かつて、ものすごく影響を受けた本書を再読してみました。
やっぱり、ここに、大事なものはギュッと凝縮されているなぁと、
改めて、いろんな本を読み返してみて、感じています。
本当に、わかりやすくまとめられた『はじめて読む』のにピッタリな本書!
おすすめです!
素敵な本をありがとうございました!
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『はじめて読むドラッカー【自己実現編】プロフェッショナルの条件』
マネジメントの定義は1つしかありえない。
それは、人をして何かを生み出させることである。
今後、組織の競争力は、この1点にかかっている。
マネジャーとは、「知識の適用と、知識の働きに責任を持つ者」である。
組織は、イノベーションをもたらすべく組織される。
イノベーションとは、創造的破壊である。
組織は、絶えざる変化を求めて、組織されなければならない。
組織の機能とは、知識を適用することである。
知識労働の生産性の向上を図る場合にまず問うべきは、
「何が目的か。
何を実現しようとしているか。
なぜそれを行うか」
もっとも効果的に知識労働の生産性を向上させる方法は、
仕事を定義し直すこと。
特に、行う必要のない仕事をやめること。
知識労働者は、自らが教える時にもっとも学ぶ。
従って、組織は、教える組織にならなければならない。
エグゼクティブは、4つの大きな現実に取り巻かれている。
1、時間はすべて他人に取られる。
2、自ら現実の状況を変えるための行動を取らない限り、
日常業務に追われ続ける。
3、組織で働いているという現実がある。
他の者が彼の貢献を利用してくれるときのみ、
成果をあげることができるという現実。
自らが、組織内の他の分野の人や上司に利用してもらい
成果につなげていく必要がある。
4、組織の内なる世界にいるという現実。
成果をあげることは1つの習慣である。
習慣的な能力の集積である。
「どのような貢献ができるか」を自問することは、
自らの仕事の可能性を追求することでもある。
知識ある者は常に理解されるように努力する必要がある。
生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義。
仕事において貢献する者は、部下たちが貢献すべきことを要求する。
「組織、および上司である私は、
あなたに対しどのような貢献の責任を持つべきか」
「あなたに期待すべきことは何か」
「あなたの知識や能力をもっとよく活用できる道はあるか」
こうしたことを聞いて初めて、
コミュニケーションが可能となり、
容易に行われるようになる。
貢献に焦点を合わせることで、
横へのコミュニケーション、
すなわち、チームワークが可能となる。
<私の人生を変えた7つの体験>
1、目標とビジョンを持って行動する【ヴェルディの教訓】
「いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった」
ビジョンを持って、努力を続けることこそ、老いることなく成熟するコツ。
2、神々が見ている【フェイディアスの教訓】
「彫像の背中は見えない。誰にも見えない部分まで彫って請求してくるとは何事か」
「そんなことはない。神々が見ている」
成果をあげる人は、誇りを持ち、完全を求める。
3、一つのことに集中する【記者時代の決心】
一時に一つのことに集中して勉強する。
日常生活の中に、継続学習を組み込んでいる。
常に新しいことを行う。昨日行ったことを、今日も行うことに満足しない。
4、定期的に検証と反省を行う【編集長の教訓】
毎週末、一人ひとりと差し向かいで、1週間の仕事ぶりについて話し合う。
加えて、半年毎に、土曜の午後と日曜を使って、半年間の仕事ぶりについて話し合う。
優れた仕事・一生懸命やった仕事・一生懸命やらなかった仕事・お粗末な仕事や失敗
最後の2時間を使ってこれから半年間の仕事について話し合う。
「集中すべきことは何か」「改善すべきことは何か」「勉強すべきことは何か」
自らの仕事ぶりの評価を、仕事そのものの中に組み込んでいる。
5、新しい仕事が要求するものを考える【シニアパートナーの教訓】
「新しい仕事で成果をあげるには何をしなければならないか」を自問する。
6、書き留めておく【イエズス会とカルヴァン派の教訓】
何か重要な決定をする際に、その期待する結果を書き留めておく。
そして、一定期間の後、実際の結果とその期待を見比べる。
その結果、「自分は何がよく行えるか、何が強みか」
「何を学ばなければならないか、どのような癖を直さなければならないか」
「どのような能力が欠けているか、何がよくできないか」を知る。
