自動車の電動化(HEV&EV)コア技術 Ⅴ.電池制御編 4)B787のリチウムイオンバッテリの問題として当時作成。
ボーイング式787-8型JA804A 航空重大インシデント調査状況報告
運輸安全委員会 平成25年3月27日 を元に作成しました。
興味のある方は、こちらの報告書を確認してください。
日本で初期調査が行われた、その結果バッテリ以外に損傷が無かった。
システムの可否やソフト等の詳細調査はボーイングが行う。
バッテリについては詳しい調査資料が添付されているのでこちらを検証してみた。
リチウムイオンバッテリ使用時の注意点
リチウムイオン電池は、金属リチウムが危険なため安定的な金属イオンにして電池に利用している。しかし充放電で余ったイオンは金属リチウムを析出するため、厳しい制限を設けている。
<過充電過放電は厳禁>
【バッテリの状態】
1)GSユアサのLVP65とは? (特殊電池では最も技術力が有る会社)
2)メイン・バッテリ
1. メイン・バッテリーに関する調査 (公式要約)
• 8セル全てに熱による損傷及び 熱暴走が見られた
• セル3正極付近の損傷が特に大きかった
• セル4及びセル5を除く、6セル全ての正極集電体に溶断が認められ安全弁が開放していた
• セル5のケースに、直径約1mmの穴が開いていた(セル6の対面位置は凹み)
• コンタクタの主接点に大電流が流れた痕跡は無く作動した形跡もなかった
• バッテリ監視ユニット(BMU)のプリント基板は熱により損傷していた
• バッテリの外箱にはアーク等の痕跡はなかったがケースのアース線が溶断していた
【解析:CTスキャン画像から考察できること】
❶始まりは、セル3が最も損傷が激しく内部も溶損している
❷セル3は、セルの熱膨張もなく一瞬でショート大電流が流れた為各部が溶融
❸セル6は、隣で熱膨張も殆ど無いため3の溶損で溶着し比較的早く損傷したと思われる。
❹セル1,2,7,8は、セルの熱膨張が有る為損傷までは少し時間が掛かっている。
❺セル4,5は、運よくそちら側に火炎が行かなかったと思われる。
【結論】
セル3のどこかで金属イオンを析出針状の金属リチウムがセパレータを破りショート
一気に溶損したと思われる。
【バッテリー監視ユニット(BMU)】
❶LVP65は3.7Vタイプなので最大4.2Vである。監視も4.2Vで行っている、
❷セルバランス電圧4Vで行っているが、劣化した場合は?また充電は100%しているように見える。
❸HEVの場合、寿命が著しく劣る為80%程度の充電で満了とし、100%は行っていない。
❹特に問題は、過充電は2段階で制限がかかっているが過放電は2.1Vで制限を掛け1.7Vで禁止信号を発しているだけである。
【飛行記録装置(DFDR)の記録】
1. DFDR記録によれば、メイン・バッテリー電圧は、約10秒間で31Vから急激 に低下した(公式)
❶焼損のスイッチは、気圧が薄くなったことで体積膨張が起こりスイッチが入ったと思われる。
❷電源にノイズは入っていない、セルの一部が異常をきたし1V低下している(下の図)
❸8:26:41最初のセルがショートで電源ダウンその後完全ショートで炭に成り1個分の電圧低下で復活
❹2個目のセルがショートで電源ダウン完全ショートで2個分の電圧低下で復活
❺3個目のセルは熱膨張によるセル破壊の為電源ダウンに成らず
❻4個目のセル故障で全体の電池が機能しなくなり電圧ダウン。
以上の様に破壊されていったものと推察する。
【結論】
❶過放電で金属リチウムが析出し気圧と振動でセパレータを突き破りショートしたと考えるのが一番妥当と思われる。
❷セル電圧の下限値の保護が上限値より甘く使用電圧範囲も広いため下限値付近で金属リチウムが析出したと思われる。
❸以上の結果からセル電圧の保護アルゴリズムが不完全でショートに至ったと判断する。
電池の特性や飛行条件の詰めが甘かったと思います。
トヨタに聞けば防げたのでは?
参考 電池破壊実験
一個人の解析なので、そのつもりでお願いいたします。
但し、故障解析は経験がものを云いますので故障事例で予測することが頭の訓練に成ります。私は時々こんなことで自分の解析精度を上げるようにしていました。
事故が起きた時公開資料から原因を予測し公式結果と比較して自分の技量を確かめる。
以上です。
尚 これは故障解析なので品証に分類しました。
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