大相撲の横綱は品格がなければならないのだという。
なぜなら大相撲は日本の神事(しんじ)であり、大横綱はその頂点に立つ者だからだ。
だから横綱は相手を受けて立たねばならないし、卑怯な手やこざかしい技を使ってもならない。
その大横綱である日馬富士が酒の席で後輩相手に暴行を働いたもんだから大問題になっている。
無論、一般人でも他人に怪我をさせたら傷害罪に問われるのだが、心・技・体の三拍子が備わっているべき横綱が暴行をするなどはもっとけしからん、というわけだ。
心技体の心(しん)なんてそんなもん、ハナから備わってるもんかい!
体育会系の保守的縦社会の代表みたいな相撲の世界の面々に品格なんかあるわけないだろ。
武道だの格闘技だのをやる男らはむしろサディスティックな奴らが多いし、そのほうが強くなる。
機に及んで、たちまち爬虫類的な脳みそになって後輩をいじめる。
人間の脳の奥には爬虫類の時の記憶さえあるはずだが、彼ら体育会系の男たちは爬虫類の脳の働きが前面に出てきてそれに支配され、平気で凶暴なことをおこなう人種なのだ。
理性の働きや自分を客観視することによっておのれを制御することのできない生き物なのだ。
それが「人間の品格」だなんて、タチの悪いジョークでしかない。
品格とはもっとも縁遠いところにいるのが格闘技の体育会系であり、その頂点にいるのが相撲とりなんだから、自分に逆らえない目下の者を殴る蹴るなどは朝飯前の日常茶飯事であり、ビール瓶で相手の頭を思いきりどついてもなんの良心の呵責も感じないのである。
自分よりも強い者には弱く、弱い者には強いっていうそんな性質は、青少年の見本となるよりもむしろ反社会的な存在に近いんだから、酒を飲むなとは言わないが、飲むときには鉄格子の中に入れなければならないし、段々酔っぱらってきたら、手錠をかけて足にオモリをつけなければならない。
なにせ先方は脳内爬虫類マックスの怪獣であり、辰(しん=ドラゴン)・技・体の危険な野獣だからだ。
本当に品格のある人間というのは飲んで、酔えば酔うほどに優しくなるものだ。
ニヤニヤとだらしなくはなるかも知れないが、人へのあたりはどんどん柔らかくなって行くものである。
酔って他人をどつく人間などは、元々品性が卑しいだけの話である。
相撲ファンや日本相撲協会が、どうしても横綱に人間としての品格を求めたいと言うのなら、チベットの最高指導者ダライ・ラマの次期後継者を僧たちがチベット中を探しまわって生まれ変わりとおぼしき小さな子供を引っ張ってくるのと同じように、物心もつかない頃からド田舎の健康なガキを引っ張ってきて、未来の大横綱候補生として教育し、心・技・体の心(しん)の部分も徹底的に叩き込まなきゃだめだぜって。