この数日間、
あたしはオーストラリアでの生活をちっとも楽しめなくなっていた。



焦ってた。
不安だった。



何も変わらない自分が、
前進しない自分が、
不安だった。


自分の無力さを痛感させられるばかりで、
全然楽しくなかった。



横浜では見られなかったような、
きれいな星空を見ながら、



くすんだ横浜の空が恋しかった。



駅から家までの、
緑いっぱいの道にも、もう感動しなくなっていた。



あんなに待ち焦がれていた、
どっちを向いても英語しか聞こえてこない環境に、
耳を塞ぎたい気分だった。



友達と話してても、
がんばって英語で自分の感情を伝えることがめんどくさくなった。



そんな自分に、がっかりした。



いくらでも、演じることはできる。
ここでの生活を楽しんでるフリもできる。


でも、
あたしの本心は、今、そうは思えていなかった。
それが現実だった。



そんな自分が、いけないような気がしてならなかった。



誰も、何も、
あたしに求めていないのに、
あたしは勝手に、
自分にたくさんのものを求め、



ここでは、自分が子供以下のコミュニケーション能力しかもっていないことを、
自分が忘れていた。



幼稚園児に、大学の入試問題を解かせようとするくらい、
あたしは自分を過信していたのかもしれない。



あはは。
超ださいね。



昨日、
あたしは午前中の授業を欠席した。



いつもどおりの授業なら、行ったんだけど、
今週やるべきところがもう終わったから、
クラスのみんなで近くの公園にピクニックに行くことになっていた。



学校が始まったばかりのころのあたしなら、行ったと思う。
友達がいなくても。



でも、今の方が、
クラスの子とも話せるようになってきたり、
慣れてきたのに、



やっぱり、
あたしはみんなに比べて全然話せないし、
よくわかんないけど、超弱気になっていて、
どうしても行きたくなくて、行かなかった。



日本のみんなの顔が、浮かんで、
なんか、ものすごく悪いことをした気分になったし、



ブが聞いたら、「行ったほうがいい」って言うのかなって考えた。



でも、1人で、行こうっていう答えまで、持ち上げることができなかった。



でも、一日休んだら、悪循環になりそうで、
午後のスピーキングのクラスには行った。



そうしたら、
教室に入った瞬間、クラスメイトの男の子が二人



「あ~~~~~!!!!
メグミなんで今日来なかったの??
ピクニック嫌いなの??」と声をかけてくれた。



彼らは、前のクラスも同じだった二人で、
会えば挨拶もするし、たまに授業以外でも話すけど、
すごく仲がいいとかってわけじゃない。



でも、彼らは、
そこから授業が始まるまでずっと、
今日みんなが行ってきたところについて、
どんなところだったか、
みんなで何をして、何を食べてきたか、
あたしに話してくれた。



その後、
以前、あたしを相当冷たくあしらったイタリアンの女の子が来て、
彼女にも


「なんで今日来なかったの~~~~~~~~~~???????」と言われた。
そして、
まだ席がたくさんあいているのに、
彼女はあたしの隣に座った。



そして改めて
「何してたの??」と聞いてきて、



あたしは「寝てたよ 笑」と嘘をついた。



彼女と話をしていたら、ブラジリアンの女の子が、
あたしの反対隣に座って、



「メグミ~~~~
今日なにしてたの??
みんなで行ったの楽しかったのに!!」
と、



みんながあたしに声をかけてくれた。



この日、授業の前に、みんなで映画の話をしてて、それが盛り上がっていたから、
先生が、
「今日はみんなで自由に話しなさい」



と言って、トピックを渡されなかった。


あたしは、イタリアンとブラジリアンと話をしていて、
イタリアでは、友達と会ったときと、
別れるときに「チャオ」っていうけど、
日本はなんて言うの??


と聞かれて、
日本では、会った時と別れるときと共通した挨拶はないんだよって
説明したかったけど、



それがうまく話せなくて、
かなり意味不明な英語を言ってて、
しばらく理解してもらえなかったんだけど、
一生懸命聞いてくれて、
理解したとき、
彼女の英語で
「こういうことでしょ??」と言い換えてくれた。



このとき、
あたしはうれしかった反面、
それでもやっぱり、なんだか申し訳ない気持ちだった。



いつも、誰と話してても、
あたしは足をひっぱている気がした。



今日、学校の後、
フランチェスカとルカが、
カフェとかレストランとかの仕事を斡旋してくれるエージェントがあるから、
履歴書を出しに行こうと誘ってくれて、
行って来た。



そうしたら、
そこの人に
「オーストラリアでの接客業の経験はありますか?」と聞かれたんだけど、



その聞き方が、
あたしの知ってる表現でなかったから、
何を聞かれたか分からなくて


???


