食事をするとき、基本的に後から調味料はかけないことが多い。例えば鰻を食べるときに、決して山椒は振り掛けない。だって山椒の香りが強すぎて、鰻本来の味が損なわれてしまうから。だから決して蕎麦をたぐるときに山葵は乗せないし、うどんをすするときには決して一味はかけない。もちろんラーメンだって決して胡椒は振らないのだ。


 と言っても焼き鳥などで、タレか塩味かと尋ねられれば、間違いなく「タレ」と叫ぶ。食材の本来をという趣旨と違うではないかとののしられようが(笑)、焼き鳥は絶対タレだ。なぜなら、タレは叡智と歳月の結晶だからであり、それをヒマラヤの塩であろうが、アンデスの塩であろうが、ぱっ、ぱっと振りかけて済ませられるもんじゃない。


 なんてことを人形町のヌシ、斎藤雅広さん と話していたら、斎藤さんが一言。「でも天麩羅は、塩で食べるでしょ?」 う~ん、確かに天麩羅に天ツユは使わず、塩で食べるなぁ。でも斎藤さん、しっかり見てたんだと思ったら、何だか嬉しくなった。確かに人が美味しそうに食べる図は、何ごとにも優るしね。


 ところで調味料系はあまり使わないと言ったが、ひとつだけ大好きなものがある。それは柚子胡椒。これは美味しい。餃子を食べるとき、私はラー油を使わないが、柚子胡椒をたっぷり入れて食すと、舌は悠久の大地を駆け巡る?(笑)



真嶋雄大のイマどきクラシック-焼肉