「自らの強みが何か」を知ること、
「それらの強みをいかにしてさらに強化するか」を知ること、
そして「自分には何ができないか」を知ることこそ、継続学習の要。
7、何によって知られたいか【シュンペーターの教訓】
人は「何によって人に知られたいか」を自問しなければならない。
その問いに対する答えは、年をとるにつれて変わっていかなければならない。
本当に知られるに値することは、人を素晴らしい人に変えることである。
自らをマネジメントする = 自らを、最も貢献できる場所に置き、成長していくこと。
そのために、強みを知る。
強みを知るために、フィードバック分析を行う。
フィードバック分析から、わかった強みに集中する。
その強みをさらに伸ばす。
知的な傲慢を正す。他人を馬鹿にしない。専門分野以外の知識を軽視しない。
自らの悪癖を改める。
人への接し方が潤滑油であることを知る。
成果の上がらないことは行なわない。
努力しても並みにしかなれない分野に無駄な時間を使わない。強みに集中する。
仕事の仕方を知る。
自分が読む人間か、それとも聞く人間か = 理解の仕方について
仕事の学び方。
膨大なメモを取ることによって学ぶ人。
自分が話すのを自分が聞いて、学ぶ人。
実際に仕事をしつつ学ぶ人。
仕事の仕方
人と組んだ方がいいか、一人の方がよいか。
チームの一員として働くとき、最高の人がいる。助言役として、最高の人がいる。
教師や相談役として、最高の人がいる。相談役としては全く価値のない人もいる。
仕事の環境
緊張感や不安があった方が仕事ができるか、安定した環境の方が仕事ができるか。
大きな組織で歯車として働いた方が仕事ができるか、小さな組織の方が仕事ができるか。
仕事上の役割
意思決定者と補佐役、どちらの方が成果をあげるか。
強みより、価値観を優先する。
時間を管理する。
成果をあげる者は仕事からスタートしない。
時間からスタートする。
計画からもスタートしない。
何に時間が取られているかを明らかにすることからスタートする。
次に、時間を管理すべく、自分の時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける。
そして、最後に、その結果得られた時間を大きくまとめる。
すなわち、時間を記録し、管理し、まとめるという3つの段階が、成果をあげるための時間管理の基本となる。
時間を管理するには、
まず自らの時間をどのように使っているかを知らなければならない。
成果をあげている組織では、
組織のトップたちが意識して時間を割き、
「あなたの仕事について、何を知らなければならないか」
「この組織について、何か気が付いたことはないか」
「我々が手をつけていない機会は、どこにあるか」
「まだ気づいていない危険はどこにあるか」
「私から聞きたいことは何か」
と聞いている。
時間をどのように使っているかを知り、
続いて時間の管理に取り組むには、
まず時間を記録する必要がある。
知識労働者が成果をあげるための第一歩は、
実際の時間の使い方を記録することである。
最低でも年2回ほど、3~4週間記録を取るべき。
記録を見て、日々の日程を見直し、組み替えていかなければならない。
<仕事を整理する>
1、する必要の全くない仕事、すなわち、
いかなる成果も生まない完全な時間の浪費であるような仕事を見つけ、捨てる。
2、「他の人間でもやれることは何か」を考える。
3、自らがコントロールし、自らが取り除くことのできる時間浪費の原因を排除する。
自分が他の人の時間を浪費していることに気づく。
ただ他の人に定期的に聞けば良い。
「あなたの仕事に貢献せず、ただ時間を浪費させるようなことを、私は何かしていますか?」
答えを恐れることなく、こう質問できることが、成果をあげる者としての条件である。
ある役員は、議題のいかんに関わらず、あらゆる会議に役職者全員を参加させていた。
その結果、会議の出席者が多くなり過ぎていた。
しかも彼らは、会議に関心があることをアピールするだけのために、
少なくとも1回はあまり意味のない質問をするようになっていた。
そのため、会議はいつも長引いていた。
この役員は、部下たちもその会議を時間の浪費と考えていることを知らなかった。
彼は、組織の全員が情報を共有すべきであり、かつ、地位にふさわしい扱いを受けるべきだと考えていた。
彼は、会議に呼ばれない人は、軽んじられたと感じるのではないかと恐れていた。
今日ではこの役員は、別の方法によって、そのような不安を解消している。
会議の前に、次のような連絡メモを、部内の全員に届けさせている。
「私は【スミス、ジョーンズ、ロビンソンの各氏】に対し、
