1.電力と電力量

*      電力と電力量
電気エネルギーの単位時間当たりの仕事量を電力という。電力は、電気エネルギーを消費することなので消費電力とも呼ばれる。電力の単位にはW(ワット)を使用し、1,000Wは1kW(キロワット)と表す。たとえば、電球は100V60W等と表示されているが、100Vの表示は100Vの電圧を使用することを表し、50Wは電球の消費電力を表している。
 電力は、電圧と電流の積で求めることができる。電圧は、電流と抵抗の積であるため、電流の2乗と抵抗の積によっても電力を求めることができる。一般家庭で家電製品を使い過ぎると、ブレーカが落ちることがある。電力会社との契約電流を30Aとした場合、一般家庭の電圧は100Vであるため、電力の許容量は3,000W(30A×100V)になる。したがって、家電品の消費電力を確認し、これを超えないように使用しなければならない。

 ● 電力 = 電圧 × 電流
<例題> 電圧が100V、電流が2Aの時の電力
                                 電力 = 100 × 2= 200W

電力量は、ある時間内に消費した電力の総量を示すもので、 電力と使用した時間の積によって電力量を求めることができる。電力量の単位には、Wh(ワットアワー)又はkWh(キロワットアワー)が使用されている。

 

<電気のする仕事>

電気回路に電流が流れると、電気エネルギーが機械エネルギーや熱エネルギー、光エネルギー等に変換され、様々な仕事が行われます。

Ÿ ホットプレートや電気ごたつに電圧を加えて電流を流す
             
→ 電気エネルギーが熱エネルギーに変換される。

Ÿ 発光ダイオードや電球に電流を流す
             
→ 電気エネルギーが光エネルギーに変換される。

Ÿ 扇風機や洗濯機に電流を流す
             
→ 電気エネルギーが機械エネルギーに変換される。

<電力>

ホットプレートや発光ダイオードに電圧を加えて電流を流すと、電気エネルギーが変換されて熱や光を発生します。これは電気が仕事をしているからで、この様に電気が単位時間(1秒間)に行う仕事の量(仕事率)を“電力”といいます。電力は量記号としてP を、単位記号として(W:ワット)を用います。

ホットプレートに加える電圧をVV]、これに流れる電流をIA]とすると、この時のホットプレートの電力(仕事量:電気が1秒間にする仕事)は以下の関係で表されます。

例えば、100[V]の電圧を加えて1[A]の電流が流れたとすると、この時の電力Pは

P=V×I100×1100W] となります。

つまり、ホットプレートで電気エネルギーが1秒あたり100[W]の割合で消費され、
熱エネルギーに変換されていることになります。

<電力量>

電気がある時間内に行った電気的な仕事の総量(ある時間内にどれだけの電気エネルギーを消費したか)を“電力量”といいます。電力量と電力との間には以下の関係があります。

電力量W=電力P×電気エネルギーが消費された時間t

電力量の量記号にはW を、単位記号にはワット秒:[Ws](1秒単位)

又はワット時:[Wh] キロワット時:[kWh] (1時間単位)を用います。

計算例

   100[W]の電球に100[V]の電圧を加えた時に流れる電流は
電力P=電流I×電圧V
よって、I=P/V=1001001[A]

   40[W]の液晶ディスプレイを2時間使用した時の電力量は
電力量W=電力P×電気エネルギが消費された時間t
40×2 時間=80[Wh]

   200[W]のヒーターが1[kW]の電気エネルギを消費するのにかかる時間は
tWP1k2005 時間

   ある家庭では、毎日120[W]のテレビを5時間、60[W]の蛍光灯を8時間、
45[W]の冷蔵庫を24時間使用しています。

Ÿ 1 日の電力量=(テレビの電力量)+(蛍光灯の電力量)+(冷蔵庫の電力量)
=(120×5)+(60×8)+(45×24)=2160[Wh]2.16[kWh]

Ÿ 30日間の総電力量=(1 日の電力量)×30日=2.16k×3064.8[kWh]

Ÿ [kWh]あたりの電気料金が22円であるとき、30日間の電気料金は
64.8×221425.6

 

2.電流の発熱作用(ジュール熱)

<熱の発生>

回路6-1R[Ω]の抵抗をもった回路にE[V]の電圧を加え、I[A]の電流を流した場合。

抵抗R で1秒あたりに消費されるエネルギー(電力)P

           PE×I2I ×RE2/R  で表わす。

このエネルギーは熱エネルギーに変換されて熱を発生する。
☆抵抗に電流を流すと熱が発生する作用を、電流の発熱作用と言う。

<ジュール(仕事量)>
エネルギーの量を表す単位は、ジュール(単位記号:[J])を使います。
電力量ワット秒[Ws]とジュールとの間には“1[Ws]=1[]”の関係がある。

[Wh](ワットアワー:ワット時)=3600[Ws]3600[J] 1 時間=60 分×60 秒=3600 秒)

*1[]=1[A]の電流が1[Ω]の抵抗中を1秒間流れた時の電気のエネルギー(仕事量)

*1[W]=毎秒1[J]の仕事を行う電気の能力

l  ジュル熱 ( J ) = 電力量 = 電力 × 消費した時間

l  ・抵抗Rに電流Iがt秒間流れた時、発生する熱エネルギー(ジュール熱)
  Q=IRt=VIt (ジュール熱は電流の2乗に比例する)

 

<カロリー(熱エネルギー)>

熱エネルギーは熱量(量記号:H、単位記号;カロリー[cal])と呼ばれる。

[cal]とは、1[g]の水の温度を1[]上げるのに必要な熱量です。

[cal][][Ws]の間には以下の関係がある。

[cal]=4.186[]=4.186[Ws] → 1[]=1[Ws]=0.24[cal]

発熱量H は以下のように表される。

発熱量H=I ×R×t[J]P×t[J]W[J]  

           (電力量W[Ws]=電力P[W]×時間t[s:秒]

発熱量H=0.24×P×t[cal] =0.24×W[cal]

<熱の利用>

抵抗に電流が流れることによって発生する熱(ジュール熱)を積極的に利用した物に電熱器具(ホットプレート等)があります。発熱体としてニクロム線に電流が流れると自由電子が振動している金属原子にぶつかって摩擦熱が発生し、温度が上昇します。

<コードや電線で発生する熱>

銅線にも極わずかな抵抗があり、電流が流れるとジュール熱が発生し、流れる電流が大きくなればなるほど温度は高くなり、いずれ被覆を焼いて、火災の原因になりかねません。コードや電線には許容電流(安全範囲の電流の値)が定められていますので、それを越えない範囲で使用しなければなりません。

 
つづき