深い森のみどり色の朝 -19ページ目

深い森のみどり色の朝

人間界の涙は、まだ夜が明ける前の森の中に朝露になって降りてくる。夜のうちに、漆黒の魔法使いが呪文を唱えてくれるからね。 ぼくは、その朝露を瓶に詰めて、シャンプーを作る。特に六月の早朝に。

その後、ケアマネさんとの出会いから、

再び朝、病院のSWさんから電話がある。

 

話の中で、私だけでは決められないところもあり、

どうしても母と一度確認をしたいと伝えた。

コロナの面会制限で、母がどうご飯を食べているのかも

説明では分かり辛いともある。

 

 

久しぶりに遠くから出会った母は、思ったよりも痩せていた。

 

そして何よりも驚いたのは自分が 美智子であるということを

すっかり分からなくなっていることであった。

 

 

母は、家で生まれ、家で一生を送り、車にも乗らなかったため

76年の全てを実家で 社会にも出ず過ごした。

 

早く家へ帰せ、というのが口癖で、

実家へ戻ると母は言うと思っていた。

 

が、出逢うと開口一言目で母は、施設へ行くときっぱり言った。

だって、寂しいから。

お前の所へ行く。とも次に母は言った。

 

意外過ぎて驚き、そして、施設へ行くには、年金も無く、介護保険は3割で、

高額医療払い戻しも母は受けられないこと。(2年未払いだったため)

なので、月20万円近くが自費だということが、分からない。

 

 

私の所へ行くからいい、と簡単に母が言うことにも、

どうしても解決出来ない、子供の自分というものが顔を出し、ストレスになった。

母は、私が一度も人生で里帰り出来ないほど、実家を散らかし、

出産時に助けて欲しくても、どうしても自分事が優先で、

玄関の鍵を閉めて生れそうな私を締め出したりと 1人で人生を渡ることを

強いて来た人だ。

 

 

すると、実家に母は1人で戻るしかない。

想像すると、

朝5時台に起きて、家族の弁当を作りながら、

母の朝夜の食事をタッパーに入れ、その他家事をした後に

20分先の実家で食事、おむつ、などを済ませて

仕事へ出かける。

 

4時過ぎに仕事から戻るとデイサービスから戻って来た母に

食事、おむつを見て、子供ら帰宅後、5時には自分の家へ戻り、

食事、洗濯もの、、、を済ませる。

 

母はもう起きれないので、

それから翌8時くらいまでは1人になる。

 

監視ビデオなどを回して、不味いときには

山を20分かけて降りるしかない。

 

出来るのかな。

50過ぎて、なんとなく、心が沈む自分が抑えられない。