介護事業所の経営者の皆様、こんにちは。
介護労務コンサルタント(社会保険労務士、介護福祉士)の松岡勇人です。
手待ち時間の喫煙は・・・
もう一昔前になりますが、2003年5月に健康増進法が施行されたのを契機に、官公庁施設や飲食店その他多数の者が利用する施設において、受動喫煙の防止が努力義務とされたため、分煙が加速度的に進みました。
健康増進法の施行後、様々な取り組みが行われた結果、徐々にタバコを吸う方のマナー等の向上もあって、タバコを吸わない者にとっては、タバコの煙を気にすることが少なくなったように思います。
職場に目を向けてみると、職場にもタバコ問題がありました。
①喫煙しない職員の受動喫煙の問題
②喫煙する職員の健康の問題
です。
上記2つの問題は、介護事業所の経営者の皆様と職員との間で締結された労働契約から生じる安全配慮義務の問題です。
こちらについても、様々な取り組みが行われたため、かなり改善が行われました。
そして、職場におけるタバコ問題には、3つ目があります。
③喫煙中が労働時間に該当するか、該当しないかの問題です。
3つの問題は、介護事業所の経営者の皆様と職員との間で締結された労働契約から生じる職務専念義務の問題です。
本日のブログでは、3つ目の問題に注目したい。
施設系の顧問先で、以前、勤務中の喫煙が問題になったことがあります。
この事業所では、健康増進法や健康志向の影響もあって、タバコを吸わない職員が増加した結果、タバコを吸わない職員から
タバコを吸う職員に対して不満の声が増えました。
どんな不満の声が問題となったのか?
喫煙中が労働時間に該当するか、それとも労働時間に該当しないかが問題になりました。
施設系介護の現場では、基本的にナースコールが鳴り止まない。
このような状況下で、勤務中の休憩時間にタバコを吸うならば、問題は生じない。
なぜならば、「休憩時間」とは、労働から完全に解放された時間だからだ。
一方、休憩時間と勘違いしやすいものとして、手待ち時間がある。
「手待ち時間」とは、仕事をしていないように見えるけれど、何かあればすぐに対応しなければならない時間をいいます。
施設系介護の現場で、「手待ち時間」とは、ケアとケアの間で、ナースコールも無く、ご利用者からのナースコールを待っている状態が該当するでしょう。
手待ち時間を休憩時間と勘違いしている職員は以外と多い。
手待ち時間に、1回の喫煙時間が5分、1日に6回の喫煙と考えると、
5分×6回=30分
なんと、1日に30分も働いていない時間が発生することになる。
ただでさえ、多忙な介護の現場。
タバコを吸わない職員から不満が出るのもわかる!
残業が多いのも介護の現場。
不満解消のためにも、喫煙時間を初めとする服務規律も再度確認してみると、不満も排除でき、残業時間も減るかもしれませんよ!
手待ち時間の喫煙は、職務専念義務違反であることを認識させましょう!
今号もご覧いただき、ありがとうございました。次号もよろしくお願いいたします。