インターネット掲示板「2ちゃんねる」が、昨年1年間に削除依頼を受けながら放置した違法な情報が5068件に上ることが警察庁の調べでわかった。前年の約2.8倍で、他のサイトも含めたネット上の全ての放置件数の9割を超えている。

 警察庁の委託でネット上の違法情報の通報を受け付け、サイト管理者などに削除を依頼している「インターネット・ホットラインセンター(IHC)」の活動状況をまとめた。

 それによると、昨年の削除依頼は1万4924件。依頼後の一定期間内に削除されなかったことから「放置」とみなされた情報は、このうち5381件で、2ちゃんねるはその94%を占めた。

 2ちゃんねるに放置された情報の内容は▽規制薬物に関する広告・使用の誘引が4553件▽口座売買が405件▽携帯電話の売買が110件。件数の推移は09年が1227件、10年が1811件で昨年の増加ぶりが際立った。

 一方、昨年の2ちゃんねる以外の放置件数は313件で、2番目に多かったサイトでも33件にとどまっている。警察幹部は「他のサイトが削除に応じるようになり、2ちゃんねるへの書き込みが急増したのではないか」と話す。

 IHCの依頼を受けたサイト管理者に情報を削除する法的義務はないが、IHCは学識経験者の協議会が定めた運用ガイドラインに沿って違法情報に当たるかを判断し、削除依頼の公益性を確保している。

 警視庁は昨年11月~今年3月、覚醒剤取引の広告を目的とする書き込みを放置したことが売買の手助けにあたるとして、2ちゃんねるの関連先約10カ所を麻薬特例法違反ほう助容疑で家宅捜索。管理体制の実態解明を進めている。毎日新聞は2ちゃんねるの検索システムを受託し、家宅捜索を受けた会社に取材を申し込んだが、これまでに回答はなかった。

 警察庁の片桐裕長官は10日の定例会見で、「違法情報と知りながら放置し、犯罪をほう助しているとみられる悪質なサイトには、刑事責任の追及を含めて必要な措置を講じていく」と述べた。