ほんのちょっと喉がいがらっぽいので、風邪をひかないように試供品でもらったまま置いていた何とかD X という栄養ドリンクを飲んでみたが、飲み始めたと思ったらあっという間に無くなってしまった。
大体あんなもの効くのかね?
むしろ精をつけるためにうなぎのかば焼きと梅干しでも食べたろか。
食べ合わせが悪いだろって。
即効の馬力をつけるためには何がいいんだろ。
うなぎはへびに似ているからやっぱり強壮剤になるかも。
よーし、うなぎ買ってきて三匹食べるぞ!
お腹くだすってば。
わたしの経験によると、身体によいと思って食べたものがすぐに効果が出るということはなく、身体に影響を及ぼすまでにはおおむね3日間の時間を要する。
その点水分のドリンクだったら多少は吸収は早いのかも知れない。
栄養ドリンクメーカーのテレビコマーシャルもどうせなら思いきった表現をしちゃえ。
寝床に伏せってコンコン咳込んでいる老人が1本ゴックンゴックンして、
「きた、きた、来たア~~ッ!
」なんてふとんからピョンと跳びあがってんの。
いきなり美女5人にとり囲まれてバーベルまで上げちゃって、
「効果があり過ぎてわしゃ怖い。」
だって。
部屋の中にはドリンク剤が1,000本もあって、
「これさえあれば病気知らずッ!」
やり過ぎだっての。
わたしは体力にはまあまあ自信がある方だが、体力も精力も両方あり余っていてどうにもなんない男たちのために、可愛い女性たちも工夫してスポーツジムの有料スタッフとして待機するべきではなかろうか。
「15分、体力アップ筋トレ励まし合戦」
なんてね。
女性が下であおむけに寝てて、男はその上で腕立て伏せをするのだ。
「… 5,6,7,8,9……」
「がんばって!」
「13,14,15,16……」
「すごいわ。いいわよ、とっても!」
「28,29,30,31……」
いずれ倒れ込む先は柔らかい女性の腕の中。
なんだかよく分かんないけどコーフンしちゃうぜ。
「93,94,95,96……

」「もうだめ?」
「も、もうだめ…ッ!」
どさりと倒れ込んだら女性の弾力のある胸にやさしく抱き込まれ、手で背中を撫でさすってくれて、破裂しそうな心臓の苦しさとは裏腹の柔らかい肌の感触。
地獄と天国の同時体験なんだから。
どうせなら春の薫風のただ中、体力と精力があり余って困っている男たちのため、スポーツジムの一角に女子プロレスのリングを作っちゃったらいいだろう。
女子プロレスの現役を引退したばかりの女性を数人雇っといて、あふれる熔岩のような精力に困り果ててる男たちにプロレスのパンツはかせて女子レスラーと一緒にリングに放り込んだらいいのだ。
ゴングが鳴ったらいきなり
「てめ~~~ッ!!」
髪の毛をつかまれて振りまわされ、
「こ~~のやろ~~が!!」
ロープにとばされて戻ってきたところにドロップキック。
コブラツイストにやしの実割り。
ブレーンバスターに四の字固め。
ふらふらになったところを首を抱えこまれて、顔を胸の谷間に押しつけられ、左右に揺さぶられて
「オラオラオラオラ!」
何がオラオラなのか分かんないうちに最後はボディスラムでリングの床に叩きつけられてパンツを脱がされ、
「まだまだ! 仕上げはこれからだよッ!
」だって。
どうも下品だな。
むしろ春の青い風の中で体力と精力と熔岩のあり余った男たちのお相手は、精力と女性ホルモンとコラーゲンと潤滑液のあり余った、
" あたしどうしていいかわかんない女 "
にお任せした方がいいのかも知れない。
いい男を見たなら、雨が降っていなくても雨が降っていても濡れてしまうようなギラギラ女の事だ。
そんな女は、いきなり男に襲いかかるよりも逆に男をじらして行った方がいいだろう。
たっぷり30分をかけての " 蜘蛛の巣作戦 " だ。
ふとんには拘束ベルトが付いてて、男は縛りつけられちゃって、コラーゲンテラテラ欲望ギラギラ女は、部屋のすみの方から凄艶な笑みを浮かべたまま、男を見据えながら徐々に1㎝づつくらいにじり寄ってくる。
気分はもう、蜘蛛の巣に引っ掛かってしまい、蜘蛛が長い時間をかけて近づいてくるのをなす術もなく待っている虫の心境。
女性はこっちを睨みながら時々舌の先をチョロチョロと出して見せたりして、まるでコブラなんだから。
捕らわれの身の恐怖心が悦楽と隣り合わせ。
なんだか、単細胞生物が人間に進化して行くまでの過程で他の生き物にとって食われてきた、そんな心の深層に眠る記憶がまざまざと甦ってきたりして、真の恐怖にとらわれてしまい、
「ヒイ~~~ッ!
」だって。
交尾のあとメスに食われてしまうカマキリのオスさながらに、今までの人生の思い出が一瞬のうちに走馬灯のように頭の中をよぎっちゃたりして。
いよいよ女性が身体の上にのしかかって来る頃には髪の毛は真っ白になり、文字通り虫の息。
一戦が終わったあと、みんなが口をそろえて、
「やっぱり女性にはかないません。
… いや、怖いの何のって…」
今頃わかったんかい。