ゴールデンウィークからずいぶん時間が経ってしまってもう6月ですね。

………。

 

6月!?もう今年半分過ぎちゃうの!

 

まあ特に問題ないですね…。後悔のない人生など存在しないのですから。

なるべくブログの更新は月2くらいを心掛けたいのですが、ちょっと忙しい時は放置気味になるかもしれませんので、思い出した時にでも見ていってください。

 

今回は遅くなりまして申し訳ないですが、ヘリテージで落札したデメトリオス1世のテトラドラクマ銀貨のお話。ポリオルケテス(攻城者)と呼ばれる方ですね。

 

マケドニア王国 デメトリオス1世 紀元前306-283

テトラドラクマ銀貨

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こちらのコインは彼がマケドニア王になった後に、アンフィポリスで発行された物となります。トーチがミントマークだった都市ですね。

 

デメトリオス1世は、アレクサンドロス大王に仕えていた将軍である片目のアンテゴノスの息子で、大王の死後は父とともに他の大王の後継者達と領土をめぐってディアドコイ戦争を戦います。

攻城者という綽名は、彼がプトレマイオスと同盟していたロードス島への攻囲戦や、城攻めの巧みさから付けられて名だそうです。

 

ちなみにロードスの攻囲戦では攻め落とすことはできず、プトレマイオスとの戦争時の中立の保証を得てデメトリオスは撤退。その際に遺棄された兵器を売った資金で作られたのが有名なロードスの巨像という事で、前に紹介したロードスのコインとも関係があったりしたのでした。

 

その後は、リュシマコスとセレウコスの同盟軍と戦ったイプソスの戦いで父アンテゴノスは戦死。彼の領土は勝利者達に分割されてしまいます。

騎兵を率いていたデメトリオスは追撃を逃れて、残されていた自軍の艦隊と合流した後に、かつて解放者として入城したことのあるアテネを攻め落とし、さらにマケドニアを支配していたカッサンドロスの息子を暗殺させてマケドニア王になります。

逆転劇といった感じでマケドニア王となったデメトリオスは、テッサリア地方の湾に面した土地に自分の名を付けたデメトリアスと呼ばれる都市も建設しているそうです。

 

しかし、王になったのもつかの間。ピュロスとリュシマコスの同盟軍にマケドニアを攻められ領土を失ってしまったデメトリオスは、再び艦隊を率いて今度はエーゲ海の反対の小アジアへ攻め込みますが、セレウコスの軍に包囲されてしまい降伏する事になります。

セレウコスは義父だった事もあるデメトリオスを王として扱い、虜囚ではありますが、ある程度は自由な宮殿暮らしを許されて最後はそこで余生を過ごしたそうです。

 

ざっと書いてみても歴史家が話題にしたように浮き沈みの激しい忙しい人生ですね。

 

さて、ちょっと分かりにくいのですが、デメテトリオスの頭に付けたダイアデム冠の上あたりに角が生えています。こちらはゼウスの象徴である雄牛の角なのです。

かなり調子に乗ってしまう性格だったそうで、自分が神格化された肖像でコインを作ったのですかね。

ヘレニズムの君主の肖像も色々ありますが、力強いデメトリオスらしくて似合っていると思います。発行地によっては太っちょの本当に牛みたいな顔のコインもありますけど…。

 

裏面は海と地震の神様ポセイドン。

 

デメトリオスはこのコインの以前にプトレマイオスとの海戦に勝利した記念として、表がガレー船と勝利の女神、裏は矛を構えたポセイドンのコインも発行しています。

エーゲ海の島々と同盟を結び、艦隊を率いて多くの勝利に輝いたデメトリオスらしいデザインですね。

私はこのポーズを取った姿のポセイドンが好きですが、他にも座像のデザインとかもありますので好きなタイプを選んでみる楽しみもあると思います。

 

以前書いたようにAWには参加せずヘリテージで落札たコインなのですが、だいたいAUくらいだと2,000ドル前後くらいが相場のようで予想金額もそれくらいでした。もちろん状態や作りの良し悪しで金額もだいぶ変わりますが、フロアも中止だし相場以下で落札できるかも…と思ったのですが、そう甘くはなくちょっとオーバー金額で落札。

 

打刻されている文字は、BAΣIΛEΩΣ  ΔHMHTPIOY(王 デメトリオス)

 

手元に来て眺めてみると、画像から予想していたようにちょっと濃いめのトーンでしたが、裏面のポセイドンの図柄が素晴らしい出来なので良しとしたいと思います。アレクサンドロスコインの裏面のゼウスと並べてギリシア神話のツートップを揃える事ができました。

 

ポセイドンと言えばトレードマークの三又の矛ですね。

 

ではこんな所で。