なめんなよ!(-_-;) | フォークシンガー「おだしょう」〜落ち葉拾いの小径で

フォークシンガー「おだしょう」〜落ち葉拾いの小径で

日々の暮らしのなかで、拾い集めた落ち葉に火を灯すように…歌っています。

青い空に誘われ、愛車のカブで山間の温泉に出かけることにした。




ショートツーリングにはもってこいのルート。

緩やかな峠道をのんびり走っていると、凄まじい排気音とともに大型バイクの集団が現れ、あっという間に俺は囲まれてしまった。

バックミラーに目をやると、後ろにも5、6台はいるようだ。

これじゃまるで、大型バイクのツーリングに俺だけカブで参加しているみたいだ。

カッコわるいから、脇に寄ってやり過ごそう。

そう思った瞬間、後ろにいるアメリカンタイプのバイクが追い越しをかけてきた。

刹那、俺は反射的に右手のアクセルをひねってしまった。

一気に加速する俺のカブは、アメリカン野郎の行く手を阻んだのである。

バックミラー越しに、ヤツが小さくなっていく。

ざまあみやがれ!

そうつぶやいたら、アメリカン野郎がまた追いかけてきたのだ。

この野郎!なめんなよ!

俺はまたアクセルをひねって、行く手を阻む。

この繰り返しがしばらく続くと、いつの間にか俺は目の前のCBX1000を煽っていた。

道は峠のカープが続く。

早く行かんかい!俺のカブは90ccだぞ。50ccの原チャリとはワケが違うんじゃ!

実際に峠道に関しては、カブ90はそこそこのパワーがあり、しかも取り回しがいいから速い。

しかも俺はかつて大型バイクに乗っていたから、ヤツらのウィークポイントを知っている。

そうこうするうち、CBX1000は俺に先を譲った。

お前らとは年季がちがうんじゃ!なめんなよ〜

この後すぐに道は直線になり、後ろのヤツらに一気に抜かれてしまった。

ちっきしょ〜!

けれど真っ直ぐじゃ勝負にならない。

それからは大人しく走り、温泉に着いた。

駐輪場に入ると、さっきのバイク集団がいた。

少々恥ずかしい気持ちを抱えながら、なめんなよ!と、アメリカン野郎の横にカブを止めた。

ヤツが近づいてきた。

なんだ?お前やる気か?

と言いかけると、そいつは笑みを浮かべてこう言った。

「おじさん、速いっすね!」

返す言葉を探る間もなく俺は…

「まあな!」と答えた。

まだまだ俺もケツが青い。大人げない。

なめんなよ〜