※今回の記事は11月30日に書きました。

以下本文

 

「大人は宿題がなくていいな」と思っていた子供時代の私は甘かった。

今月、ブログを書くようにという宿題が出された。

「何書こうかな~。」と真央ちゃんと二人して憂鬱な気分で今日の締め切り(11月30日)を迎えたのだ。とりあえず腹が減っては何もできないので晩御飯をお腹いっぱい食べ終えてパソコンに向かう。今夜のメニューは、私の日記によると一昨日の夜から数えて6回目の、真央ちゃん作「味噌なべ」だった。

美味しいからと言って繰り返し具をつぎ足し液をつぎ足しながら続けてきた鍋も、煮詰めすぎてふにゃふにゃになったネギやワカメがぷかぷかしているのを見ると、そろそろ1回具をさらって整理し、新規にやり直す時が来たかもしれないと思う。

新規と言えば、今日は前からやりたかった「新規巻きなおし」をひとつ片付けた。

お師匠さんの宮太鼓のカンの持ち手部分には、細く裂いた黒い布を包帯のようにぐるぐる巻きつけてある。これは、カンが演奏中に胴に当たって余計な音を立てないようにするためと、持った時に手が痛くなく冬でも冷たくないことなど、様々な理由から巻いているものだ。細かいことだけどやってあるかないかでは大きく違う。今回は、布が破けてきたのを全部外して、新しい布を巻きなおした。これで師走を気持ちよく迎えられる。

 「まきなおし」は本来「巻き」ではなく「蒔きなおし」と書いていたという。最近木村さんとお師匠さんからご助言いただいたのだが、私の舞台の修行の日々もそろそろいったん振り返り、やりたいことを整理し不要なものはそぎ落とし、何か専門性の種を育てることに向かうべき時期が来たようだ。

この秋はそのためには大変有難いことにたくさん舞台の仕事に参加する機会があった。

10月はこうべ輪太鼓センター「輪田鼓」の皆さんの公演にお師匠さんとゲスト出演させていただいて、そのすぐ後に年に1度の大イベント和力「二十一」公演。11月には木村さんに連れて行っていただいた埼玉のお仕事、愛知県での和力高校公演、長野に戻ってきて中野市でのDUOコンサート、羽化連として人形師の飯田美千香さんの作品に参加させていただき「おぶすなアートプロジェクト」公演への出演、そして先週末の和太鼓「志多ら」さんの「響奏」公演が続いた。

 さまざまな人の作る、それぞれに違う舞台の空間と時間を目の当たりにする中で、自分は何がしたいのかを改めて考え始めてまだ答えは出ていないけれど、ひとつ気が付いたのは、自分は胡弓を持っているときが一番緊張しないということ。もしかして一番ぴったり来るパートナーは「この人なのかな」という気がしてきた。

舞台に立つ人は本番までのわずかな時間でも曲の細かなところの確認をしたり、「あそこをやっぱりこうしてみたいんですけど、どうでしょう」とお互い相談したり、楽器や体の調子を整えながら過ごす。誰かの邪魔になりそうな段差を解消してくれる人がいたり、みんなが袖の中を有効に使えるように机を出してくれる人がいる。お師匠さんは自分の時間があるときは入念にストレッチして体の状態が本番時にもっとも良いように調整される。それぞれの立場とやるべきことが違うけど、良い舞台にしたいという共通の目的のために、出演者も照明さんも音響さんもそれぞれが最善を尽くす、開演のブザーが鳴るまでの時間が私は好きだ。私も、些細なように見えることでも時間が許すかぎりやった方が良いことはやろう。

来年はどんな舞台を作りたいか、より具体的に考えて動く年になる。実はお師匠さんからはもう一つ大規模な宿題が出ているので、来年初のブログはたぶんそのことについて書くことになるだろう。

みなさま今年もお読みいただきありがとうございました。宜しければ来年もまたよろしくお願いいたします。