山梨英和大学の市民講座に、ピアニストの今川映美子 さんをお迎えした。彼女は今、「シューベルティアーデ」というシューベルトのツィクルスを続けていて、この11月11日で第6回を迎える。そもそもシューベルティアーデというのは、シューベルトが友人たちの協力を得て開催していた私的な室内楽コンサート。演奏家として華々しい活躍をしていなかったシューベルトらしい小さな規模のサロン的集まりだった。


 ウィーンに留学していた今川さんは、いつもシューベルトが演奏されている環境にいた。ところが帰国してみると、日本ではあまりシューベルトは演奏されていない。実際日本でシューベルトがよく演奏されるようになったのはここ十数年のことであり、それまでの日本では、長いとか、飽きるとか言われてあまり演奏される機会はなかったように思う。


 とまれ今川さんには、「楽興の時」や、「ピアノ・ソナタ第20番イ長調D959」を演奏していただいたが、11月11日浜離宮朝日ホールで行われるリサイタルでは、それに加えて「ピアノ三重奏曲第1番変ロ長調D898」も演奏される。共演は東京交響楽団コンサート・ミストレスの大谷康子さんとチェロの苅田雅治さんというベテラン勢。絶妙のアンサンブルが繰り広げられるに違いない。



真嶋雄大のイマどきクラシック-今川さん