【水曜の午後3時】に【4階会議室】において、
【来年度の資本支出予算】について検討するため、
私と会議を持つよう手配しました。
検討に参加を希望される場合、
あるいは情報を必要とする場合には、
会議に出席されるようご案内します。
なお出席されない場合においても、
会議終了後、討議の要約と決定の内容をお届けし、
その際には、あなたのコメントを要請することにします」
かつては十数人が出席し、午後一杯かけていた会議が、
今では数人の出席者と、記録を取る一人だけになり、
1時間ほどで済むようになった。
しかも、誰ひとり、ないがしろにされたとは感じていない。
<マネジメントの欠陥がもたらす時間の浪費>
1、システムの欠陥や先見性の欠如からくる時間の浪費
2、人員過剰からくる時間の浪費
3、組織構造の欠陥からくる時間の浪費
会議の過剰
何よりもまず、会議は原則ではなく、例外にしなければならない。
皆が会議をしている組織は、何事もなし得ない組織である。
4、情報に関わる機能障害からくる時間の浪費
情報共有の仕組みの欠如
成果をあげるためには、自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。
大きな成果をあげているある人は、
緊急かつ重要な仕事とともに、
気の進まない仕事についても、
締め切りを設けたリストを作っている。
それらの締切日に遅れ始めると、
自由にできる時間が再び奪われつつあることを知る。
時間を無駄にしている暇はない。
成果をあげるための秘訣を1つだけあげるならば、それは集中である。
成果をあげる人は、最も重要なことから始め、しかも、一度に1つのことしかしない。
真に生産的な半日、あるいは2週間を手に入れるためには、
厳しい自己管理と、ノーと言えるだけの不動の決意が必要である。
人には驚くほど多様な能力がある。
人はよろず屋である。
だが、その多様性を生産的に使うためには、
それらの多様な能力を1つの仕事に集中することが不可欠である。
あらゆる能力を一つの成果に向けるには、集中するしかない。
集中は、あまりに多くの仕事に囲まれているからこそ、必要となる。
なぜなら、一度に一つのことを行うことによってのみ、早く仕事ができるからである。
時間と労力と資源を集中するほど、実際にやれる仕事の数や種類は多くなる。
これこそ、困難な仕事をいくつも行う人たちの秘訣である。
彼らは一時に一つの仕事をする。
その結果、他の人たちよりも少ない時間しか必要としない。
成果の上がらない人は、第一に、一つの仕事に必要な時間を過小評価する。
すべてがうまくいくものと楽観する。
だが、誰もが知っているように、うまくいくものなど一つもない。
予期しないことが常に起こる。
しかも、予期しないことは、ほとんど常に、愉快なことではない。
従って、成果をあげるためには、実際に必要な時間よりも余裕を見なければならない。
第二に、彼らは急ごうとする。
そのため、さらに遅れる。
成果をあげる者は、時間と競争しない。ゆっくり進む。
第三に、彼らは同時にいくつかのことをする。
そのため手がけている仕事のどれ一つにも、まとまった時間を割けない。
いずれか一つが問題にぶつかると、すべてがストップする。
集中するための第一原則は、
もはや生産的でなくなった過去のものを捨てることである。
そのためには、自らの仕事と部下の仕事を定期的に見直し、
「まだ行っていなかったとして、今これに手をつけるか」
を問わなければならない。
答えが無条件にイエスでない限り、やめるか、大幅に縮小すべきである。
もはや生産的でなくなった過去のもののために、資源を投じてはならない。
ただちに資源、特に人の強みという希少な資源を引き上げ、明日の機会に充てなければならない。
今日という日は、常に、昨日の決定や行動の結果である。
常に計画、活動、仕事を点検する。
「これは価値があるか」と自問する。
答えがノーであるならば、真に意味のある仕事に集中するために、それらのものを捨てる。
成果をあげる者は、新しい活動を始める前に必ず、古い活動を捨てる。
新しいものにやさしいものはない。
新しいものは、必ず問題にぶつかる。
従って、切り抜ける手立てを最初から高じておかなければ、失敗は必然である。
そして、新しいものを難局から救う唯一の手立てが、仕事のできる人を用意しておくことである。
そのような人は常に忙しい。
今の負担を軽くしてやらなければ、新しい仕事を引き受けてはもらえない。
古いものの廃棄こそ、新しいものを強力に進める唯一の方法である。
昨日の仕事に忙しすぎる組織が多すぎる。
本当に行うべきは、優先順位の決定ではない。
