フロー経営について、分かりやすい本がないかなぁと思って手に取ったところ、抜群の面白さと分かりやすさであっという間に読みきってしまった本です。
漫画ですが、中身も濃いし、おすすめです。


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石岡ひとみ
子ども4人を持つ母。2005年まで26年間主婦。2005年フランチャイズのコーヒー店をオープン。
開業時の借金があったのでやめられず。2012年時点でも業績低迷。本人はずっと無給。
2012年4月から天外塾を受講。「フロー経営」を学ぶ。
「『儲からないから給料が出ない』と言い続けているうちはいつまでも給料は出ない」と言われ、給料を出すことに。

経営者は管理型マネジメントが好きな人が多い。
自分で方策を考えて、その通りに人を動かして、もしうまくいったら「どんなもんだい」と誇らしい気持ちになる。
自己顕示欲が満足する。たとえ失敗しても、それが自分の成長につながる。

管理型経営で問題を解決してしまうと、売り上げや利益は短期的にはよくなる。
しかし、スタッフは育たない。働きがいも出てこない。組織も強くならない。

スタッフのモチベーションを上げようと思ったら、すべてを自己判断でできるようにして、うまくいっても失敗しても、その責任を経営者が持つようにすればいい。

タダ働きをやめて自分も報酬をもらう。皆の時給を上げる。これを両方とも先にやってしまう。
そして皆に問いかける。
「今のままの売り上げだと、赤字が増えて大変なことになる。何とか皆で工夫して売り上げをあげてほしい。
どんな工夫でもいい。思いついたらどんどん実行して。
店長にもいちいち許可を取る必要はないから、各自がどんどんやってみて。
うまくやったら皆でやればいいし、ダメだったら即やめればいい。ともかく工夫をしよう。」と呼びかける。

勢いの良かった頃のソニー
「本当に面白い商品を考え付いたら、上司に内緒で物を作れ」「失敗したら闇から闇に葬れ」

上司から指示が出たら、工夫する楽しみを奪われてしまう。
社長の仕事は、社員が生き生きと仕事をしてくれるような仕掛け作り。

翌週の早朝5時。2店舗28名の全スタッフのうち、2名を除く全スタッフが集合し、決意表明。
705円の時給を750円に上げる。タダ働きだった自分も時給750円頂く。赤字がかさむので、そうならないように、いろいろな工夫をしてほしい。思いついたことはどんどん実行してほしい。店長はそれを温かく見守ってほしい。

ほとんどの人は、自分たちのお給料が生まれるには、売り上げが必要なことをしっかりと意識していない。
先に時給を上げたら、それに見合うだけの相当の努力をしないと、売り上げは上がらない。
ありとあらゆるところで、自分たちの工夫で自分たちの時給が出てくるという意識が出てこないといけない。

管理型経営=中学生レベルの経営
指示命令をして動かしていくやり方
フロー経営=大学院レベルの経営
指示命令を減らし、スタッフの自主的判断に任せる

スタッフは普通は会社にぶら下がっている感覚を持っている。
それを経営者視点を持つ人に育てていく。
そのために何をやるのか。
そこが経営者の腕の見せ所。

働きによって差をつけると全部台無しになる
差をつけようとすると、協力が乱れて、責任が生じて、チームワークが乱れてしまう。
成果が上がるのは全員の知恵、全員の協力の成果。個別の差をつけない。

スタッフがイキイキしてやる気が出て、自主的に様々な工夫をして、人間的にも成長するような経営を行うと、結果として、売り上げや利益も上がる。


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経営者は、「スタッフにどう主体性を持って働いてもらったらいいかわからない」
「どうやって人材を育てたらいいかわからない」といった悩みを抱えているように思います。

一方で、スタッフは、「もっと仕事を任せてほしい」「いちいち口を出さないでほしい」と思っているもの。

どこまでスタッフを信頼できるか。
どこまで、「愚者の演出」を経営者ができるか、というのが、一つの大きな鍵になりそうですが、フロー経営がもっともっと広まって、「非常識」な経営手法の企業がどんどん増えていったら、多くの人が、もっともっと自分らしく輝けるようになると思っています。

中途半端が一番しっぺ返しが来そうなのがフロー経営かもしれませんが、少しでも多くの企業に、いろんな形で取り入れられることを願っています。


名経営者に育った平凡な主婦の物語