直流の電力
直流回路の電力:直流回路では、電圧と電流の大きさや方向は時間により変化しない為、その積で表される
電力も時間に関係無く一定の値になります。



 

交流の電力1
交流回路では、電圧vと電流iの間には位相差(時間的なズレ)があり、更にvとiは時間により大きさや方向が周期的に変化します。従って、vとiの積であるpもまた図15-1-2のように時間により大きさと方向が変化します



(+の成分)×(+の成分)=(+)
(+の成分)×(-の成分)=(-)
(-の成分)×(-の成分)=(+)

*電力pが(+)の値の時は負荷が電源から電力を供給されて電気が他のエネルギーに変換されている時です。また、電力が(-)の値の時は、負荷から電源に電力を返還している時です。

この電圧vと電流iの積(p=v×i)を“瞬時電力”といいます。
又、瞬時電力pは1周期毎に同じ変化を繰り返しているため、瞬時電力の1周期間の平均的な値を“交流電力”といいます。
  交流電力=瞬時電力の1周期間の平均値[]
      =1周期間に行う仕事量/1周期[]

 

負荷が抵抗だけの場合の交流電力
回路15-1-3、v=2×V×sin(ωt)[]の回路に流れる電流は、
i=v/R= √2 ×V/R×sin(ωt)=√2×I×sin(ωt)[]となり。
電圧vと電流iは位相が同じなので、両者は常に方向(符号)が同じになり、瞬時電力pは図15-1-3のように常に(+)の値をとります。
交流電力(瞬時電力pの1周期間の平均値)は、同図から分かるように瞬時電力pの最大値の1/2になります。
今、瞬時電力pの最大値=(電圧vの最大値)×(電流iの最大値)
                                    =( √2×V)×( √2×I)=2×V×I
の関係が成り立っているため、交流電力は  P=V×I []  となります。



 

負荷にコンデンサやコイルが含まれている場合の交流電力
回路15-1-415-1-5の電圧、電流、電力の波形はそれぞれ、図15-1-415-1-5のようになります。
これらの図を見ると分かるように電圧vに対して電流iの位相がズレると、(-)の電力が発生します。
電力が(-)の時は、負荷から電源に電力を返還している時であり、平均電力(交流電力)は(+)の電力分から
(-)の電力分を引いた平均になります。これらは、抵抗だけの負荷の電力(V×I)より小さくなります。
(電圧と電流の間に位相差があると交流電力は小さくなります。そして位相差が90°に近づくほどその値は小さくなります。)



 

負荷がコンデンサやコイルだけの場合の交流電力
回路15-1-615-1-7の電圧、電流、電力の波形はそれぞれ、図15-1-615-1-7のようになります。
このように電圧vと電流iとの間に90°の位相差があると“(+の電力(消費する電力))=(-の電力(返還する電力))”となるため、交流電力の値は0となります。つまり、負荷がコンデンサやコイルだけの場合は、負荷で電力は消費されないことになります。
(*実際のコンデンサやコイルにはリード線や線材等に抵抗値が存在するため、交流電力は0にはなりません。)




 

交流の電力2
交流の電力には次の3つがあります。
有効電力(負荷で消費される電力) P=V×I×cosθ []
(式中の“cosθ”は力率といい、その回路が電力を有効に使用する割合を表します。)
無効電力(負荷から電源に返還される電力) Q=V×I×sinθ [var]
(var:バール)(式中の“sinθ”は“無効率”といいます。)
皮相電力(見かけ上の電力) S=V×I [VA] (VA:ボルトアンペア)
*θ=負荷に加わる電圧vと負荷に流れる電流iの位相差

 

力率の改善
同じ電圧で同じ電力を消費する回路に流れる電流の大きさは、負荷の力率によって大きく異なります。
電流の大きさは力率が100%(1.0)の時に最も小さくなります。
交流回路の力率を100%にするには電圧と電流の位相差を0°にすれば良いのですが、一般に電圧より電流が遅れるような負荷(電動機、洗濯機、蛍光灯など)が工場や家庭などでは使用されます。この対策として、回路15-2のように負荷に並列にコンデンサを接続する方法がとられます。
このコンデンサを力率改善用コンデンサ(相進用コンデンサ)といいます。
負荷に並列にコンデンサを接続すると、コンデンサに電圧より90°位相が進む電流icが流れます。電源から供給される電流iは、このicと負荷に流れる電流iLを合成したものとなります。
15-2から、コンデンサの電流icを適当に選ぶことにより電圧eと電流iを同じ位相に出来ることが分かります。



 

以上です。

 

後 記

電気の基礎は、終了です。

私自身、工業高校機械科卒で技能員として入社した身ですので大したことを知っているわけでは有りません。もっと知りたい方は、電気専門の方が書いたHPやブログが有るのでそちらを参考にしてください。

私のは、問題があったとき …何か合った様な…!? と思い出せればよい程度のものです。

では、よいお年を!