優先順位の決定は比較的容易である。
集中できる者があまりに少ないのは、
劣後順位の決定、すなわち、
取り組むべきでない仕事の決定と、その決定の遵守が至難だからである。
優先順位と劣後順位の決定について、必要なのは勇気である。
1、過去ではなく、未来を選ぶこと。
2、問題ではなく、機会に焦点を当てること。
3、横並びではなく、自らの方向性を持つこと。
4、無難で容易なものではなく、変革をもたらすものに照準を合わせること。
集中とは、
「真に意味あることは何か」
「最も重要なことは何か」
という観点から、
時間と仕事について、
自ら意思決定をする勇気のこと。
この集中こそ、時間や仕事の従者となることなく、
逆にそれらの主人となるための唯一の方法である。
成果をあげるためには、意思決定の数を多くしてはならない。
「もう一度調べよう」という誘惑に負けてはならない。
臆病者は、勇者が一度死ぬところを、1000回死ぬ。
「もう一度調べよう」という誘惑に対しては、
「もう一度調べれば、何か新しいことが出てくると信ずるべき理由はあるか」
を問わなければならない。
もし答えがノーであれば、再度調べようとしてはならない。
自らの決断力のなさのために、有能な人たちの時間を無駄にすべきではない。
コミュニケーションを成立させるのは、コミュニケーションの受け手である。
聞く者がいなければ、コミュニケーションは成立しない。
コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければ成立しない。
コミュニケーションを行おうとするときには、
「このコミュニケーションは、受け手の知覚能力の範囲内か、
受け手は受け止められるか」
を考える必要がある。
我々は知覚することを期待しているものだけを知覚する。
期待していないものは、受け付けられもしない。
見えもしなければ聞こえもしない。
無視される。
あるいは、間違って見られ、間違って聞かれる。
コミュニケーションは常に、受け手に対し何かを要求する。
受け手が何かになることを、何かをすることを、何かを信じることを要求する。
耳を傾けることは、コミュニケーションにおいて、すべてではない。
スタートにすぎない。
情報が多くなれば、コミュニケーションギャップは、
縮小するどころか、むしろ拡大しやすくなる。
目標と自己管理によるマネジメントこそ、
コミュニケーションの前提である。
「自分はいかなる貢献を行うべきであると考えているか」
が明らかにされ、上司と部下のギャップが明確になる。
同じ事実を違ったように見ていることを互いに知ること自体が、
価値あるコミュニケーションである。
コミュニケーションを成立させるには、経験の共有が不可欠。
組織においてコミュニケーションは手段ではない。
組織のあり方である。
リーダーの本質は行動にある。
リーダーシップそのものは、よいものでも、望ましいものでもない。
それは手段である。
何のためのリーダーシップかが問題である。
リーダーとは、目標を見定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者。
<リーダーの要件>
1、リーダーシップを仕事と見ること。
効果的なリーダーは、自分が世界の支配者ではないことを、痛いほど知っている。
スターリン、ヒトラー、毛沢東といった似非リーダーだけが、幻想にとりつかれた。
2、リーダーシップを、地位や特権ではなく、責任と見ること。
真のリーダーは、他の誰でもなく、自らが最終的に責任を負うべきことを知っているが故に、部下を恐れない。
真のリーダーは、人間のエネルギーとビジョンを創造することこそが、自らの役割であることを知っている。
3、信頼が得られること。
信頼するということは、リーダーの言うことが、真意であると確信を持てること。
リーダーシップは、賢さに支えられるものではない。一貫性に支えられるものである。
成果をあげるためには、人の強みを生かさなければならない。
弱みを気にしすぎてはならない。
人に成果をあげさせるためには、「自分とうまくやっていけるか」を考えてはならない。
「どのような貢献ができるか」を問わなければならない。
「何ができないか」を考えてもならない。
「何を非常によくできるか」を考えなければならない。
特に人事では、一つの重要な分野における卓越性を求めなければならない。
上司の強みを生かす。
上司の強みを生かすことは、部下自身が成果をあげる鍵である。
上司に認められ、活用させることによって、初めて自らの貢献に焦点を合わせることが可能となる。
自らが信じることの実現が可能になる。
