たまには古代コイン以外の話でもという事で、昆虫の図柄の現代コインの紹介です。
バヌアツ共和国2006年発行の10バツコイン。
と言っても詳細は良く分からないのです。発行数は2500枚で銀仕上げだそうです。つまりメッキって事?
詳細を知らないのに購入した理由は、図柄のトリバネアゲハが気に入ったからなのですが、こちらはニューギニアを中心に生息するメガネトリバネアゲハ(Ornithoptera priamus )の亜種、アオメガネトリバネアゲハ(Ornithoptera priamus urvillianus )なのです。
昆虫好きの私としては一枚くらい昆虫図柄のコインが欲しくて、たまたま目に付いたので購入してみるかと思った次第でした。正直カラーコインはあまり派手過ぎるのは好きではないのですが、ワンポイント的に色が入っているだけなら落ち着いた雰囲気で悪くない感じです。
あまり積極的に集める事はしないと思いますが、コインショーとかで見かけたらサブコレクション的に昆虫図柄のコインを集めてみるのも良さそうですね。
そして裏面は、だれこの人?
と思ったらバヌアツの国章でした。足元には国の標語(Long God Yumi Stanap :神と共に立つ。)だそうです。
ポリネシア系の文化圏といった感じの姿で、南の島の大王様スタイルですな。
こちらの面はプルーフみたいなビカビカの鏡面仕上げです。でもメッキなのかな…。
さて、バヌアツってどこでしたっけ?南太平洋辺りでしょうからトリバネアゲハも生息してるのかな?
メガネトリバネアゲハと近縁種の生息地。(細かい島は割愛していますので、大体の生息地と考えてください。)
あれっ?生息してない…。
ま、まあ、一番近い生息地の種類がアオメガネなのでコインの図柄に選ばれたのでしょう。
ぜんぜん関係ない題材ではないので良いのではないでしょうか。
あっ!
イロマンゴ島ってここだったのですね。
ええ、イロマンゴですよ。他に呼び名なんてないですよね。
以下、手持ちのトリバネアゲハの標本と歴史的話でも。
メガネトリバネアゲハ(Ornithoptera priamus )学名からプリアムスとも呼ばれますけどこちらはホメロスのイリアスで有名な、トロイアの王であるプリアモス王から付けられた名前です。
学名が記載された当時は、古典文学を読んで育った博物学者達が立派な種や美麗種の昆虫に神話の英雄や人物の名前を付けていったので、今図鑑を見ると神話のオンパレードといった感じですね。
トリバネアゲハは、ニューギニアを中心に各島々に亜種や近縁種が生息している為、島ごとの変異を集めたり、大型で美しい見た目からトリバネアゲハだけを集めている収集家もいるそうです。二種間の自然雑交個体や、雌雄型の標本が数百万円の値が付いたりする人気の高い蝶です。
メガネトリバネの緑、アオメガネトリバネの青、アカメガネトリバネの赤で、緑青赤と揃えた標本箱は見事ですね。
19世紀から20世紀初頭のヨーロッパの博物学ブームの頃は、資産家や貴族の資金援助で世界各地の昆虫の新種が次々と発見された博物学の黄金期とされ、ロスチャイルド家のイギリス分家であるウォルター・ロスチャイルド男爵の援助により、ニューギニアやソロモン諸島でトリバネアゲハの新種を相次いで発見した採集家の話も面白いです。有名なショットガンで撃ち落として採集した話もこの時のエピソードだそうです。
ロスチャイルド男爵の名で記載された、ロスチャイルドトリバネアゲハなんて種類もいますね。
ごちゃまぜ箱。
あまり蝶は本格的に集めていないので私は外国の蝶の標本は二箱しかなのですが、博物学時代や昆虫関係の本に出てきた蝶や、即売会で見て気に入った種類を中心に集めています。
今回紹介したコインのアオメガネトリバネアゲハ(Ornithoptera priamus urvillianus )
個体によっては濃い青から、緑がかった輝きの強い青まで、バリエーションも色々あるのですが、こちらはスタンダートな濃い青色タイプです。
後羽に黄紋があるタイプですが、コインは無紋ですね。
メガネトリバネは標本が無いというか三角紙では持っているのですが、標本箱スペース事情で展翅できてないのです。いつか余裕が出来たらトリバネ箱を作りたい…。
後は、ごめんなさい。アカメガネも持っていないので知りたい方は検索して下さい。(珍しい種類では無いのですぐに出てくると思います。)
という訳で、近い仲間のユーフォリオントリバネアゲハ(Ornithoptera euphorion )です。
こちらはオーストラリア沿岸地域に生息している種類です。
小型の個体ですけど後羽の黄紋が綺麗です。
こちらは雌。トリバネアゲハの雌は地味ですが雄より巨大で立派です。
そして最後は、アレクサンドラトリバネアゲハ(Ornithoptera alexandrae )です。
こちらはワシントン条約附属書Iの保護種となり、今後も標本の入手は不可能なので、上野の博物館の特別展で撮影してきた物です。
上で書いた採集家のアルバート・スチュアート・ミークによって発見された、世界最大のトリバネアゲハ。
最大にして最美麗種と、まさに良いとこ取りの欲張りな蝶ですが、個人で手に入れる事は出来ない遠い存在です。せめて写真だけでもと撮ってきたのを見眺めながらため息をついています。生息地も狭く環境の圧迫も強い種なのでしょうがないですね。
しかし、他のトリバネアゲハ達も、違法伐採や焼き畑などで年々生息地が減少している種類もいます。現在は現地で飼育された標本が安価で流通していますが、けして軽視してよい状況ではない事も忘れないようにしないといけませんね。
という所でコインとトリバネアゲハの話でした。











