米CNNは14日、中国側と協力して台山原子力発電所の建設・運営に携わっていたフランスのフラマトム社が3日と8日に、2度に渡って米政府に緊急書簡を送ったことを明らかにした。書簡には、中国広東省の台山原子力発電所が「核放射能の脅威が差し迫っている」として、米エネルギー省に技術支援を要請したと書かれていた。

 


2019/7/23画像Google Earth 珠海には昔出張でお邪魔したことが有ります。
行きは香港から珠海へ、帰りはマカオ→香港経由でした。

 

 フラマトム社は、5月下旬に米エネルギー省に台山原子力発電所に潜在的な問題があること、6月上旬に原子炉が核分裂に起因する希ガスが漏れていることを米国に伝えた。そのため、フラマトム社が米国の核漏洩対策技術を中国に提供することに同意するよう正式に要請した。

 

 


Gravitas: What happened at China's Taishan Nuclear Power Plant?

 

台山原発には第3世代の原子炉「欧州加圧水型炉(EPR)」が2基設置されており、1号機は2018年12月、2号機は19年9月に商業運転を開始した。1号機は核燃料サイクルの2周目に入り、現在はフル稼働の状態。2号機は計画通りに総点検を実施し、今月10日に送電網に正常に再接続した。

 

台山原子力発電所は、フランスのアレバが開発した欧州加圧水型炉(EPR)が運用されている。

EPRは電気出力1600MWe(160万kWe)の大型PWRで、基本構成および主要機器は在来PWRと同様であるが、経済性と安全性に一層の向上が図られている。

 

欧州加圧水型炉(EPR:European Pressurized Water Reactor)とは

 

EPR原子力発電所基本レイアウト

  

原子炉建屋内部には、原子炉が1基、その周りに蒸気発生器が4基、一次冷却水ポンプが4基そして加圧気が1基、非常にシンプルに配置されている。

下部には、燃料交換用水タンクとデプリ貯留エリアが有る。

原子炉・蒸気発生器の詳細図

今回の放射性物質の漏洩事故は、中国によると燃料棒の破損(1号機の燃料棒6万本以上のうちの約5本)の影響で放射性物質の濃度が上昇している。原発周辺の環境基準は満たしているとのこと。

国家核安全局は、原子炉冷却材中の希ガスについて放射線の許容値を承認したが、原子炉周辺の放射線検出とは全く関係がなく、同省は「CNNの環境基準を2倍にした報道は誤っている」と主張した。

 


OL3 heavy components.mp4

 

EPR炉の事故防止対策

  • 4倍の100%冗長性(4トレインコンセプト)による信頼性の向上による安全システムの簡素化。
  • 物理的分離と安全機能のための多様なバックアップ機能によるコモンモード障害の排除。
  • 過渡現象を滑らかにするために、より多くの水在庫を備えたコンポーネント(加圧器や蒸気発生器など)を設計することにより、オペレーターのアクションの猶予期間を延長しました。
  • 完全にデジタル化された計装および制御システムと最新のオペレーター情報システムによって提供されるステータス指向の情報に基づく最適化されたマンマシンインターフェースにより、ヒューマンエラーに対する感度が低下します。

 

 


燃料棒崩壊により希ガスが発生し圧力が上昇したため逃がし安全弁からブローした。

大気中には、煙突内か専用のフィルターで漏れてはいないですかね?

ただ、開発元のフランスが漏洩を気にしてるのは引っかかります。6/20,14:00追記

 

詳細が解りませんのでEPR原発がどういったものか調べてみました。

 

ただこの第三世代プラスと謳われている新しいEPR原子炉は、建設中の2基(フィンランドのオルキルオトに1基、フランスのフラマンビルに1基)、稼働中の2基(中国の太山)、があります。

しかしこのプロジェクトは、特にフィンランド(4年間と30億ユーロの予定が9年遅れ、予算を50億以上超過)とフランスで遅延、コストオーバーラン、技術的な困難で不自由になっています。

プロジェクトの推進者は、最先端のプロトタイプを構築する際に遅延とオーバーランは非常に一般的であると主張しています。

 

原子炉容器の鋼の重大な異常(炭素含有量の基準0.22%のところ0.3%)問題もありますが、今回の物とは直接関係しないと思われますので説明は省きます。

 

以上です。

 

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