長く長く泣いた。
涙を止めようともせず泣いた。
どれだけの時間が経ったのだろう。
やっと、少し涙が落ち着いた。
すると…
「あなたね。初めて会った私の前で
それだけ涙が止まらなくなるのは
かなり、精神的にやられているんだよ」
「生きてきた中で
1番辛かったこと。今頭に浮かぶこと
なにかな?」
すると、恐ろしい勢いで
あのじゅんくんの言葉が出てきた。
再び涙が止まらなくなり
そのことを丁寧に聞いてくれる
初対面のドクターの前で話した。
そして、その話は
言ったじゅんくんではなく
「優しい人だと思っていたじゅんくんのお母さんが、ワタシのお母さんの悪口を言っていた」
これだった。
すると、ドクターが
「人間はね、悪口も言うんだよ。でもね、それをただ人を傷つけようとして言ってる人はあまりいないんだ。たまたま言ってしまうこともある。良い人であろうと、悪口を言ってそれで忘れていることもあるんだよ」
そして…
「職業が悪かったなぁ。優しそうな人が多いでしょ。保母さん。でもさーそんな人でも悪口言ってるでしょ。君、それが耐えれなかったんだよ。優しそうな人は裏があるって擦り込まれてるからね。悪口言ったことないでしょ。言ったとしても凄く自分を責めるでしょ」
その通りだった。
優しそうな人代表みたいな保母という仕事。でも
保護者のことや子どもことを愚痴る人は多い。
保護者の前でもズバズバ言う人なら信用できた。でも、ほとんどの人が信用出来ない人だった。
そして、ドクターが続けて言ったのは
「死にたい?」
え?死にたくは有りません。
でも、遠くに行きたい。知らない人ばかりのところへ。
「あのね。24時間1人にならないでくれる。
それが無理でも、電車のホームや高いところへは絶対に1人で行かないでね。死ぬよ!あなた死ぬ。死にたいって言う人は死なないの。」
そう言われた。
そして、診断書が書かれて
しばらく仕事を休むことになった。
このドクターとの出会いで
忘れていた記憶の中に
自分の事を縛り付けて、そして大人になった自分の生活と繋がって苦しんでいたことに気づく。
そして…母への記憶も
自分で必死に美化していたんだと
幼い頃の事が蘇る。
それまでは、全て記憶から消していたのに。