行政書士と訴訟⑪

労働関係にまつわるトラブルには

賃金・労働時間・休日・解雇に関する者等様々なものがある。最近ではセクハラに関するもの加わった。

労働問題に関するトラブル解決機関としては、相談機関・紛争解決機関も数多くある。

民間の相談機関としては、弁護士・社会保険労務士による相談もあるが、労働組合に相談する場合もある。

行政機関の窓口としては、国の機関である労働基準監督署・都道府県労働局・各自治体の労政事務所がある。労働基準監督署は労働基準法違反があれば、労働基準を遵守するよう指導してくれる。

労働基準局の労働基準監督官は、警察と同様の権限ある。したがって、賃金・解雇予告手当の不払い・労働時間の違反等、最低限の労働基準の違反が明確なものに対しては、かなり強力な相談・紛争解決機関と言える。労働基準法に明確な規定がないものについては最終的には裁判で解決するしかない。

都道府県労働局は、厚生労働省の出先機関で、総合労働相談コーナーを設けて個々の労働者と使用者の間の労働紛争一般について相談を行っている。相談者から助言指導の申し出があれば郎度局長が助言指導をしてくれる。助言指導には強制力はない。

学識経験者が委員となる紛争調整委員会に中立・公正な立場で入ってもらい、。紛争解決のためのあっせん案を出してもらうこともできる。あっせん案は和解案と同じ効力を有するが合意しなければ効力は発生しない。労政事務所は、労働問題について豊富な知識を有する機関なので相談機関としてはかなり有効である。

労働裁判で裁判所の判断仰ぐこともできる。解雇の問題は裁判を行う前に従業員としての地位確保しておくために地位保全と賃金

仮払い仮処分を行う。

離婚をめぐるトラブルであるが

離婚には

①協議離婚

 夫婦が任意に合意して離婚することである。

②調停離婚

 家庭裁判所に離婚を申し立て、その調停が当事者の合意により

 まとまり、調停が成立することによる離婚である。

③審判離婚

 裁判所が調停に代わって審判を下すことによる成立する離婚で

 あるが、実際にはほとんど行われていない。

④裁判離婚

 原則として、裁判を起こす前に調停を行い、調停がまとまらな

 い場合に初めて裁判による離婚できる。

離婚で争点となるのは次の3つである。

①離婚そのものについて

②子供について

③財産分与・慰謝料

の3つである。

裁判離婚認がめられる理由であるが

①協議離婚の場合は理由は問われない。

②裁判離婚が認められる理由は限られている。

 認められる理由には

 ・不貞行為

  第三者と性的関係を結ぶことである。

 ・悪意の遺棄

  正当な理由なく同居しない、生活費を渡さない

 ・3年以上の生死不明と回復の見込みが精神病

 ・婚姻を継続しがたい重大な事由

子供の親権の判断基準であるが

夫婦双方の健康状態・精神状態・生活態度・経済状態・家庭環境・住宅環境・子供に対する愛情の度合いよる。

財産分与・慰謝料の決め方であるが

基本的には、夫婦であった期間中に夫婦が協力して得た財産を離婚に際し清算する。慰謝料は、もともと精神的損害に対する賠償請求である。つまり、相手方に落ち度がなければ請求はできない。

離婚調停・裁判の手続きであるが

①裁判の前に調停をしなければならない。

②管轄

 相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、もしくは当事者間の合

 意で決めた家庭裁判所

③申立書

 書式は家庭裁判所に定められている。

④戸籍謄本は必須の添付書類である。

⑤年金分割もできるようになったので、社会保険事務所で年金に

 関する情報通知書をもらう。

調停がまとまらなかったときの注意点であるが

①調停が成立した場合は調停調書の謄本を役所に提出して離婚の

 届出をする。

②不調になった場合調停不成立証明書を取る。裁判をする際に必要になる。