2007年、ピアニストのエリック・ハイドシェック氏のインタヴューをさせて戴いた。確かムジカノーヴァでのことだと思う。当時8年ぶりとなる来日リサイタルのことが主眼であったが、「今朝、みそ汁飲んだら紅茶を飲むのを忘れてしまった」なんて話から始まり、多種多様の興味深いお話を伺った。

 

 なかでもアルトゥール・ルービンシュタインから聞いたとして、「何年、何十年とピアノを弾いてきたけれど、あるときこの一音の重要性に気付かされることがある。そのために、その一音だけのために弾くこともある」など…。


 そのインタヴュー時に持って行ったのが、山本博先生御著書の「シャンパン物語」。というのも、そこに掲載されている1851年から続くシャンパン「シャルル・エイドシック」は、ハイドシェック家が創業家だから。
 

 それを伝えるとハイドシェック氏、俄かに相好を崩し、「これは私のひいじんさんだよ」と笑いながらサインしてくれた。

そうしたら通訳のKさんが、「あら、サインもらうなん手珍しいわね」とおっしゃったように、確かに延べ2千人くらいインタヴューした中で、サインを戴いたのは未だに彼が唯一(笑)。

 

 

 

コンサート・イマジンより