 

何も言わないことが、本質を示す重要な方法。

 

言葉ですべてを伝え尽くすことはできない。

 

それは「自ら実践し、知覚により習得すべきもの」。

 

 

 

 

【実践シート(5)】

 

あなたが重要と思う動機付け要因は何ですか?

 

下記の①~⑤について、優先順位をつけてください。

 

[   →   →   →   →   ]

 

<選択肢>

 

①組織が何をしようとしており、どこに向かおうとしているかが明確であること。

 

②自分に合った仕事を責任とともに与えられ、それが自己実現に結びついていること。

 

③継続学習と継続訓練の機会があり、成長の環境があること。

 

④必要な報酬を得られること。

 

⑤仲間として自分や専門分野について敬意を払われること。

 

 

 

 

 

【実践シート(6)】

 

あなたが育成している人は誰ですか?

 

その人に対して、行っていることは何ですか?

 

________さん

 

<その人のためにあなたが行っていること>

 

 

 

 

 

 

【実践シート(7)】

 

メンバーの人生設計を聞いてみましょう。

 

あなたがその人のために、今の仕事を通じて成長の手助けをできることがあるか、考えてください。

 

_______さん

 

<今の仕事を通じて手助けできること>

 

 

 

 

 

【実践シート(8)】

 

あなたのお手本となる上司を挙げ、学びたい点と、自分のどんな行動に生かすかを挙げてください。

 

_______さん

 

①学びたい点

 

 

②その学びを自分のどんな行動に生かすか

 

 

 

 

 

 

 

 

「マネジャーたるものは、

 

 上は社長から下は職長や事務主任に至るまで、

 

 明確な目標を必要とする」

 

 

 

 

 

 

企業の目的は「顧客の創造」であり、利益は存続の条件である。

 

利益は、目的でもなく、目標でもなく、生きていくための条件。

 

利益を目的としてしまうと、働く人々は心穏やかではいられない。

 

利益の分配の多寡を問題視する不毛の問いが顔を出してくる。

 

働きがいどころか、不信感漂う職場となることは目に見えて明らか。

 

自分たちが歴を生んでいると考えるのは傲慢。

 

利益は顧客からもたらされるもの。

 

目標は、利益からスタートするのではなく、顧客に提供できる価値は何かから考えるもの。

 

 

 

 

 

 

「あらゆる組織が3つの領域における成果を必要とする」

 

1、直接の成果:売上高・利益額・顧客数

 

2、価値への取り組み:顧客価値・組織の価値観

 

3、人材育成:自己開発と他人の自己開発を支援すること

 

 

 

 

 

 

「金メダルは、ホップ・ステップ・ジャンプのホップにすぎない」

西田文郎氏

 

 

 

目標設定の仕方によって、成果に大きな差が生まれるし、燃え尽き症候群を回避することもできる。

 

 

 

 

 

「マネジメントたる者は、組織の目標が自らに対して要求しているものを知り、理解しなければならない。

 

 その上司は、部下に対して要求し、期待すべき貢献の何たるかを知らなければならない。

 

 これらのことが行われないならば、彼らは間違って方向づけされ、その活動は無駄に終わる」

 

 

 

 

 

プロ野球の監督は、球団という組織からすれば、いちマネジャーにすぎない。

 

目標は「優勝」と明確であり、皆が目標に向かう意識も少なからずある。

 

しかし、時として、こんなことがある。

 

投手陣に抑えの切り札がいないシーズンに、先発の一人をリリーフに回さなければならない事態が発生したとする。

 

長年先発でやってきた本人は、やりたいこと=先発を主張する。

 

そこで監督は、チームの事情を説明し、目標を達成するために、「要求」と「期待すべき貢献の姿」を伝える。

 

それがマネジャーの仕事。

 

もし、貢献の意味を理解しないまま、役割の変更をしぶしぶ引き受けたなら、彼は間違って方向づけされるかもしれない。

 

本来の力を出し切れず、本人にとってもチームにとっても、不本意に終わる可能性もある。

 

現場では常に人材は不足している。

 

馴染みのない分野に取り組んでもらわなければならないこともある。

 

そんな時、組織の目標を理解し、「期待すべき貢献の姿」を語っているだろうか?

 

「間違った方向づけ」は、そこかしこで起きている。

 

 

 

 

 

「今日必要とされているものは、

 

 一人ひとりの人の強みと責任を最大限に発揮させ、

 

 彼らのビジョンと行動に共通の方向性を与え、

 

 チームワークを発揮させるためのマネジメントの原理、

 

 すなわち、一人ひとりの目標と全体の利益を調和させるためのマネジメント原理である。

 

 これらのことを可能にする唯一のものが、自己管理による目標管理である」

 

ポイントは、「彼らのビジョンと行動に共通の方向性を与える」こと。

 

人生の多くを過ごす職場で、どのように自己実現を図っていくか。

 

一人ひとりの未来像と、組織でなされるべき仕事のベクトルを合わせること。

 

 

 

 

「自己管理による目標管理こそ、まさにマネジメントの『哲学』とも呼ぶべきものである」

 

