進行波管 TWT:Traveling-wave tube
1942年に、イギリスのルドルフ・コンフナーによる着想で始まり、1947年にアメリカ合衆国のJohn R. Pierceによって理論が確立された。
進行波管とはその名が示すように、電波を進行波のまま通過させる間に、陽極から放出される電子流との干渉により、いわば電波をプッシュしながら増幅させる方式です。しかし、電波の速度は電子流とくらべて速すぎるため、そのままでは電波と電子流とは干渉できません。つまり、プッシュしようにも、「暖簾(のれん)に腕押し」のようになってしまいます。そこで、高電圧によって電子流の速度を上げるとともに、電波の通路として、らせん状の導体が用いられます。電波をらせん状に迂回させることによって、直進する電子流の速度に近づけるのです。
らせん導体の周囲には電磁石となるソレノイドコイルが巻かれます。これはコイルが発生する磁界によって、電子流を収束させる役目を担っています。また、これだけでは電波は逆流して発振してしまうので、中間に減衰器を設けています。これは三極管(真空管)の陽極とグリッドの間に、さらに遮蔽グリッドや抑制グリッドを設けた四極管や五極管の構造と似ています。もともと進行波管は真空管技術の延長として開発されたものなのです。
進行波管には永久磁石も利用したタイプもあります。軸方向に多数の永久磁石を並べ、周期的な磁界によって電子流を収束させる方式です。均一磁界しか供給できないソレノイドコイルと比べて、小型・軽量化が実現します。
1. 電子銃
管の軸に沿って、所定の径の電子ビームを発生させてから加速し放出する。
2. ビーム集束用周期磁界装置
電子銃から放出された電子ビームを遅波回路全長に渡り磁場で集束する。
3. らせん形遅波回路
電磁波と電子ビームはここで相互作用し、マイクロ波が増幅する。
4. 多段電位低下コレクタ
遅波回路を通り抜けた後の用済み電子ビームを捕捉し、そのエネルギを外に熱として逃がす。
進行波管は、遅延回路の軸上の波数が多いため、電子との相互作用が高まり、高い利得(40〜70dB)が得られ、尚且つ、増幅の帯域幅が広い(300M~100GHz)という特徴を有しており、電力レベルは数Wから10MWで現在でも放送衛星・通信衛星・レーダーなど、大出力空中線電力を要する分野では、トランジスタや化合物半導体増幅器を凌駕しており、現役で使用されている。
TWTには主に2つのタイプがあります。
① 受信機用の低電力TWTは、レーダー装置の高感度、低ノイズ、広帯域アンプとして使用されます。Low-power Helix TWT(低消費電力らせん TWT)
② 送信機用の高出力TWTこれらは、高出力送信機用のプリアンプまたは最終段として使用されています。High-power Coupled-Cavity TWT(高出力の結合共振器 TWT)
増幅回路部の形状には、ヘリックス形、リングループ、リングバー、結合空洞形などがあります。
ミリ波無線ネットワーク用の高電力進行波管増幅器のしくみ
マイクロ波パワーモジュール(MPM)、ミニヘリックス進行波管(TWT)
以上です。
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