FREE HUGS | 椚田のブログ 

FREE HUGS

あまり見込みのない商談のため、私鉄二線が乗り入れる中規模ターミナルで下車した。駅に面した横断歩道を大勢の人が行き交う。

通りを横切った先に、ひとりたたずむ若い女性が目についた。ハート型のボードを頭上にかざし、揺らしている。そこには「FREE HUGS」と書かれていた。抱擁無料ということか。過ぎゆく人々のチラ見にも、なんら臆するところがない。

手ごたえに乏しい商談を終え引き返すと、まだ女性は立っていた。キャップにTシャツというカジュアルないでたち。私は好奇心を抑えられず、彼女に話しかけた。

フリーハグとは、街角で見知らぬ人と抱き合うことによって、なにか良きものを生み出そうという運動。あるアメリカ人が始めて世界中に広まったようだが、私はこの日までまったくその知識を持たなかった。彼女は、あまたある偶発的な出会いを、能動的に、そして意味あるものにしたいとの思いからこの活動を始めたという。また、数をこなすことにも重きを置いており、すでに数千ハグをこなしている彼氏からの影響も少なくないようだ。

「いかがですか?」両腕を広げる彼女。

「ええ、是非とも」

むぎゅー!

鮮烈な体験だった。このときの感覚を表現するのはなかなか難しいが、いちばん近いのは平和という言葉かもしれない。


さて。


来週、ろしーたさんhttp://ameblo.jp/tasy1970/ との三度目の釣行が実現する。

少し前に飲んだとき、氏はボートフィッシングに関する思いをいくつかほのめかされた。釣りの技術はもとより、実生活とのバランスにおいても、すでにスタイルを確立されたベテランさんだ。新たな領域への興味もハードルも、両方分かるつもりの私は、なにもできない代わりに一度、存分にエレキを踏んでもらいたいと考えた。

このところクランキングに取り組んでおられるろしーたさんを、長門にお招きしたいのはやまやまだ。しかし、お互い気兼ねなくスタンディングで釣るなら、亀山の14フィートレンタル船に限る。

不定期ながら亀山に通い始めて十数年になるが、いまだ苦手でしようがない。もしかしたら育休前の最後の釣行になるかもしれないろしーたさんの、ガイドなんて勤まるわけもないのだ。

なので、丸投げすることにした。エリア選定から、なにからなにまで、好きにやってください、と。

この無責任な提案を、ろしーたさんは快く受け入れてくださった。

私はバックシートから、また違った亀山を見ることができるのではないかとほくそえんでいる。