今年も残す所一ヵ月を切ってしまいましたね。
ローマコインの紹介も今年の内に軍人皇帝時代の終わりくらいまで紹介したかったのですが、どうも無理そうです。どーにも忙しいという事で気長に来年までのネタとしたいと思います。その合間にはちょっと良い物も紹介していこうかと。
さてコインの話。ようやく今回から軍人皇帝時代の銀貨を紹介していきます。
最初の軍人皇帝とされるマクシミヌス・トラクス帝のデナリウス銀貨です。
帝政ローマ マクシミヌス・トラクス帝 235-238
デナリウス銀貨
AU Strike4/5 Surface4/5
名前の通りトラキア地方出身の皇帝となります(所説あるようですが。)トラクスはトラキア人という意味だそうです。
セプティミウス・セウェルス帝の時代にローマ軍に入り、歴代のセウェルス朝の皇帝達の下で軍歴を重ね、前回紹介したアレクサンデル・セウェルス帝が、蛮族との戦闘中に不満を持った兵士によって殺害された後に推挙され皇帝となった方です。
アレクサンデル帝を弱腰と批判した兵たちの支持を受けただけあり、皇帝になった後は積極的に国境外へ攻勢に出て戦果を挙げたそうです。しかし、他の属州と比べて後進していたトラキア地方出身で立ち振る舞いが粗野であり、軍事を優先して内政に関心を示さなかった為、元老院から反感を買ってしまいアフリカ属州のゴルディアヌス1世、2世が皇帝として決起する結果になってしまいます。
この方は見ての通り立派な顎が目を引きます。
コインによっては製造者に悪意があるのか凄い顎のお顔の物もありますが、がっしりした体格で2m以上の身長があった方なので似合っていたのではないでしょうか。
その後、決起したのは良いものの、ゴルディアヌス1世、2世はアフリカを出る暇もなく、マクシミヌス帝を支持する属州の軍に敗北して死亡。それでもめげない元老院はバルビヌスとプピエヌスを皇帝に擁立して、国境からローマに進軍してきたマクシミヌス帝を迎え撃つ事に。
ところが、マクシミヌス帝の方はというとローマに進軍をしている最中に動揺した自軍の兵士によって殺害されてしまいます。兵の支持があったとはいえ、軍団を統率していくのは皇帝といえども常に難事なのですね。
裏面は皇帝の立像と2本の軍旗。軍人皇帝らしい題材のデザインですね。
ローマ軍団で使用した軍旗は色々あるのですが、こちらは百人隊で使用したシグヌムと呼ばれる軍旗のようです。他にも部隊ごとの名称を示すウェクシルムや、ローマ軍団の象徴であるアクイラ(銀鷲旗)は有名ですよね。
軍旗を失う事は兵士達にとっては何よりの恥じとされ、死罪もありえる厳罰が課せられる重要な物なのですが(旗持ちは報酬も良いようでして、この辺は現実的ですね。)、3世紀の危機の時代は徐々にローマ軍も連勝とはいかなくなって来ますので、軍旗を守るだけでも一大事の時代になってしまいます。
楽しいローマ軍団のコスプレイヤーの皆様。
後ろの旗状の物がウェクシルム。その横がシグヌムですね。
さて、マクシミヌス帝が兵士達に殺されてしまい、元老院からするとやれやれこれで万事メデタシになるはずなのでしたが、バルビヌス帝とプピエヌス帝の仲が悪かった為に事態はさらにグドグドになるのでした…。
という所でその後の話はまた次回に。



