古代を紹介したら近代も紹介しましょう。
今回はコインコレクターの方なら一度はその名を聞くであろう伝説的な収集家の銀貨の話。
エジプト王国 ファルーク1世 1939年
20ピアストル銀貨
PCGS AU58
トルコ的なタルブージュを被る王の肖像。
アラビア文字の碑文は読めません…というかこっちが上でいいのかさえ良く分かりません。
ファールク1世はエジプト王国のムハンマド・アリー朝最後の王として16歳で即位。在位1936 - 1952年と第二次世界大戦を挟んだ激動の時代を統治した方ですが、我々コレクターとしては王が集めたコインコレクションの方が興味がありますよね。
メイン収集内容としては主にリバティヘッドやダブルイーグルといったアメリカ近代貨が有名なようで、私は全くの守備範囲外。他にもヨーロッパのコインやどうもプトレマイオス朝の金貨等も持っていたようですが、詳しい内容は良く分かりません。
他にもスポーツカーや美術品からクリップまでと膨大な数の収集品があり、ファルーク王のコレクションといえば今でも時たまオークションの出品で来歴を紹介されてるのを見かけますね。
しかし、その最後は1952年のエジプト革命で失脚して王政エジプトは崩壊。王はヨットで亡命を余儀なくされ、コインを含めた収集品は革命後の財源のためにオークションによって売り払われて四散してしまいます。
この経緯は王政にありがちというか、民衆の困窮を無視して贅沢な収集や生活に耽った報いというか、我々の収集趣味としても派手にお金を使い過ぎて親族会議なんかされないように謙虚に趣味は楽しまないといけないですな。
そういえば去年に書いたラムセス大王展に関連する話として、タニスの至宝であるシェションク2世の銀製の棺が発掘された際に開封に立ち会ったそうです。
この方かなり手癖が悪かったらしくてチャーチルの金時計を盗んだなんて話もありますけど、まさか副葬品ちょろまかしたりしてないでしょうね…。
さて、そんなファルーク王ですが、私はコイン収集を始める結構前から知っておりました。
同じように好きな昆虫標本の趣味として、過去に読んだこれまた伝説的なフランスの標本商にして収集家のル・ムールトの自伝「捕虫網の円光」という本の中にル・ムールトがファルーク王にコレクションを売ったという一文が出てくるのです。
当時は博物趣味の黄金時代であり、有名なロスチャイルド男爵や資産家のフルニエといった人達がこぞって昆虫標本の収集を行っておりまして、ファルーク王にしては昆虫標本を集めるのも自然な成り行きだったのかもしれませんね。
現在は有名なコレクションだった物の大半は各国の博物館に収められていますが、ファルーク王の標本はどうなったのでしょうかね?失脚後にコインと一緒にオークションで売られてしまったのか、はたまたエジプトのどこかの博物館か大学に今でも保管されているのでしょうか?
という事であんまり私の収集範囲ではなかったのですが、有名な大コレクターにあやかって入手してみたのでした。10ピアストルは見掛ける機会が多いのですが、20ピアストルの方はあまり国内では見ない気がします。クラウンサイズの立派な大型銀貨でアラビア語の碑文もエキゾチックな感じでなかなか良い銀貨だと思います。
ではこんな所で。