 

 

より大きな責任を負う覚悟のある者だけが、最高の成長の機会を手にできる。

 

 

 

 

 

<定性目標の立て方>

 

目標は、後に評価測定することを前提に立てなければならない。

 

大事な事項はきちんと目標として掲げ、それをどうやって具体的に表現し、定点観測できるようにするかを工夫すべき。

 

 

1、定量目標に置き換える

 

 【例1】顧客価値への取り組みの進捗度合いを測定するため、毎月の紹介率、リピーター率などの代替指標を用いる。

 

 【例2】人材育成の達成度を測るため、毎月評価すべき能力や行動項目を決め、5段階で点数化して集計する。

 

 

2、定性情報をそ

のまま活用して目標を導く

 

 【例1】顧客価値を高めるため、顧客の声からサービス改善のアイデアを毎月5件立案する。

 

 【例2】品質水準を高めるため、不良品発生報告書から要因を特定し、毎月5件以上の改善を行う。

 

 

3、定量目標に置き換える

 

 【例1】仕事の仕組みがうまく機能しているかを測定するため、1人あたり超過残業時間を測定する

 

 【例2】人材育成がうまく機能しているかを測定するため、社内の自主勉強会に何人が参加したかを測定する

 

 

 

 

 

 

【実践シート(9)】

実践シート(1)で記したチームの成果を踏まえて、

 

あなたのチームの目標と、他部門との貢献のつながりを確認してください。

 

①「直接の成果」についての目標

 

②「価値への取り組み」についての目標

 

③「人材育成」についての目標

 

④他部門にどのような貢献をするか、その目標

 

⑤他部門からどのような貢献を獲得するか、その目標

 

 

 

 

 

 

【実践シート(10)】

 

実践シート(9)を踏まえて、あなた自身が取り組むべき目標をあげてください。

 

①「直接の成果」についての目標

 

②「価値への取り組み」についての目標

 

③「人材育成」についての目標

 

④他のメンバーにどのような貢献をするか、その目標

 

⑤他のメンバーからどのような貢献を獲得するか、その目標

 

 

 

 

 

 

評価はメンバー自身の成長のためにある。

 

マネジャーは、メンバー自身が評価測定を行うことを支援する、というスタンス。

 

 

 

 

評価項目は、常に意識して行動すべき項目なので、少ないにこしたことはない。

 

<外してはならない要素>

 

1、組織への貢献の範囲・深度

 

2、自らの強みや得意分野をどれだけ発揮し、広げたか

 

 

 

 

把握すべきは外の世界。

 

<自分たちの仕事が外の世界からどのような評価を受けているかを知る方法>

 

1、予期せぬ成果を集め、記録すること

 

  起こったことを偶然として片付けず、深く追求する。

 

  思いもよらない業務の電話。商談先からの新しいオーダー。展示会会場での意外な提携話などを日常的に収集し記録しておく。

 

 

2、ノンカスタマー(まだ自社の顧客になっていない潜在顧客)に聞く。

 

 

 

「データ化できるものだけでなく、データ化できないものを考えなければならない。

 

 データ化できないものについての配慮を忘れたデータ化は、組織を間違った方向へと導く。

 

 結果として間違った情報を伝える。

 

 しかも、データ化に成功するほど、それらデータ化したものにとらわれる」

 

 

 

データが語る事実は、現実の一側面を投影しているだけ。

 

しかも、「データ化できるものは、すでに発生した事実、過去についてのものである。未来のデータはない」。

 

 

 

 

<管理手段の7つの条件>

 

1、効率性

 

2、意味性

 

3、適切性

 

4、精密性

 

5、適時性

 

6、単純性

 

7、実用性

 

 

 

 

データをとる、情報を集めるという意思を示すことは、

 

「われわれはそれを重視する」というメッセージを内外に発信すること。

 

それだけに、瑣末なことでデータをとってはならない。

 

 

 

 

 

【実践シート(11)】

 

実践シート(10)で設定した目標を測定するための尺度を、具体的に書きましょう。

 

①「直接の成果」についての測定尺度

 

②「価値への取り組み」についての測定尺度

 

③「人材育成」についての測定尺度

 

④「他のメンバーへの貢献」についての測定尺度

 

⑤「他のメンバーから獲得する貢献」についての測定尺度

 

 

 

 

 

【実践シート(12)】

 

実践シート(11)で設定した目標の測定に必要となる、最低限の情報とは何ですか?

