葬儀後、数日たった尾道の家です。
紀子が東京へ帰る朝。
彼女は食器を拭いています。
エプロンはしていません。
同じ頃、京子は出勤の準備です。
演出的に、ウエスト部分を強調しています。
紀子が、弁当を持ってきます。
また、ウエスト部分を強調しています。
左腕で隠しました。 腰を下ろしても隠したまま。
紀子のウエスト部分に見えるのは、ハンカチです。
食器を洗いながら、ハンカチで手を拭いていたんです。
ハンカチで手を拭きました。
玄関へ向かいます。ハンカチは消えてしまいました。
まるで手品(トリック)です。
わずかの間、ウエスト部分にハンカチを見せ、すぐに隠し、消してしまいました。
紀子は食器洗いの時、エプロンはしていませんでした。
尾道へは持ってこなかったのです。
エプロンで手を拭けないので、ハンカチで手を拭いたのです。
そのハンカチは濡れてしまったので、
玄関に向かう時に、どこかへ置いてしまったのでしょう。
そして、義父・周吉と向かいあいます。
二人とも、布ふう電灯笠を被っています。
周吉は布で手を拭きます。
紀子は、この後、泣くのですが、
涙を拭く エ プ ロ ン も ハ ン カ チ もありません。
だから、両手で顔を覆って泣くしかなかったのです。
拭くことが出来ないので、涙は次々に流れてきます。
泣くことを止められず、嗚咽し続けます。
小津監督は紀子(原節子)から、エプロンもハンカチも奪ってしまったのです。
そして、泣かせたのです。
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