と思ってたら


「言ってること分かる??」



といわれて


「分からない」


と言ったら


「これくらいの会話もできないようじゃ、仕事なんてできないから、
まずはコミュニケーションがとれるようになってから、
もう一度来て」



と言われた。
悲しいことに、それはしっかり聞き取った。



その後、
3人でマックに行ったんだけど、
そこでも店員のおばちゃんに超つめたくあしらわれて、
きっとあたしの英語の発音が悪いのがいけないんだな~と思いながら、



フランチェスカがルカにそれを話してて、
彼女は「あの店員頭悪いよ!!!
メグミに対する態度、おかしいよ!!」と言ってくれて、


ルカも
「今度そうされたら「ハッキリしゃべってもらわないとなんてあなたがなんていってるか
分かりません!!!!」って言ってやんな!!」


と言ってくれて。
このおばちゃん、ほとんど声を発さなかったから 笑


でも、
なんか、そうやって、
二人はあたしを励ましてフォローしてくれてるんだけど、
それが逆に、
辛かった。



確かに、おばちゃんも相当愛想悪かったけど、
あたしの英語がもっとちゃんとしてたら、違ったかもしれない。



駅の窓口で定期を買うときとか、
口頭で何かを伝えるとき、
あたしはよく、相手に顔をしかめられる。



相手がとっても優しい人のときは、そんなことないけれど。



だから、
自分でもよく分かってる。



でも、
二人と別れて、
帰り道、
ものすご~~~~~~く疲れて、
電車に乗りながら、
考えて。



あたしは、
また!!!!!自分を見失ったなと思った。



ここにいると、
1人だから、



変に焦ったり、
変に無理したりしてても、



誰も声をかけてくれないし、
自分で気づくまで、そのまま行くしかない。



自分では、
それが焦りなのか、
なまけなのか、
判断できないこともたくさんあって。



きっと、自分の気持ちに余裕があれば、判断できることも、
判断できなくなっていた。



ここに着いたばかりのころは、
何もかもが珍しくて、新しくて、
考える時間もないくらいに、
毎日がめまぐるしく過ぎていって、



思ったほど、寂しさも感じていなかった。



そして、家も決まって、
とりあえずのバイトも決まって、
学校でも友達ができて、



なんとなく、日本で自分が思い描いたプラン通りに、
ことがすすんだ。



それがいけなかったのかな 笑



本当の厳しさに、気づいてなかったなって思うし、
身の丈に合わない目標を掲げようとしていたかもしれない。



日本を出る前、
ブに、



「帰ってきたとき、英語が話せるようになんてなってなくても構わない。
半年じゃ、大して話せるようにはならないだろうし。

それよりも、いろんなことをたくさん感じてきて。
それが全てだよ。」



と言われていた。



英語を話せる人、日本語以外の言語を話せる人には、
「半年じゃ話せるようにはなんないよ」
って、いろんな人に言われていたのに、


普通に話せるくらいにならないといけないと、焦ってた。
誰もそんなこと期待してないのに。



そして、一番大切なことを見失った。



今、目の前にある幸せを、見落としていた。



あたしが、こんなどうしようもない英語を話していても、
学校のクラスメイトがあたしの話を聞こうとしてくれている事実の方が、
よほど大切なのに。



昨日、バイト中、
レジに向かうお客さんに「Thank you very much!!」と声をかけたら、
おばあちゃんが、
あたしの肩に手をおいて、
日本語で「ありがとう」とニコッと笑ってくれた。


バイトをしていて思うけど、
こっちの人は、あたしたちウエイトレスに
「ありがとう」という言葉をよく使う。


そして、必ずあたしの目を見て、ニコッと微笑む。
もちろん、中には無愛想な人もいるけど、
ほとんどのお客さんが、とってもいい人。



そういうことを、
もっと大事にしようって思った。



焦って、ローカルの仕事みつけなくちゃって、
思ってたけど、
焦るのはやめた。



楽しんで、自分の英語の練習を楽しめる範囲で、
少しずつ、やろうと思った。


今日、ネットを見てたら、
ボンダイのカフェで週1からOKの仕事見つけたから、
月曜日に行ってみようと思う。


ここはジャパニーズジャズカフェだから、
ローカルではないけど、
夜はお酒も出すカフェで、


たまにジャズのイベントもあるみたいだから、
今の店とは違う雰囲気だと思うし。



できることから、やろう。



で、ちゃんと、
今の時間をもっと大事にしよう。



あたしは、先のことばかり考える癖があるから。



これは、ブと付き合って、
気づいたことなんだけど、


先のことを計画して、
それを実現するために動くのが当たり前だったあたしは、
それが一番いいことと思ってたし、
それを指摘されたことも、今までそんなになかったと思うし、


されてたとしても、
気づけてなかったと思う。


でも、
ブは、あたしみたいに何でもかんでも計画的にやるタイプではなく、
それをずっと見てて、
あたしにはない柔軟性があることとか、


そういう彼といたから、あたし1人では絶対にしなかったことを経験できたりとか。


一番感じるのは、車。


あたしは、きっと、
自分と同じ価値観の人と一緒にいたら、
車買わなかったと思うんだよね。


まずは、車より、
今はお金貯めることが先でしょって。



でも、
彼にとって車がどれだけ大事かってことも、
一応理解してるつもりだし、
車を買って。


もちろん、彼が本当に乗りたい車を我慢させているのも分かってる。
でも、それはお互いに我慢の時期だからね。


そうして、車を買ったことで、
あたしたちはGWには必ず車で旅行に行ってる。



週末には必ず車ででかけてた。


あたしは、友達と飲みに行って、
ちゃっかり迎えに来てもらってた。


そういうことを振り返ったとき、
あたしにはこれまでなかった考えが、新しく生まれた。


でも、
1人になると、
そういうの、あたしにとってはとても大切なのに、
新しい考え方だから、意識しないと忘れちゃう。



昨日、
ゆりとまっこにメールして、



二人に自分の今の心境を聞いてもらって、
二人から返信をもらって、



なんか、
あたし、1人で自分のこと過信して、
おかしな課題を課してたなって気づいて、



止まれた。



もっと、
楽しもう。



ここにくる前、ブのお母さんに借りた本を、
少し読んでいたんだけど、
最近は日本語の本だからと思って、
英語の本ばかり読んでいた。



でも、今日、
久しぶりに読み出して、
そうしたら、
また、自分の部屋の外に見えるあふれんばかりの木が、
きれいに見えた。



風で揺れる葉っぱの音が聞こえた。
心が、穏やかになった。



あしたから、
もうすこし、日常が楽しめそうな気がする。