最近ヨーロッパを主軸に意欲的な活躍をしているヴァイオリニストが佐藤俊介さんだ。1984年生まれだから今年25歳。彼との出会いは、数年前の「20歳のコンサート」。サントリーホール大ホールにたったひとり佇み、バッハの「シャコンヌ」を鮮やかに弾き切った。それ以来、インタヴューや、先日は偶然大阪でばったり会ったりもした。


 その佐藤さんが新しいCD「パガニーニ《24のカプリース》」をリリースした。シュロモ・ミンツ氏といい、久保陽子さんといい、最近流行りなのだろうか。でも佐藤さんのCDは、ガット弦を使ったもので世界初録音だという。ガット弦というのは、羊の腸を加工して作られるもので、つい第二次世界大戦前後まではそれが主流だった。だからその頃までの作曲家たちは、ガット弦をイメージして創作していたことは間違いない。けれども戦後急速にスティール弦が普及、でも最近はまたガット弦が見直されている。


 その佐藤さんが、明日11日(木)19:00からサントリーホール小ホール(ブルーローズ)でリサイタルを開く。もちろんガット弦を使用しての無伴奏リサイタルで、テレマン「12のファンタジー」から2曲、バッハ「無伴奏ソナタ第1番」、そしてパガニーニ「24のカプリース」から8曲。

 若き気鋭の音楽に、じっくりと浸りたいものだ。



真嶋雄大のイマどきクラシック-佐藤俊介氏