 

①「直接の成果」の測定に必要な情報

 

②「価値への取り組み」の測定に必要な情報

 

③「人材育成」の測定に必要な情報

 

④「他のメンバーへの貢献」の測定に必要な情報

 

⑤「他のメンバーから獲得する貢献」の測定に必要な情報

 

 

 

 

 

「仕事と労働(働くこと)とは根本的に違う。

 

 仕事の生産性を上げる上で必要とされるものと、人が生き生きと働く上で必要とされるものは違う」

 

 

 

「仕事は客観的・理論的なものである」

 

要素に分解し、統合することが可能。

 

働くことは、人そのものであり、心身であり、分解は不可能。

 

 

 

「マネジメントには、仕事を生産的なものとし、人に成果をあげさせる役割がある」

 

 

 

 

 

 

「売れない製品の設計図を迅速かつ大量に、

 

 しかも見事な出来栄えで書く設計部門ほど、意味のない存在はない」

 

 

 

 

 

 

人に仕事を適合させるのではなく、仕事に人を適合させる。

 

そのために、仕事をきちんと生産的なものに設計する。

 

それが、人に仕事を任せる際の前提条件。

 

そうでなければ、代替性を欠き、収拾がつかなくなってしまう。

 

 

 

 

 

<仕事を生産的なものにするための4つのポイント>

 

1、仕事の分析:仕事に必要な作業・順序などを分析する。

 

2、プロセスへの統合:「1」の作業を集め、仕事のプロセスとして編成・統合する。

 

3、管理:「2」のプロセスの中に、方向付け、質と量、基準と例外など、管理のための手段を講じておく。

 

4、ツール:最後にツールを用意する。

 

 

 

 

 

 

「仕事を生産的なものにするには、さらに基本的なことが一つある。

 

 成果、すなわち、仕事のアウトプットから考えることである」

 

 

 

 

 

 

 

「あらゆる動物の中で、人間だけが意識して進化する。

 

 すなわち、道具を作る」

 

アルフレッド・ラッセル・ウォーレス

 

 

 

 

 

 

 

大切なのは、仕事のフローチャート作成のプロセスを決める作業に働く人自身が参画すること。

 

それが仕事に責任を持つ上で鍵となる。

 

 

 

 

 

 

「仕事とはプロセスである。

 

 プロセスではすべて管理しなければならない。

 

 従って、仕事を生産的なものとするには、仕事のプロセスに管理手段を組み込まなければならない」

 

 

 

 

 

「プロセスの管理とは、平均的な能力の者が、卓越した者並みの仕事ができるようにするものである」

 

 

 

 

<管理の条件>

 

1、人を管理するのではなく、仕事を管理すること。

 

2、基本的に例外管理を徹すること。

 

3、仕事の成果から自らフィードバックを行うこと。

 

 

 

 

 

 

「計画する能力を持つほど仕事の責任を持つことができる。

 

 それだけ生産性も高くなる。

 

 言われたことしかできなければ、有害なだけの存在となる」

 

 

 

 

 

 

【実践シート(13)】

 

あなたのチームに存在する仕事の中で、生産性をあげるべき仕事を洗い出してください。

 

①チームの仕事に関して

 

②自分の仕事に関して

 

 

 

 

 

【実践シート(14)】

 

実践シート(13)であげた仕事は、どうすれば生産性があがりますか?

 

1ヶ月以内に着手したいことやその方法を具体的にあげてください。

 

<生産性をあげたい仕事>

 

①どのようにして生産性をあげるか。

 

②いつ着手し、いつまでに達成するか。

 

 

 

 

 

「人間関係に優れた才能を持つからといって、よい人間関係がもてるわけではない。

 

 自らの仕事や人との関係において、貢献に焦点を合わせることにより、初めてよい人間関係がもてるのである。

 

 こうして人間関係は生産的なものとなる」

 

 

 

 

 

「チームワークの源は、横の関係、

 

 つまり、メンバー同士のコミュニケーションにある」。

 

 その根源にあるものが、「果たすべき貢献」。

 

 他の者が自分の貢献を利用してくれる時にのみ、

 

 成果をあげることができる。

 

 言い換えれば、

 

 自分が考える貢献の姿と、

 

 他人が期待する姿を一致させることが、

 

 コミュニケーションの目的であり、

 

 人間関係を生産的なものにするチームワークの原点。」

 

 

 

 

 

 

「コミュニケーションを成立させるものは、受け手である。

 

 コミュニケーションの内容を発する者、すなわち、コミュニケーターではない。

 

 彼は発するだけである。

 

 聞く者がいなければ、コミュニケーションは成立しない。

 

 意味のない音波しかない」

 

 

 

 

 

 

<コミュニケーションの4つの原理>

 

1、コミュニケーションとは知覚である

 

2、コミュニケーションとは期待である

 

3、コミュニケーションとは要求である

 

4、コミュニケーションと情報は異なる

 

 

 

 

 

「人は、知覚できるものしか知覚できない」

 

耳に届いていても、目に映っていても、経験したことのあるもの、経験からイメージできるものしか知覚できない。

 

 

 

 

「受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。

 

 期待するものを知って、初めて、その期待を利用することができる」

 

 

 

人は、誰かがいうことではなく、自分が聞きたいことを聞き取る。

 

たとえ聞こえたとしても、聞きたくないこと、あるいは、興味関心のないことには耳を向けてもらえない。

 

 

 

「コミュニケーションは受け手に何かを要求する。

 

 受け手が何かになること、何かをすること、何かを詩人ることを要求する。

 

 それは常に、何かをしたいという受け手の気持ちに訴えようとする」