行政書士と訴訟⑫

相続については、遺言があれば遺言に従うのが基本である。

ただし、兄弟姉妹の相続人には「遺留分」がある。遺留分は、遺言があっても

一定の割合は法律上留保されている。直系尊属、親、祖父母は3分の1、配偶者、妻とか夫は2分の1であるが、1年以内に侵害する遺贈の効力を否定する「遺留分減殺請求権」行使しないと権利が消滅してしまう。遺言は公正証書にすべきである、何故ならその効力を争うには無理だからである。

寄与分については、認められないのが一般的である。

遺産分分割については相続人全員で行うが、協議がまとまらない場合は家庭裁判所に調停してもらうことになる。

調停の管轄は相手方の住所地の家庭裁判所もしくは当事者全員で決めた家庭裁判所である。家庭裁判所には調停申立書定型様式が

備えられている。

必要な書類は被相続人の除籍謄本、改正原戸籍謄本、被相続人の出生から死亡までの戸籍に関する謄本類である。また遺産目録も必要である。遺産分割調停でまとまらない場合は、とくに手続きをしなくても裁判所での審判に移行する。

交通事故については、免許取消、免許停止等行政処分の問題、刑事事件としての問題、損害賠償等の民事事件としての問題がある。

民事の損害賠償は最低限の補償として自動車賠償責任保険で対応してくれる。任意保険がかけてあれば保険会社が自賠責でもまかなえない損害の賠償をしてくれる。

加害者が自賠責に入っていない場合は刑事処分される。任意保険に入っていても保険会社の賠償金の基準と裁判所が認めてくれる賠償基準に若干差があり、裁判所の認める金額のほうが高いので保険会社にう金額を丸呑みする必要はない。

法的手段を取らなくてはならない場合は、。後遺症の認定に不満がある場合、加害者と被害者の過失の問題がある。

損害賠償の対象となるのは

①財産的損害

 ・積極的損害

  交通事故にあったため出費を余儀なくされた損害

  物的損害

  修理費

  人的損害

  治療費、入院雑費、通院交通費、葬儀費用

 ・消極的損害

  ・休業損害

② 精神的損害

 ・慰謝料(入院期間に応じた慰謝料、後遺症に応じた慰謝

   料)

賠償金額であるが

・修理費・治療費⇒必要かつ相当な範囲での実損

・入院雑費⇒入院1日につき1500円

・通院交通費⇒公共交通機関の実費相当分

・休業補償⇒怪我をしたことによる休業したことによる現実に収

      入が減った額

・後遺症による収入減

 ⇒医師からの診断書に基づき、自動車損害保険料算出機構が1

  等級~14級までの等級を決定。

  計算の基礎となる事故前の現実の年収額である。67歳まで

  働けるとして、労働能力の喪失期間が決定される。

  賠償額は一時金先払いでもらえるが一定の利息が控除される

 (中間利息の控除)

  計算式は

  基礎収入額×労働能力喪失率×期間に応じた中間利息控除の係

  数

  家族が死亡したことによる遺族の収入減の計算式は

  基礎収入×(1-生活費控除率)×喪失期間に応じ中間利息の

  控除

  精神的損害に対する慰謝料も、ほぼ低額で決まっている。

  入通院対する慰謝料は、入通院の月数に応じて一覧表があ

  る。

  死亡に対する慰謝料は

  一家の支柱⇒2800万円

  配偶者⇒2400万円

  その他⇒2000万円~2200万円

  後遺症にに対する慰謝料は、後遺症の等級に応じてほぼ決ま

  っている。

  交通事故の裁判以外の手段であるが

  ①(財)日弁連交通事故相談センター(無料での弁護士相

    談)

    裁判所の基準に従って賠償を得たいとき利用する。

  ②自賠責保険(共済)審査会(裁判になる場合もある。)

    後遺症の認定に不満がある場合(弁護士、専門医など)

  裁判になる場合であるが

  ①過失割合に不満がある。

  ②後遺症認定に不満がある。

  請求額が140万円以下であれば簡易裁判所、140万円以

  上であれば地方裁判所で裁判を行う。相手方の住所地・被害

  者住所地・発生場所を管轄する裁判所

  必要書類は

  ①事故証明

  ②事故の状況についての証拠

  ③実況見分調書

  ④損害についての証拠(診断書、治療費の領収書、源泉徴収