介護事業所の経営者の皆様、こんばんは。
介護労務コンサルタント(社会保険労務士、介護福祉士)の松岡勇人です。
お給料の引き下げ、手順が大切
今回の介護保険法の改正で、介護報酬が下がる。
これに伴って、今後、一般の職員のお給料を引き下げる介護事業所も出てくると思われる。
日頃、過酷な介護現場で頑張ってくれる職員のお給料を下げることはツライことだが、無い袖は振れない!
介護事業所自体が潰れてしまっては、元も子もないのだ。
介護事業所の経営者の皆様の苦しい胸の内はよくわかる!
「職員のお給料を引き下げる」=「職員の生活に大打撃を与えることになる」ので、実際にお給料を引き下げる前に可能な限り手を施さなければならない。
具体的には、次のようなことに取り組む必要がある。
①役員報酬の削減を実行する(「隗より始めよ」をお忘れなく)
②人事評価の結果、評価の悪い役付き職員の降格(役職手当の削減)
③無駄な残業の削減を実行する(ケアの手順などを徹底して見直す)
④配置転換や出向(介護事業所ではチョッと考え難いが・・・)
⑤あらゆる経費の削減に取り組む(口腔ケア時の水道をこまめに節水は当たりまえ)
以上のようなことを介護事業所として取り組み、その結果を数字として表し、努力の成果と現状を職員に説明する。
これだけのことに事業所が一丸となって誠心誠意取り組んだ結果だから、完全に不満を払拭できなくとも、「お給料の引き下げも仕方ない・・・」という気分に職員がなり、理解を得られやすいハズだ。
また、お給料の引き下げは、原則、労働条件の不利益変更に該当するが、以下の4つの要素に
合理性があれば、不利益変更が認められる可能性があります。
具体的には、以下の4つです。
①職員の被る不利益の程度
②労働条件の変更の必要性
③就業規則の内容自体の相当性
④職員との交渉の経緯
仮に不利益変更が認められたとしても、引き下げできる額はお給料の10%、最大でも20%が限度です。
なぜならば、これ以上の引き下げを行った場合には、職員の生活が成り立たなくなる可能性が出てくるからです。
また、引き下げ分を補填できるよう、本業に支障がない程度で副業も認めるなど、今までは認めなかったことも検討した方がよいと思われます。
今号もご覧いただき、ありがとうございました。次号もよろしくお願いいたします。