●文庫本の値上げが止まらない。手に取りやすい価格設定で親しまれてきたが、足元の平均単価は700円を超え、1000円以上も珍しくなくなった。単行本との価格差が詰まる背景には、かつて「文庫落ち」といわれ単行本の廉価版的な扱いだった文庫本の立ち位置の変容がある。(日本経済新聞)


過日、ガルシア・マルケスの『百年の孤独』の文庫化について書きましたが、Amazonではまた売り切れているようで、マーケットプレイスでしか買えなくなっています。


私は運良く注文できたのですが、発売日当日に早々に売り切れていた為、注文できたのは増刷分で、まだ届いていません。


同じ頃に、講談社から¥3850の文庫が出ており、いやいや、いくら文庫本が値上がりしてるからって、それは随分な値段だなと興味を惹かれてタイトルを見たら、中上健次の『異族』という小説でした。これは未読。


一体何ページあるのかと思ったら、960ページ!


『百年の孤独』も672ページの大部の書ですが、それより遥かに多いページ数に驚くと同時に、よくぞ分冊にしないでくれましたと拍手したい気持ち。これは電子書籍なんかで読んではダメですよ。この分厚さも作品のうち。分厚さと重さを感じながら読むべきです。


そういえば、ウィルキー・コリンズの『月長石』も分厚かったなと思って調べてみたら、780ページでした。


洋書はいくらページ数が多くても、分冊するなんてことはありませんが(少なくとも私は見たことがない)、翻訳されるとほとんどが上下巻になってしまうので面白くありません。


日本人は分厚いと、重たいの何のと言いますが、ハリーポッターを見て下さいよ。原書は分冊になっていませんから分厚く重たい本ですが、小さな子供達も皆、それを抱えて読んでいました。面白い本は厚さも重さも関係ないんですね。


紙好きとしては、本は分厚ければ分厚いほど読書欲が燃える(萌える)ので、中上健次ファンではないのですが、『異族』の文庫版も欲しくなって来ました。


それにしても、文庫本もお高くなったものです。『異族』の単行本が出版された時の値段は、今回の文庫本の値段とほとんど変わりません。時代が違うので、貨幣価値も多少違うとはいえ、やはり文庫が特に高くなったのでしょう。


●出版科学研究所によると、文庫本の平均価格は1991年に467円だったのが年々上昇し、2021年には732円に。 この30年の間におよそ57%上昇していることになります。 かつてはワンコインで買えた文庫本。 今では1000円を超える文庫本も珍しくなくなりました。(2022/12/7 NHK NEWS WEB)


◆中上健次『異族』

講談社文庫/960ページ/¥3850

異族 (講談社文芸文庫 な-A 9)(2024/6/12)

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◆ガルシア・マルケス『百年の孤独』

新潮社文庫/672ページ/¥1375

百年の孤独 (新潮文庫 カ 24-2)(2024/6/26)

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