ある日の朝。
子どもたちと遊んでいると
遠くからワタシを呼ぶ声。

「みぃみせんせ!!みぃみせんせ!!!」
けたたましい声に振り返ると、顔を硬らせて立つヨシコさんがいた。

(なにかやらかした?)
元々、クレーマー的な親だと聞いていたけど、担任して1か月。そんなに怒られるようなことに心当たりがない。

「どうしました?」と近づいていくと
「うちの子、私から離してください!どこかで預かってもらって欲しいの!殺してしまいそう!」
悲壮な叫びだった。
ヨシコさんの子どものトモ君は、ふざけるのは好きだがひょうきんで人気者。子育てにそんなに悩むようなタイプの子どもではなかった。


でも、ヨシコさんは酷く切羽詰まっている様に見える。
「何があったの?」ときくと
昨晩、自分の心のバランスがとれず小さなきっかけと共に子どもを何度も叩いてしまった。自分のコントロールできないことに不安がいっぱい。
このままでは、殺してしまいかねない。
とのことだった。

わかった。
とにかく、園長と相談します。
ヨシコさんのこと、ほっておかないから
少しだけ待って。と仕事へ送り出した。

そして、トモ君にもたずねると、お母さんから叩かれたという事実は間違いなかった。
しかし、叩かれたからとすぐに保護に至るわけではない。ましてや、普段キチンと子育しているヨシコさん。
通報するというよりも、一旦話しを聞かなければと思い、時間のあるときに電話をもらうことにする。

それから数時間後に
大変なことになる。