この橋は、1975年完成で耐用年数は48年とのこと後2年寿命が残っていました。

又、2015年に耐震補強工事が行われています。

設計寿命より前に主構造材があのように破断することは、有り得ません。

設計時の検討不足かメンテナンスの不備及び改修などによる設計条件の変化が疑われます。

写真の破断は、橋崩落時の衝撃によって破断した物と思われます。

そもそも、ランガー水管橋は、アーチで下の構造材を吊るタイプですから吊りパイプの強度は引っ張り強度が有れば十分のはずです?このような補強はいらないのではないかと思います。

現に、ランガー水管橋で検索する画像は吊りパイプが下がっているだけで補強は有りません。


同じ会社の物と思われるが、どうして六十谷水管橋はこんな特殊になったのか?

 

 六十谷水管橋は、どうしたわけか吊りパイプに態々補強がされています。

上部は、幅方向のパイプにクロスの張力ワイヤ、下部は水道管から2本の山形ワイヤ。

写真から見ると、溶接では無いので設計案では無く後から追加されたように見受けられます。

素人ですが、この補強はどう考えてもおかしい。

上部は幅方向(□)にがっちり固められている、下部は水道管からワイヤーで長さ方向で固められている。

上部アーチと下部水道管の構造(質量)も違うので当然振動も違っていると思われます。

 その為吊パイプの中間部分に応力集中が発生したのではないかと思います。

又、吊パイプとクランプの材料が違えば、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)も起こっていたかもしれません。

更に水道管に常時水が流れているため電流が発生します。風邪や振動でも発生します。

ここで、耐震補強工事がどのように行われたかでこの電流が問題に成ります。

 耐震ゴムで絶縁されていると電流の逃げ場が川岸に流れ無くなってしまいます。

行き場を失った電流他の流れ易い所に向かい電食が発生します。

電食は、電気分解なので金属分子レベルの腐食に成り内部から崩壊します。

電気分解なので水の溜まり易い所から腐食が始まります。

昔、電食実験で金メッキが全く役に立たなくて吃驚した(金メッキだけ残り芯材のステンレスは綺麗になくなっていた)ことが有ります。

塗装の実験しませんでしたが、分子レベルでは穴だらけなのではないかと思います。

ネットにある動画や画像を精査すると7条の橋の内、崩壊した4条と3&5条橋に錆の発生が多く見受けれれます。

岸側は殆どサビてないように見受けられます。

 

錆び状況から

最初は、異種金属接触腐食で錆が発生したと考えられます。

2015年の耐震補強工事以前は、電流は護岸にスムーズに流れていた為電食は起こり難かったと思えられます。ところが、耐震補強工事でアーチの条間が絶縁されたため発生した電流(電気)は大気中に放出されますが、電気は最も流れやすい所から流れる為大気放出のし易い部分である錆の部分からより多く放出されます。

これが約6年間続いたわけですから吊りパイプの錆びの部分はスカスカに成っていたと思われます。

 

得てして、良いことは悪い事を起こす場合が有ります。

 

 実は、改良を行ってかえって問題を大きくしてしまった事は多々発生しています。

 品質問題は極秘で、みっともなくて誰も言いませんが? 実は多いいのです。

 

普通の錆びなら塗装面の傷や剝れから発生するので中々や全周に進行しません。

しかし電食は、条件さえ揃えば驚くほど早く進みます。

私の担当していた通電センサーは、改善前2年程度しか持たなかったので6年も有れば十分な期間だよなぁと思いました。

 

私の結論

1.  吊パイプに、必要無いと思われる補強材を追加した事
  ※クランプが無ければ、水もたまらず異種金属接触も無く錆は発生しない。

2.  耐震補強工事で各条間を絶縁してしまったため電流の流れが変わり電食が発生した。
  ※耐震ゴムで絶縁された場合で、状況から多分絶縁されていると思う。

3.  検査は水漏れが主で、構造物全体を見ていなかった。
  ※検査もマニュアル(テックシート)で行っているので初見発見は無理と思います。

 

電食なんて痛い目に合っている人でないと気が付きません。

テレビの専門家も雨と鳥の糞による腐食だっと言っているでしょう。

塗装は、定期的にやっていたようなので、鳥の糞は錆びの進行を促進した効果が有るかもしれません。

そんな程度です。

 

尚電食対策は、電流は大したことないので細い線や導電塗料でも塗っておけば十分です。

腐食は深い場合は、パイプの修正(錆の除去と補強)が必要です。

 

20220519

5月19日の午前10時に水管橋の水道管2本のうち1本が復旧したことから送水を再開した。完全復旧は6月中旬とのこと。

崩落及破損した3本の形状は、一般的なものに変えましたね、しかし岸側の4本(各2本)は電流対策をしてないと何れ錆びます。

 

以上です。

 

品証の記事一覧