なかなか時間が取れないのですが来月はAWもありますし、出品関係であるビザンツ時代のコインへと行きましょう。

 

ビザンツ帝国 527-565年 ユスティニアヌス帝

ソリドゥス金貨

NGC MS Strike5/5 Surface4/5

 

ビザンツ?ビザンティン?ビザンチン?うーん、ビザンツってなんでしょうね?

当時の人々は自分達をローマ人と呼んでいましたが、後世の歴史家が古代ローマ時代とは区別するために西ローマ滅亡後に残された東ローマ領をビザンツとしたことからの名称だそうです。

ギリシア帝国なんて呼ばれたりもしますし、国家としての連続性はありますが古代ローマとはちょっと違った帝国です。(ビザンツ時代をどこからにするのかは諸説あるので記事はNGCのラベルに従って書いております。一応ユスティニアヌス帝が最後のローマ皇帝と呼ばれる事もあるみたいです。)

 

その千年近く続いたビザンツ史の中でも最も有名な皇帝の一人がユスティニアヌス帝となります。彼の元で帝国の領土は最大となり繁栄を享受しました。

 

以前紹介の槍を担いだ図柄から変わって、キリスト教の権威の象徴として重要な十字架を付けた球体の宝珠を掲げた皇帝の肖像。(聖なる手榴弾にあらず。)

 

出来は結構バラツキがありますが今回の物は出来も打ち出しも良い方かと。

 

裏面は長十字架を持つ天使。

 

ちなみにNGCのラベルでは、"P-cross"という事で(⳨:スタウログラム)というキリストのシンボルであるラバルムと似た意味合いの十字架の表記なのですが、今回のコインはただの十字架なのですよね。ユスティニアヌスの金貨でもちゃんとPになっているのもあるので同じという事での表記だとは思うのですが。

 

さて、そんなユスティニアヌス帝は元々は農民階級の出身だったのですが、軍人から皇帝となった叔父の後を継ぐ形で皇帝となり、多数の業績から大帝とも呼ばれています。しかし、治世は民衆による反乱があったりと結構危うい統治でもあったみたいです。

 

有名な業績としては現代に残る大聖堂のアヤソフィアの再建やローマ法大全の編纂。軍事面での有名としては旧西ローマ領土の再征服事業ですね。

 

ユスティニアヌス帝再征服後の最大領域。

 

当時の旧西ローマ領は異民族の王国が多数存在していましたがビザンツ軍は名将ベリサリウスの元、旧アフリカ属州のヴァンダル王国の征服を短期間で成功させた後、イタリア半島の東ゴート王国への戦争が始まります。

 

ゴート戦争と呼ばれた20年近くに渡る戦役はビザンツの勝利となったものの、イタリア半島は荒廃し、度重なる包囲戦に晒された都市ローマは十万の人口から500人にまで減少という凄まじい被害を受け、元老院階級も消滅。旧西ローマ領の再服を目指した戦争も疫病や戦費の増大により半ばで終わる事となります。

 

ユスティニアヌス帝死後、国力が疲弊したビザンツはイタリア半島に侵入したランゴバルド族のように異民族の攻勢で獲得した領土の大半を失うどころか、新たに台頭したイスラム勢力によって東ローマ領も縮小してビザンツ史で言われる暗黒期が訪れてしまいます。

しかし、一時は首都を包囲される危機の後、帝国は再び勢力を盛り返し中世時代の強国として返り咲くのでした。という事で、次は最盛期のビザンツコインにも少しだけ触れてローマコインは最後にしたいと思います。

 

ではこんな所で。