【22】①昔々のお話 「誰にも言わなかったらね…。」 | お絵かき☆やすぴょんの 独り言

お絵かき☆やすぴょんの 独り言

油絵や色鉛筆画を、自分のペースで、じっくり描いています。
更新はゆっくりペースになる予定です。
お絵かきしたものと、やすぴょんの独り言を、のせていきます。

 

ご機嫌よう。

和歌山のやすぴょん、今日も勝手に独り言。

 

 

①昔々のお話「誰にも言わなかったらね…。」

 


お絵かき☆やすぴょん 絵画 イラスト 和歌山 玉置泰江

 

 

 昔々、田舎のなだらかな山々に

囲まれて育った やすぴょん。

 

 農家ではなかったけれど。

季節の旬の物や 新鮮な果物などを

贅沢に味わったり。

 

 移り行く 四季の絵画的な風景を 見下ろしたり。

 遠方の、山の上にうっすら見える 水平線に

夢を膨らませたり。

 

 と、そんな田舎の生活も

青春の頃まででしたが。

 

 今にして思えば 人生の大切な時期を、

豊かな自然にいだかれ 守られながら、恵まれていたのです。

 

 

お絵かき☆やすぴょん 絵画 イラスト 和歌山 玉置泰江

 

 

 あれは、やすぴょんが まだ幼かった頃、

何歳の時だったのかしら。

 

 春の陽射しに誘われて、坂道を散歩していると。

いつの間にやら 

辺りが見覚えのない景色。

 

 足元に見えていた ふもとも、

あちこちの家々も 見えなくなって。

 

 右側には雑草が生い茂り、底も見えない急斜面。

 

 見えるのは まだまだ上に 続く道。

 

振り返ると ゴツゴツとした

急な坂道で 帰れない。

 

さすがに不安になった やすぴょん。

 

 と、その時、

ふとタイミング良く

お姉さんが 傍に立っていて。

 

大丈夫。ちゃんと帰れるから。

 

と言ったので、安心した やすぴょん。

 

 その前に「秘密の場所」へ

連れて行って あげるからと。

 

お姉さんに誘われるまま、

更に、上へと 坂道を登って

行ったのだけれど。

 

 何度も途中で 不安になるたび

 

 大丈夫。ちゃんと帰れるからと。

 

「秘密の場所」はスゴい所だからと。

 

 

 やっと、最後の最後。

横道に入り 少し段になった所で、

草を かき分けてくれ。

 

 先ずは、ヒョイと登った お姉さん。

その真似をして

草の間を、ヨイショと登った やすぴょん。

 

 すると……

 

突然「秘密の場所」が現れた!

 

本当に スゴい所。

ずうっと、うす紫が 広がっている。

 

そう、そこは 

            夢のような レンゲ畑。   

 

 

お絵かき☆やすぴょん 絵画 イラスト 和歌山 玉置泰江

 

 

 段々畑は

そう広くはないと 思うけど。

 

まだ背も低かった やすぴょん。

 

 畑の向こうの正面に 山々が見えた。

 

その山のすそが ゆるやかに傾斜して

レンゲ畑の

下へ下へと 吸い込まれて行く。

 

高い所へ来ちゃった…。

と ビックリした やすぴょん。

 

 遠い空、霞がかった山の陰影、

広がるレンゲ畑。

 

 緑の木々や草が

両側から迫るように レンゲ畑を囲み、

その場所が 1つの世界をつくっている。

 

 うす紫やピンクで重なり合った

幻想的なグラデーションが

正面まで視野を広げ、

 

向こうの山との境で 一線を引いている。

 

 下界のふもとや 現実的な家々は遮断され、

ここからは 見えもしない。

 

 お姉さんが作ってくれた

レンゲの冠や首飾りを 頭からかけてもらい。

お姫様になった ご機嫌な やすぴょん。

 

 ずっとずっと、ここに居たかったけれど。

 

 今度は、本当に 帰れなくなってしまうよ。

 

と言われ、

それでも良いのと ちょっと思ったけれど。

 

ふと、お姉さんの顔を見ると。

何だか、急に素直になった やすぴょん。

 

 また遊んでね。

   また遊ぼーね。

   と言うと。

 

 しばらくして、お姉さんは

 

ここは「秘密の場所」。

絶対に「秘密のレンゲ畑」だからね。

この場所を 誰にも言わなかったらね…。

 

と言った。

 

 

 そうして、そこから家まで

         どうしたのかしら…。

 

 大丈夫。ちゃんと帰れるから。

と言っていたお姉さんが、

きっと ちゃんと 送ってくれたのね。

 

 家に着くなり、

どこへ行っていたの?

と母に 問い詰められたけれど。

 

ここは かたくなに。

 

 絶対に! 絶対に

「誰にも、秘密のレンゲ畑」

だからね!

 

と、しっかりと

  口を結んだ やすぴょん。

 

 田舎を引っ越すまで 何年も居たけれど。

 

そう言えばあれから、1度も

お姉さんに会った事がなく、

 

その場所で遊んだ事も なかったのです。

 

 

お絵かき☆やすぴょん 絵画 イラスト 和歌山 玉置泰江

 

 

 娘が子供の頃、

後ろに回した手を

パッと前に出し、プレゼント。

 

 あらまぁ-!

早速、キッチンの窓辺に 飾りましょ。

 

いっぱい摘んでくれた、

夢のような うす紫色の花束を。

 

 あの頃はまだ…

この辺りにも

レンゲ畑があったのね。

 

 それもまた、今となっては、

遠い昔々の お話に…。

 

 

では、ご機嫌よう。

 

 

 

↓やすぴょんの娘です。

和歌山の占師タマの隠れ家『BONHEUR(ボヌール)』へようこそ