最近ではこのブログを楽しみにしてくださっている方が何人かいらっしゃるし、お師匠さんは「もう書きましたか?」と私にプレッシャーを与えつつ、誰よりも先に読むのを楽しみにされている節がある。さて今回は何を書こうかとJR松戸駅前のカフェで悩んでいる目の前を、土曜日の早朝にもかかわらず人の群れが行き交っている。
今日は公演と公演の間の空き日だ。昨日は佐倉市の幼稚園で、明日は蔵のギャラリー結花さんで、そして12日が野田市公演と千葉県内で和力の出演が続くため、昨夜から松戸市にあるお師匠さんのご両親のお宅に泊めていただいている。
お邪魔するといつもご両親だけでなく猫のウリちゃんとサラちゃんが迎えてくれる。特にクリーム色のウリちゃんは何回か顔を合わせるうちに警戒心を解いてくれたとみえ、昨夜は居間で仕事をしている私の膝の上にどっかりと腰を落ち着け、満足そうに目を細めながら暖をとっていた。かと思うとパッと起きてテーブルの上を通り、反対側に座っているお師匠さんの膝に引っ越しを試みてあっけなく断られ、「ここはダメですか?」と不本意そうな顔をしたりする。見ていて飽きない。
「猫のおかげで私は獅子舞ができます。」と、お師匠さんがおっしゃっていた。猫をじっと観察していると、獅子舞の動きの参考になるのだそうだ。本番の獅子舞や教室を拝見するうち、あの一つ一つのユーモラスな仕草が全て計算尽くされた動きだということがわかってきた。頭をどの角度にすれば全ての客席から見えるか、リアルに見せるためにはどうすべきか、数えきれないポイントがあるのだ。それらを全て習得するにはかなりの努力を要することは間違いない。
昨日お伺いした幼稚園でもそうだったが獅子舞は幼い子供たちに大人気で、みんな大喜びする。毛づくろいしたりおしりを噛んだり耳がぴくぴくするたびに、「きゃ~!」「わ~!」「かわいい~」と大騒ぎ。幕の後ろで聞いている私も嬉しくなってくる。その裏側に一体どれだけの工夫があるか、それは演者だけが知っていれば良いことで、努力のあとをお客さんには見せてはいけないのだそうだ。
3杯目のコーヒーを喉に流し込みそろそろ帰ろうと思う。あたかも努力などせずサラッと書き終えたかのような顔をして、コーヒーで胃がもたれていることを悟られないように今夜もごちそうを沢山いただこう。私は油単をうまく被れないが猫かぶりなら得意なので、ごまかせることだろう。