AWも終了して皆様お手元に落札品が届いているようで何よりです。
大変な状況の中でのオークションとなりましたが、予想?とは裏腹にあまり落札金額の変化は目立たなかったようです。
しかし、このまま自粛が続くようでしたら今後の動向は気になる所です。不況に強いといわれるコインの真価が試されますね。
私はというとAWには参加せずヘリテージの方に入札していました。
こちらもフロアが中止のようでちょっと安くなるかと内心期待したのですが、予想金額上限辺りの落札となりアメリカも大変な状況とはいえ、見ていた古代に関してはこちらも変化はあまりなかった感じでした。
落札品は今回紹介するコインともちょっと関係がある?のですが、紹介はもう少し先になりそうです。
マケドニア王国 ペルセウス 紀元前179-168
ドラクマ銀貨
MS Strike5/5 Surface5/5 flan flaw
という訳で今回はいつものテトラドラクマ銀貨ではなく、小さなドラクマ銀貨の話です。
ラベル表記はドラクマなのですが4.3gではなく、2.69gしかありませんので重量的にはテトロボル(4オボル2.85g)みたいです。ギリシアの貨幣単位は複雑怪奇で良く分かりませんのでタイトルはドラクマ銀貨にしています。
このコインは地中海のロードス島で発行された、表は太陽神であるヘリオス神と裏側は島の名前の由来でもある薔薇の図柄と同じなのですが、NGCのラベルはマケドニア王国。
なんで?というとこちらはアンテゴノス朝マケドニア最後の王であるペルセウス王がロードス島のコインのデザインで発行した銀貨なのです。
BC200年頃の古代世界(やっぱり地図があった方がいいですよね。)
作られた当時は、拡大する共和制ローマと地中海世界東側のヘレニズム国家であるマケドニアが衝突した第三次マケドニア戦争を控えた頃となり、マケドニアがクレタ島の傭兵を雇う為の支払いとして鋳造した銀貨となるそうです。
クレタ島にはお隣のロードス島からの銀貨が流通していた為、マケドニアも傭兵達に馴染みのあるデザインとしてこちらのコインを作ったそうです。
世界の七不思議の巨像で有名な表のヘリオス神は太陽の後光状の冠を付けた姿が多いのですが、このコインだと冠は無く、髪の毛が太陽の光のように波打って表現されています。
サイズは1.5cm位ですが細かく彫刻されていて良い出来です。グレードもMSなので正面のお鼻のスレも無く美しい銀貨です。
裏側はロードス島の象徴的薔薇の図柄。ヒョロッと横から伸びた蕾が可愛いアクセントです。
古代世界のロードス島の薔薇は、メソポタミア周辺から小アジアを経由して入ってきたロサ・ガリカ(Rosa gallica)という原種が最初になるそうです。
今では品種改良された立派な薔薇が世界中の庭園で咲いていますが、地中海気候の乾燥した環境の遺跡や荒れ地には野生種の薔薇の方が似合っている気がします。
古代世界の後にロードスにやって来た、中世十字軍の騎士達も同じ薔薇を見ていたかもと考えると楽しい気持ちにさせてくれます。
ロサ・ガリカ(Rosa gallica)
ちなみに上にも書いたようにflan flawなので平金というか縁が欠けてしまっています。安くなるかと思ったのですが、値段はあまり変わらない落札となってしまいました(何かこんなのばっかりですね。)まあ表側からは分からないのでヘリオスメインという事で。
小さい銀貨ですが出来の良い物は本当に素晴らしい物があります。お値段も手頃な物もありますので、古代コインに興味がある方は小型の小額銀貨から探してみるのも良いかもしれませんね。
さて、その後のアンテゴノス朝マケドニアは共和制ローマに敗北して滅亡となり、王国は分割。やがてローマの属州となってしまいます。
傭兵達のその後は想像するしかありませんが、この銀貨を持って無事クレタ島へ帰れたのかな?なんて事も考えさせるコインでした。
ではこんな所で。





