1.電離層とはどのようなところか?
電離層とは、大気と宇宙との境目のようなところで、俗に「宇宙の渚」とも呼ばれています。
ISSからの大気光動画
電離層は昼と夜で変わる
« 電離層は地球のどこの高度に存在するの?
電離層とは上空60~500kmに位置し、地球の直径約12,800kmに対し、直径の0.6~3.9%(約1/200~1/25)に相当。オゾン層は高度20~30km程度のところにあるので、電離層はオゾン層よりも高度が高い。
① 電離層は、水蒸気などは無く“窒素と酸素”で大気を構成している。
② 大気密度も極端に少ない。
(上空450kmでは地表の1兆分の1)
③ 高さ80km以上からは気温が上昇し、400km以上では1000℃になる。
エネルギーが小さいので暑く感じない。
④ 「分子」と「原子」が常に入れ替わっている。
⑤ 宇宙からの「極端紫外線」によって、窒素と酸素が電離し、主に“窒素と酸素のプラスイオン”と“自由電子”が入り混じっている。
2.電離層を利用した技術-通信技術-
気体が電離すると、電離がない時には素通りできたものが、電波は反射、屈折、散乱、減衰と、波動としてのいろいろな現象を示すようになります。
それらの現象を利用しているのがラジオ放送や無線などの通信技術です。
® 上空にある電離層に電波を飛ばし、高度の高い電離層で電波を反射させることで、遠距離通信を可能にしている。
« 電子密度の違いにより、反射される周波数が異なる。
電離層とはプラスイオンと自由電子が入り混じった領域のことですが、その高度によってその電子密度に違いが出てきます。一般的に、下から順にD層(約60~90km)、E層(約100~120km)、F1層(約150~220km)、F2層(約220~500km)の4つに分けられ、上層に行くほど宇宙からの極端紫外線の当たる量が多い為、電子密度は高く、下層は電子密度が低くなります。
また、夜間は太陽からの極端紫外線が届かない為、電子密度は小さくなり、その為、最下層のD層は消滅し、またF1層とF2層も合体し、F層(300~500km)となります。
3.電離層を利用した電波
l VLF (超長波 3~30kHz 波長:約10~100km)
低い山も越え、水中30m程度なら届く。
巨大なアンテナが必要なため利用用途は少ない。
日本では宮崎県のえびの市の潜水艦通信用の送信所がこれを用いている。
l LF (長波 30~300kHz 波長:約1~10km)
超長波までではないが、やはり大きなアンテナ必要。
福島,佐賀にある電波時計の電波に用いられている。
福島が40kHzで佐賀が60kHzである。
l MF (中波 300kHz~3Mhz 波長:約100m~1k)
AMラジオ,船舶気象通報、航空無線航行に用いられ夜間は、電離層にE層が現れ遠くの局も聞こえる。
l HF (短波 3~30mHz 波長:約10~100)
国内遠距離ラジオ、国際放送、洋上航空無線や軍用無線に用いられる。
l VHF (超短波 30~300MHz 波長:約1~10m)
別名VHF。アナログテレビでよく用いられていた。
FMラジオ、業務用移動通信、航空無線や船舶無線に用いられる。
l UHF (極超短波 0.3GHz~3GHz 波長:約0.1~1m)
別名UHF。地デジで用いられている。
携帯、無線LAN、アマチュア無線や電子レンジや極超短波治療器もこの周波数帯になる。
以上です。
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