さて、そろそろローマコインの続きでも。

何枚かギリシアコインも入手しているので紹介したいのですが、円銀とかの紹介も残っておりますのでちょっと後回しになりそうです。

 

帝政ローマ 307-337年 コンスタンティヌス大帝

ヌムス銅貨

NGC MS silvering

 

四頭政の皇帝達の内戦を勝ち抜き単独の皇帝となったコンスタンティヌス帝。大帝と呼ばれるだけあり、世界史的にはローマで長らく迫害の歴史であったキリスト教を容認した事が有名ですかね。

もっとも、軍人皇帝時代の太陽神信仰みたいに皇帝個人の信仰といった感じで、コンスタンティヌス帝自身も多神教であるローマ国教の最高神祇官であり、キリスト教徒としての洗礼は死の直前になるまで行わなかったようです。

キリスト教国家としては後のテオドシウス帝による異教廃止までは細々と多神教の神々も生き永らえる事となります。

 

もう一つ有名なのは、後の東ローマやビザンツの首都となるコンスタンティノーブルの建設ですかね。

元はビュザンティオンと呼ばれていた都市を自らの名前を冠した都市として整備し、当時の人々からは新ローマとも呼ばれました。

 

性格的には後期帝政のドロドロ人間関係を象徴するような残忍な身内殺しもした方ですが、ビザンツや中世キリスト教国家の道筋を付けた事は良かれ悪しかれ評価されるのではないでしょうか。

 

しかし、コインの肖像はだいぶ表現が簡略化されてしまったというか、中世的な人物表現。

 

でも今に残る皇帝の彫像なんかを見るとギョロリとした眼が意外とこの肖像の作りに似合っているような気もするのですよね。

 

そうそう、皇帝の肖像としては市民冠や月桂冠とも呼ばれる葉冠も今回のコインで最後となります。専制君主の権威の象徴として視覚的にも目立つ装飾された冠に取って代わられてしまいます。

 

あと、コイン収集的にはコンスタンティヌス帝は貨幣改革も行っておりまして、ローマの金貨であるアウレウス金貨から量目を減らしたソリドゥス金貨の発行を新たに行い、貨幣経済の主軸を銀貨から金貨へと変更。この後もシリクアといった銀貨も作られましたが鋳造量は減少する事になります。

金貨は人気のようでかなりのお値段がするのですが、銅貨の方は在位期間が長いだけあり、記念貨的な物や今回のような銀メッキタイプといったかなりの種類が発行され比較的入手しやすいです(私は3枚くらい持っていたのですが、こちらを残して他は手放してしまいましたが。)

 

あっ、ちなみにNGC表記のヌムスで記事は書いてますがこちらもフォリスでもOKです。一応この時代の銅貨の種類として大きい順にAE1~AE4と分類があるようです。今回は前回紹介の物からはずいぶん小さくなってAE3タイプ(約17mm以上)となります。

 

裏面は城門の上に輝く星の図柄。発行は中東の都市アンティオキア。

 

この辺りの時代から、鋳造された都市名称が彫られているので分かりやすくて助かるようになるのですが、図柄や製造が均一化されて地域ごとの貨幣単位も消えてしまうのであまり面白味は無くなってしまうとも言えますね。

 

ローマに残るコンスタンティヌス帝の凱旋門。

 

30年近くの統治の間に様々な改革を行い、最期は不穏になり始めていた東方のササン朝への遠征準備中に死去し、残された帝国は彼の息子達と血縁者により分割統治される事になります。

という事で、大帝の死後、後を継いだ人達はどうなるの?というのはまた次の記事で書きたいと思います。

 

ではこんな所で。