やっと、笑ってくださいましたね
初めてお会いしてから、今日で四度目になります
私とは目を合わさないように、いつもうつむきがちに話すあなたでしたが
本を読むのが好きだと話したときの、あなたの微細な表情の変化を、私は見逃しませんでしたよ
そうですか
学生時代には、文芸部を自ら立ち上げて、しかも文芸雑誌まで発刊ですか
雑誌広告を取るため、商店街を一店一店、回ったこと
仲間たちと夜通し、ガリ版を刷ったこと
小説を書いていたこと
そして、今のご主人とは同人誌の集まりで知り合ったこと
自分は口下手だからと言いながらも、今日はたくさん話してくださいましたね
では次回は、お好きだという近代日本文学のお話を、聞かせてくださいますか
いっぺんにじゃなくて、少しずつですよ
勿体ぶって、小出しにしてください
そのほうが、楽しみが長続きしますから
しんどいときは、パスしても構いません
少しずつでよいのです