味作りは 「美味しんぼ」 などの漫画だけでなく 「繁盛店の味づくり」 と言う本も参考にしました。

 

繁盛店のレシピが写真で解説されていて、材料やその分量も書いてあります。

 

 

これを見て色んな繁盛店の味を再現してみるのですが、当時の私にスキルが無かった為か全く美味しくないショボーン



本には行った事の無い店のレシピも沢山あったのですが、どう考えても再現した味で繁盛しているとは思えませんでした。

 

 

そこで!

 

 

私はその中の店の一つ 「光江」 と言う店に足を運びました。

 

確か上野の方だったと記憶しています。

 

 

光江のページのコピーを握りしめて店に入り、レシピにあった中華そばを注文。

 

 

私は着丼したラーメンのスープをすすり、麺を食べ、チャーシューを食べ

 

 

 「レシピ通りに作るとこの味になるのか。自分が作ったのと全然違うな。」

 

 

そう思い、一度店を後にしました。

 

 

「どうしよう。店主に聞きたい。でもいきなり行ったら迷惑だよな。追い払われるかな。」

 

 

そう考え、10分くらい店の前をウロウロした後

 

 

えーい行ってみよう!

 

 

と、勇気を出して再び店に入り、先ほどラーメンを出してくれた女性に声を掛けました。

 

 

すると、女性は店の奥にいた店主に繋いでくれました。

 

 

私は店主に

 

 

「神奈川でラーメン店をやってる者です。自分の味で店を出そうと研究しているんですけど、このレシピで作っても私が作ると全然美味しくないのです。どこが違うんでしょうか?」

 

 

コピーを手にこう話すと、40代後半の店主は一瞬驚きと戸惑いが混ざったような複雑な表情をしましたが

 

 

「なんだい。どこが分かんないんだい。」

 

 

そう言って見ず知らずの私を厨房に招き入れ、コピーのレシピを見ながら丁寧に説明してくれたのです!

 

 

30分くらい手ほどきを受けたでしょうか。

 

 

その言葉たちを大事に抱え、私は何度もお礼を言って店を後にしました。

 

 

ご存じの様、最初のブランドである小川は豚骨なので、店主の指導が直接役に立ったわけじゃありません。

 

 

でも

 

 

正面からぶつかれば何とかなる。

 

 

その気持ちを持てた事は、お金も知識も何も持っていない私にとって大きかった。

 

 

初めての店に行って



 「ラーメンの作り方を教えて下さい!」



 と頼むなんて、今考えるとぶっ飛んでるなーと思いますが、本当に必死だったのです。



でも、必死で行動する事で道が開けたこの経験は、その後幾多の苦難を乗り越える原動力になったと思っています。