
自宅の書棚を整理していたら、懐かしくて仕方がない本が出てきた。
イルカのライブ・アルバム「あしたの君へ」のギター弾き語り本。
中学生の頃に買ったのだと思うが、当時「なごり雪」や「海岸通」を弾き語りしたくてこれを開いても、うまく弾けなかったのだ。
あれから四十数年経っても、ギターは下手なまま。それでも明日の君へ…いや、明日の自分を信じて未だに弾いている。
明日の自分を信じる?
はて、なんだ?この思いは…。
これは詭弁なのだ。
仲良くしてくれている音楽仲間の「もゆさん」に「明日はないかもしれない」という曲がある。
明日はないかもしれない…
先週の土曜日に死んだ母親には、明日はもうなかった。
自分自身を振り返ると、今まで先延ばしにしていることが多すぎた。
会いたい人にきちんと会って、行きたいところにはできるだけ早くに行って、やりたいことは今のうちにやって…。
思いが巡るが、いろんな事情があって今はそうもいかない。
おやおや、また先延ばしかい。
同じことの繰り返し。
だったら逆転的発想で、これなら今からできる。
会いたくない人にはもう会わない。
行きたくないところには行かない。
やりたくないことは、やらない。
そうこうしているうちに、突然誰かに背中を叩かれる。
「そろそろ時間ですよ」と。
死は前から来たらず、後ろからやってくる。
母親が死んで一週間後に、こんなことを考えている。
さて、もう寝よう。
明日はないかもしれない…。