第7回浜松国際ピアノコンクールの優勝者である。まだ弱冠15歳。コンクールの最年少優勝者でもある。かつての最年少優勝は、わが友人のアレクサンダー・ガヴリリュク氏で16歳、2000年の第4回大会のときだった。チェ・ソンジン君は、ことしの浜松国際ピアノ・アカデミーでも優勝しており、下馬評は高かった。


 そして第3次予選のとき、既に私は優勝を確信した。それほどまでに音楽が高度であり、なお新鮮な響きに彩られていたからである。本選のベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番《皇帝》」も素晴らしかったが、第3次予選のリサイタル課題では、モーツァルト、ショパン、ラヴェル、リストを弾いて圧倒的だった。


 第3次予選直後の記者会見で、プログラミングとしてのラヴェルがやや流れとして特徴的だったので、それを質問すると、この15歳。「僕のいろいろな面を、皆さんに聴いていただきたいと思いました」ときたもんだ(笑)。

 15歳は15歳でも、飛び抜けた15歳は精神年齢も多少違うのかもしれない。来年は日本でも優勝記念コンサートが予定されているから、ぜひまた聴いてみたい。



真嶋雄大のイマどきクラシック-チョ・ソンジン君