逆配膳『お早よう』・4 | 小津安二郎『東京物語』の謎解き

小津安二郎『東京物語』の謎解き

今まで誰も指摘してこなかった、小津作品の「秘密の演出」や「謎」を解明していきます。

『お早よう』(1959)には、「 意味 」 の分かりづらい 「 逆配膳 」 があります。

 

 

酔っ払った東野英治郎が帰宅する場面。

 

食卓に、茶碗と汁椀が置かれています。

手前からは、「 正配膳 」 のように見えます。

 

しかし、ドンデンを返すと、

 

亭主席の 「 逆配膳 」 だとわかるのです。

この 「 逆配膳 」 には、どんな意味があるのでしょうか?

 

 

いろいろと推測はできるのですが、

 

この 「 逆配膳 」 は パロディ なのです。

 

 

以前に述べましたが、

 

『お早よう』はパロディ作品です。

 

小津監督が自作品を茶化し、パロディにしているのです。

 

   『お早よう』

   http://ameblo.jp/oduyasuji/entry-10906250243.html

 

 

『晩春』 『麦秋』 『お茶漬けの味』 『東京物語』 『お早よう』 と続いた、

 

意味のある 「 逆配膳 」 を、

 

ナンセンスなパロディにしているのです。

 

特に、 『お茶漬けの味』 の配膳を意識しています。

 

「 あれっ、配膳が逆!? 」 

「 この夫婦、なんか変だな 」 と思うだけでいいのです。

 

 

この場面以降の小津作品には、

 

飯茶碗と汁椀の配膳は出てこなくなります。

 

( 別な形で、こっそりと 「 逆配膳 」 は出てきます)