第2章 舞散ル サクラ
今日はアンデルセン。
月が見つけた小さな日常たちを描いた物語。
今回はしっかりと入れたことを確かめ、鞄を閉じる。
道江さんの用意してくれた朝食を頂いてから、学校へ向かう。
今日もぐっすりと眠ることができたから疲れは全て取れている。
「はわわわ、紅葉ちゃんおはよぉー」
と、並木道を歩いていると後ろから風変わりな挨拶が聞こえてきた。
「おはよう。新菜ちゃん」
少しウェーブのかかった髪を揺らしながら走ってくるのは、同じクラスの三浦新菜ちゃんだ。
「えっへへー、ふゅふゆ」
ちょっと嬉しそう。
「どうしたの?」
「なんでもないよぉー。えへへ」
ニコニコとしながら私の隣に歩いてきてくれる。
可愛らしい子だけど少し不思議。
「ねぇねぇ紅葉ちゃん」
「うん?」
「……なんでもないや。えへへ、ごめんね?」
「いえ、別にいいけど…」
こういう会話がしょっちゅうだ。
脈絡もなく話しかけてきたかと思うと
なんだか分からないけどはぐらかされる。
「あの、新菜ちゃん」
「んー?なにかな、なにかな」
「さっき何を言おうとしたの?」
少し息を飲んで待つ。
「えとね、スカートのチャックあいてるよぉーって」
「ひぇぇぇぇぇぇっ!!!」
チャックを見る。
あいてる。
急いで閉めた。
「そ、そういうことはっ、早く言ってねっ?」
「うゆぅー。でもそういうファッションなのかなぁーって」
下着を見せるファッションをするのは男性です。
「…と、ともかく、教えてくれてありがとう。そして今度からはもう少し早く、教えてくれると嬉しいな」
「うんっ、分かったよぉ」
新菜ちゃんは素直に頷いてくれた。
話してみるととても良い子なのだ。