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ショートツーリングにはもってこいのルート。
緩やかな峠道をのんびり走っていると、凄まじい排気音とともに大型バイクの集団が現れ、あっという間に俺は囲まれてしまった。
バックミラーに目をやると、後ろにも5、6台はいるようだ。
これじゃまるで、大型バイクのツーリングに俺だけカブで参加しているみたいだ。
カッコわるいから、脇に寄ってやり過ごそう。
そう思った瞬間、後ろにいるアメリカンタイプのバイクが追い越しをかけてきた。
刹那、俺は反射的に右手のアクセルをひねってしまった。
一気に加速する俺のカブは、アメリカン野郎の行く手を阻んだのである。
バックミラー越しに、ヤツが小さくなっていく。
ざまあみやがれ!
そうつぶやいたら、アメリカン野郎がまた追いかけてきたのだ。
この野郎!なめんなよ!
俺はまたアクセルをひねって、行く手を阻む。
この繰り返しがしばらく続くと、いつの間にか俺は目の前のCBX1000を煽っていた。
道は峠のカープが続く。
早く行かんかい!俺のカブは90ccだぞ。50ccの原チャリとはワケが違うんじゃ!
実際に峠道に関しては、カブ90はそこそこのパワーがあり、しかも取り回しがいいから速い。
しかも俺はかつて大型バイクに乗っていたから、ヤツらのウィークポイントを知っている。
そうこうするうち、CBX1000は俺に先を譲った。
お前らとは年季がちがうんじゃ!なめんなよ〜
この後すぐに道は直線になり、後ろのヤツらに一気に抜かれてしまった。
ちっきしょ〜!
けれど真っ直ぐじゃ勝負にならない。
それからは大人しく走り、温泉に着いた。
駐輪場に入ると、さっきのバイク集団がいた。
少々恥ずかしい気持ちを抱えながら、なめんなよ!と、アメリカン野郎の横にカブを止めた。
ヤツが近づいてきた。
なんだ?お前やる気か?
と言いかけると、そいつは笑みを浮かべてこう言った。
「おじさん、速いっすね!」
返す言葉を探る間もなく俺は…
「まあな!」と答えた。
まだまだ俺もケツが青い。大人げない。
なめんなよ〜