「上司は何がよくできるか」「何をよくやったか」
「強みを生かすためには、何を知らなければならないか」
「成果をあげるためには、私から何を得なければならないか」
を考える必要がある。
上司が得意でないことを、あまり心配してはならない。
読む人に対しては、口で話しても時間の無駄である。
彼らは、読んだ後でなければ、聞くことができない。
逆に、聞く人に分厚い報告書を渡しても紙の無駄である。
耳で聞かなければ、何のことか理解できない。
<なすべきでないこと>
1、凝りすぎてはならない。
普通の人が使えるものにする。
2、多角化してはならない。
一度に多くのことを行おうとしてはならない。
3、未来のためにイノベーションを行おうとしてはならない。
現在のために行わなければならない。
<成功するイノベーションの条件>
1、イノベーションは集中でなければならない。
2、イノベーションは強みを基盤としなければならない。
3、イノベーションは、つまるところ、経済や社会の変革を目指さなければならない。
<第二の人生を設計する方法>
1、第二の人生を持つこと
2、第二の仕事を持つこと
3、篤志家(ソーシャル・アントレプレナー)になること
第二の人生を持つには、本格的に踏み切るかなり前から助走しなければならない。
自らの成長のために最も優先すべきは、卓越性の追求である。
数年前に、かかりつけの腕のいい歯医者に聞いたことがある。
「あなたは何によって憶えられたいか」
答えは、「あなたをしたい解剖する医者が、この人は一流の歯医者にかかっていたと言ってくれること」だった。
この人と、食べていくだけの仕事しかしていない歯医者との差の何と大きなことか。
同じように、組織に働くものにとっては、自らの成長は、組織の使命と関わりがある。
自らを成果をあげる存在にできるのは、自らだけである。
他の人ではない。
従って、まず果たすべき責任は、自らの最高のものを引き出すことである。
成功の鍵は責任である。
自らに責任を持たせることである。
最初の仕事はくじ引きである。
最初から自らに適した仕事につく確率は高くない。
得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには数年が必要である。
「得るべきところはどこか」を慎重に考えた結果が、
今働いているところではないということであるならば、
次に問うべきは、「それはなぜか」である。
「組織の価値観になじめないからか」
「組織が堕落しているからか」
もし、そうであるならば、人は確実にダメになる。
自らが価値あるとするところで働くのでなければ、
人は、自らを疑い、自らを軽く見るようになる。
日常的な毎日が心地よくなったときこそ、
違ったことを行うよう自らを駆り立てる必要がある。
「燃え尽きた」とは、たいていの場合、飽きたというだけのことである。
喜びは成果の中になければならない。
石臼に向かいながらも丘の上を見なければならない。
仕事に飽きるということは、成果をあげるべく働くのをやめるということである。
<成長のプロセスを維持していくための強力な手法>
1、教えること
うまくいったことをどのように行ったかを仲間に教える。
2、移ること
別の組織で働く。
3、現場に出ること
1年に何度か、現場で働く。
ある医療管理者が、数年前、ストか何かの流行病のために、
病棟看護人のひとりとして、1週間ほど働かなければならなかった。
毎日がドラマだった。
学ばざるを得なかった。
真剣にならざるを得なかった。
今日、その病院では、年に1週間、管理者はすべて病棟で働く決まりにしている。
ドラッカーが13歳のとき、宗教の素晴らしい先生がいた。
教室の中を歩きながら、「何によって憶えられたいかね」と聞いた。
誰も答えられなかった。
先生は笑いながらこう言った。
「今答えられるとは思わない。でも、50歳になっても答えられなければ、人生を無駄にしたことになるよ」
長い年月が経って、私たちは、60年ぶりの同窓会を開いた。
ほとんどが健在だった。
「フリーグラー牧師の質問のことを覚えているか」と言った。
みな覚えていた。
そしてみな、40代になるまで意味がわからなかったが、
その後、この質問のおかげで人生が変わったと言った。
今日でも、私は、この「何によって憶えられたいか」を自らに問い続けている。
これは、自らの成長を促す問いである。
なぜなら、自らを異なる人物、そうなり得る人物として見るよう仕向けられるからである。
金銭欲に訴えてやる気を起こさせることが不可能なのであれば、
彼らの価値観を満足させ、社会的な地位を与え、
社会的な力を与えることによって、活躍してもらわなければならない。